第40話 フィン




フィンがニヤリと笑う


フィン「嫌だなぁ、ロミー様ぁ、何をおっしゃるんですかぁ」


明らかにフィンの態度が変わっている、


ロミ「キッチンカーの人達は既に亡くなってたよ。それどころか、アンデットが三体もいたよ。」


フィオナ「なんと言うことを。。」


ロミ「それと、その後ろの二台は神官たちじゃなく武装した連中が乗ってたよ。先頭の馬車はすでに居なくなってたね」


フィン「すごいですね、話に聞いていただけはありますね。ですが、僕が合図すれば、馬車は止まり、ここに武装した連中が乗り込んできます。先ほどだした飲み物に体を動けなくする薬を仕込んだので、そろそろ効いてくる頃ですし、どうします?」


フィオナ「うぅ、」

ジャック「フィオナ様!」


フィオナに毒が回ったのか、でも、私、さっき寝ちゃってジュース一口も飲んで無いんだよねぇ

最悪私1人でもなんとかなるかな。ニヤリ


ジャック「奇遇だねロミーさん私も読書につい夢中でコーヒには手をつけてないんだ(ニヤリ)」


フィン「な!?くそ!」


ガコン!と馬車が停車した!


馬車のドアが開き武装した男が話しかけてきた


盗賊「おい、司祭は?何でこいつら動いてるんだ!」


フィン「うるさい!」


フィンが、ボウガンを持って私達に向けて馬車を降りる様に指示を出してきた。

ここで、抵抗しても仕方がないのでとりあえず、従って外に出ることにした。


私達は両手を後ろで縛られてた。


盗賊の頭「2人は、アンデットの中に放り込んでおけ!!!!」


盗賊「ぎゃはは!了解です!かしらぁ」


私とジャックはアンデットのいるキッチンカーに連れて行かれる


ジャック「はなせ!」

ロミ「汚い手で触るなぁ!(棒読み)」


フィオナ「フィン、フィン!これはどういう事なのです!やめてください!」



フィンは反応を示さない。

盗賊達がフィオナを手荒く扱うと、フィンが動いた


フィン「おい!フィオナ様は傷つけるな!」


盗賊「俺たちはこの女の始末を依頼されてんだ、どう扱おうが勝手だろう」


フィン「な!話が違うぞ!ただの人質なんじゃないのか!」


盗賊「ばーか、そんな話ハナから信じるお前がばかなんだよっ。この女は俺たちの為に身体を張ってもらわないとなぁ。いい身体だぁ、楽しみだゼェ!!!ひゃははへははは」


盗賊の頭「おい、どうせ、服なんて着てたところで直ぐに必要なくなる!司祭の服を剥ぎ取れ!」


フィン「やめろ!」



ドン!


盗賊「ぐあっ!!!」


フィンが盗賊にボウガンを向け発砲した!!

盗賊の1人に命中し、ほかの盗賊達がフィンに襲いかかろうとしていた!


その瞬間、私たちを縄を解き、抑えていた盗賊をアンデットのいるキッチンカーに押し込み扉を閉めた。


盗賊「ひゃひゃ!ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁたすけてくれぇぇぇええええ!!!」


キッチンカーが激しく揺れている。


ロミ「うっげぇぇええ」


ドン!ドン!ドン!

ジャックが銃を発砲し敵を制圧する


私も何かしないとな!

フィオナとフィンの周りの盗賊を一気に蹴散らすよぉ!


ロミ「"tornado"〈竜巻〉」


盗賊達「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」



うむ、一瞬で肩をつけた。呆気ない。



ロミ「ったく、クズ盗賊どもが!!(`皿´)怒!!!」


盗賊「ひ、ひぃぃぃぃい」


ジャック「まぁまぁその辺にしときなよ」


ロミ「はーい(^o^)/」




ロミ「"ivy"」


これは桜子さんも使った、植物の蔦などを使って敵を拘束する魔法だ

盗賊達をまとめて縛り上げた



ジャック「で、これからどうする?」

フィオナ「フィン、助けてくれましたね。感謝いたします」

フィン「、、、なんで、何でお礼言うんだよ。。僕は司祭様を裏切ったんだぞ!」


フィオナ「フィン、エミリオン様からの連絡が繋がっています、話をしてください」


連絡???

