第48話 この世界が好きだから
私は左肩の激痛で目が覚めた
ロミ「がはっ、ぁぁぁ!」
腕はだいぶ再生しているような気がする
でもまだ見えない中の部分は再生しきってないせいか、物凄く痛い
地面には私から流れたであろう血だまりができている
上城「ろ、ロミーさん!ごめん!さっきからずっとやってるんだけど、僕の回復じゃ君を治せないんだ!!」
"heal shot"
何度も、何度も、上城さんが回復弾を使ってくれていたようで、殆ど、MPは残っていないようだ。
それでも、アミュレットからの魔力を使い回復を続けてくれてたみたい
このままでは、上城さんの身体が持たないし早く、治療をしないと!!!
私は激痛で顔を歪めながら、魔法を使った
"healing shower"〈癒しの雨〉
お互い血まみれで、ボロボロの私達は癒しの雨にあたり、ちょっと、ホッとした。
痛みが引き、やっと、上城さんの顔をまともに見た。
居住区の中には入れたんだ。
ここまで上城さんが運んでくれたみたいだけど・・・
わぁ、上城さんは目に涙をいっぱいためてる!
ロミ「上城さん、ここまで運んでくれて、治療してくれてたんですね、ありがとうございます。上城さんが回復覚えてなかったら多分、死んでました。あはは、いっつつ、はぁ。まだ動けそうにないです」
上城「ぼ、僕は、」
ロミ「はぁ、ゴホッ、ゴホッ、すみません、ちょっとだけ寝てもいいですか」
上城「う、うん、休んで!」
ロミ「私に回復はもう大丈夫です、上城さんも、休んでくだ、さい、すみません、、、」
上城「ロミーさん!」
ー2時間後ー
うーん、
目を覚ますと小屋のベッドの上だった。
左腕を見ると包帯で体と固定されている。
横を見るとネコッチがキッチンでタオルを絞っていた。
ロミ「ネコッチ?」
ネコッチ「ロミーさん!目が覚めたんですね!良かった!すみません、骨までは完全に治せなくて、でも他の傷は全て塞がりましたよ!」
ロミ「ありがと、だいぶ楽になった。ネコッチだけ?」
ネコッチ「いえ、アカギさんと二人で輝さんの様子を見に来たらを血まみれのお二人を見つけたんで、アカギさんがここまで運びました。このタオルで、お顔の血を拭いてください。今お二人を呼んできますね」
ネコッチがアカギと上城さんを呼びに言ってくれてる間に私はメッセージをジャックに送った
『死闘の末、貧血気味ですが、私も上城氏も無事でーす(o´罒`o)』送信っと。
ピロン♪
『連絡ないから心配したよ。でもよくやったね!ご褒美にいっぱい頭なでてあげるからね。楽しみに待ってるよ』
えーwwなでてもらえるなら、楽しみに待つのって私でしょーあはは
ネコッチ「ロミーさん、皆さん呼んできました」
上城さんは足を引きずっていて、アカギの肩を借りていた。
アカギ「目が覚めたか、よかったな、輝」
ロミ「上城さん!その怪我!」
ネコッチ「自分の事よりも、ロミーさんにMPを使いきれって、おっしゃって、治療を拒んでるんです」
私はベッドから降りて、上城さんを寝かせた。
上城「・・・」
上城さんのステータスを確認すると、
やはり、"精神異常"が発生してる。
不安定な状態が長く続いた所為で、普通の回復魔法じゃ、治りそうにない。
精神と傷の両方を癒す魔法を同時に使う必要がある。
上城「僕はいいから、」
ロミ「ダメです!治療しましょう(ニコニコ)」
上城さんは、ばつが悪そうだ。
私が笑うと視線を逸らした。
"fully recover"〈完全回復〉
上城さんの目の上に右手を当てると、
全身を優しい光が覆い、傷付いた箇所を癒していくし 。
上城さんの険しかった表情も心なしか緩んでいく、
ネコッチ「こ、こんな凄い魔法みたことないです」
アカギ「見ろよ、この安心しきった表情。」
上城さんは安心して眠りについた。
本人は眠っているつもりだったんだろうけど、この精神状態では、眠ったかどうかなんて本人にはわからなかったんじゃないかなぁ
それくらい追い込まれてたってことだね。
ロミ「ふぅ、これで一安心。疲れた」
ネコッチ「お疲れ様です!凄かったです!輝さん顔色も良くなってる!!」
私はまだ本調子ではない為、フラついてアカギとネコッチにソファに誘導され腰を下ろした。
ロミ「あ、ありがと、へへ」
ネコッチ「ロミーさん、キャタルスシティからはポータルで来たんですか?」
ロミ「あーうん、そんなとこだよぉ」
アカギ「どうする?屋敷に戻るか?」
ロミ「あー、私は上城さんが起きるまでここで休憩してからキャタルスシティに直ぐに戻ります。」
あー肩が痛い。
少し動くだけでも響く、、
アカギ「じゃあ、任せていいか」
ロミ「うん。いいよー。ネコッチとデート楽しんできてぇ」
ネコッチ「え、まだ、そんなんじゃ無いです!!!」
ロミ「"まだ"(って事はアリな感じ!?)」
アカギ「おい・・・」
ニヤニヤしちゃーう、ネコッチ可愛い(o´罒`o)♡
そうだ、あの複製の本、ネコッチに渡したら役にたつかな?
ロミ「ネコッチ、この本あげる。子供向けのではあるけど、この国の魔法について載ってる本だよ。良かったら役立つんじゃないかと思って。この本に載ってる、"複製魔法"を使ってコピーした本だよ」
ネコッチ「い、いいんですか???」
パラパラとめくり軽く本に目を通し、パタン!と閉じて
ネコッチ「ありがとうございます!!勉強します!!」
ロミ「うん、分からないことあったら、私でも桜子さんにでも聞いてね。」
すごく嬉しそうに本を抱えお辞儀をするネコッチがとても可愛いー♡
アカギ「ネコ、そろそろ行こう」
ネコッチ「あ、はい。ロミーさんまたね」
ロミ「うん!またねー!ありがとうねぇ!アカギ!頑張れ!」
( ・`ω・´)キリッ
アカギが鼻で笑って二人は帰ってったけど、あの二人、絶対近々付き合うでしょー!気になる!
桜子さんにまた聞かなくちゃ!!
私はブランケットを取り出して、肩が痛くないようゆっくり体を倒した。
自分の治療って、ここまで重症だとやり辛い、動くと痛いし、人にやってもらう方が楽だったりする。
粉砕骨折してると、魔法といえど神経を使う作業になる為、痛みに耐えながら細かい術式を考えるのは今は無理。
ちなみに、私のステータスの状態異常の欄には、バッチリ"左肩粉砕骨折"と表示されている。
わー私、"重傷者"だぁ
こういう時って、お酒飲むと痛みって和らぐんだっけ???
そんなような事を会社の飲み会の席で誰かが話してた気がする。
桜子さんにもメッセ送くらなくちゃ、
『鉱山第5層なう!上城さん救出ミッションクリア!テッテレー♪ねぇ、痛みを和らげるのにお酒飲むといいって本当?』
送信っと!
しかし、鉱山の中に居ると、時間がわからないんだよねぇ。
上城「はっ!ロミーさん!?」
上城さんが目を覚ました。
ロミ「はいはーい、ここですよ!よいしょっ、いたぁぁ、たた、」
慌てて上城さんが私の体を支えに駆けつけた
上城「だ、大丈夫?」
上城さんは私の目の前で床にヘタァっと座り込み、下を向いている。
ロミ「大丈夫ですか?」
私は上城さんの頭を優しくなでてあげた
上城「!!」
がぁぁぁあはぁぁぁあ!!!痛ぁぁぁぁいいい!!!
ソファに座る私に上城さんが抱きついてきて驚いた。
でも、今は肩の痛みをグッとこらえ、上城さんの頭を撫で続けた。
ロミ「はぁはぁ(痛い!)か、上城さん、凄いですね!レベル100以上あげたんですね!!!いやぁ血の滲むような努力をしたんですねぇ。」
上城「そんなんじゃない」
ロミ「なんでですかー、頑張ったから強くなれたんですよー!それは自慢していいと思いますよー」
上城「君に迷惑かけた!いっぱい、迷惑かけた!死んだかと思った!君が死んだかと!!!」
!!
違う!死んだと思ったのはこっち!
ロミ「それを言うなら!こっちのセリフです!駆け付けたら、ケンタウロスに捕まってるし!頭とか身体中大量に血を流してるし!全然動かないし!死んだのかと思ったし!!!私、危うく、自分が暴走するかと思いましたよ!!!」
上城さんが私に抱きついたまま、ピクリとも動かなくなった。
しまった・・・
ロミ「あ、すみません、怒るつもりなかったんです!本当に!でも、本当に、お互い無事で良かったです!本当に!」
上城「ごめん・・・」
ロミ「お、怒ってないし」
上城「ゆ、許してし・・・」
プスン!と煙を出すように上城さんの力が抜けるのがわかった。
ロミ「謝るのやめてくださいし!くすくす」
上城「!!」
顔を真っ赤にした上城さんが勢いよく顔を上げ、その振動で肩に激痛が走り、顔を歪めた。
上城「は!ご、ごめん!痛いのに、我慢させてたし!ご、ごごごごめんし!!」
ロミ「あは、あははは、いっ、痛っ、あは、あははは、痛たたた、だし」
上城「うぅ(赤面)」
私は上城さんの頭をわしゃわしゃなでた。
ロミ「もう、合わせなくていいですよー」
上城さんはさらに顔を赤く染め、下を向いた。
私は、肩の痛みに堪え兼ねて体勢を崩し、ソファに横になった。
上城「大丈夫?痛いよね、どうすればいいかな」
ロミ「うーん、じゃー膝枕してもらえません?あの時みたいに」
上城「え?」
照れながらも膝枕をしてくれる優しい上城さん。
でも私に表情が見えないように、斜め上の方をずっと見てる。
しばらく無言のまま時間が過ぎた。
ロミ「あ、上城さん怪我は?」
上城「君の魔法のおかげですっかり良くなったよ。」
ロミ「良かったぁ(ニコニコ)」
上城「全然良くないよ、だって今も君はこうして怪我したままだし、俺の所為で、」
ロミ「その話はもう終わりにしましょう!何度でも同じところに戻ってきちゃうと思います。少しでも上城さんの心が軽くなる事を話しましょうか、」
上城「どうして、笑ってられるの?死にかけたのに、どうして笑えるの?」
ロミ「あー・・・死にかけてまでも笑える理由かぁ・・・それは多分、この世界が好きだからですかね。私楽しいんです。こっちの世界の方がものすごーく、自分には合ってるって気がするんですよ。」
上城さんが不思議そうな顔をしている。
ロミ「毎日満員電車でもみくちゃにならないていいし、毎日嫌味ばかり言うパワハラ上司もいないし。のびのびできるし、魔法や剣を使って広い世界を冒険できるし!今、メッチャ、楽しいんです!そう言う瞬間ないです?」
上城「、、、初めて誰の補助もなく自分一人でモンスターを倒せた時は凄く嬉しかった。」
ロミ「そう!嬉しいですよねっ!」
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