フィオナが水晶を取り出すと光だし空中にリオンの姿が投影された



リオン『フィオナ、皆も無事か?』

フィン「シルバーズ様。はい。」

リオン『フィン、お前の両親は無事だ!先ほど保護したぞ!!聞こえたか?お前の両親は無事だ!!』



フィンの両親らしき2人の姿が映るとフィンが立ち上がった


フィン「!?父上!母上!!ご無事でしたか!!!良かった!良かった!」


リオン『見ての通り、フィンは両親を人質に取られていてな、それで今回の旅の日程を敵に流していたのだ。内通者がまさかフィンだったとは、私も流石にショックを隠しきれなかったよ。。。』


フィン「も、申し訳ございませんでした!!!!」


フィンが跪きリオンとフィオナに深く頭を下げる


フィン「私の命を、私の命で償わせてください!!!」


リオン『だそうだ、フィオナ、どうする』


フィオナが立ち上がりフィンに近づき手を伸ばした

叩かれるのかと思いフィンはグッと食いしばった


フィン「!!!!フィオナ様!?」


ギュッとフィンを抱きしめるフィオナは泣いていた


フィオナ「わたくしにもっと力が有れば、フィン、あなたを苦しめることは無かったでしょう、どうか私を許してください」


フィン「ちが、何で司祭様が謝るんですか!?」


フィオナ「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」


フィン「ぼ、ぼくが、ぼくがぁぁあ」


2人が泣き崩れるのをただ見守るしか無かった。。。





リオン『今、私の兵士たちがそちらに向かっている。すり替えられた馬車は町外れで見つかったよ。神官達は無事だ。皆生きている』


司祭様がほっとしている。


ロミ「今回の騒ぎ分かってたならなぜ私達に知らせておいてくれなかったんですか!」


リオン『内通者がフィンだと分かったのは出発の直前でね、すでに君達のそばにフィンがいたので、話が出来なかったのだ。すまない』


ジャック「この盗賊達は誰から依頼を受けてフィオナ様の命を狙ったんだい?」


リオン『それは私の部下が到着次第ありとあらゆる手を使って吐かせてやるとしよう。覚悟したまえ盗賊の諸君』


盗賊の頭「く、くそぉ!」





あの傷んだ料理は昨日から既に転送BOXの中に入っていたようで、最初からキッチンカーの中には食材は積まれていなかった。


ただ、あのアンデットは盗賊達が殺した料理人達らしい。






私達の乗っていた馬車の御者は、気を失って椅子の下に倒れていただけで、無事だった。


フィンはあくまでフィオナを人質として受け渡した後は、両親が解放されると信じていたみたい。

フィオナは傷つけないことを条件に仕方なく従っていたようだ。

フィオナを守って盗賊を1人殺したフィンを許したみたい。


ロミ「私も状況を見定めようとして、フィオナに怖い思いさせちゃってごめんね」


フィオナ「いえ、そうしてくださったおかげで、フィンの本心を知ることが出来ました。感謝致します」






兵士達が到着し、盗賊達を引き渡して、新たにきた神官達と共にまた出発する事になった。


フィオナの馬車の中。


フィオナ「フィン、暖かい紅茶と甘いものをいただけますか」


ロミ「私はオレンジジュース!」

ジャック「私はコーヒーをお願いできるかい」


その場にフィンが立ち尽くしている


フィン「な、何故です!私はフィオナ様を裏切ったのです!罰を受けて当然です!」



フィオナ「ならば、もう二度と裏切らない様、悔い改めるのです。わたくしとエミリオン様の為だけに尽くしなさい。それがあなたへの罰です。これまで以上にわたくしとエミリオン様にその身を捧げるのです」


フィン「フィ、フィオナ様。。。」


涙をぬぐい深く頭を下げた後、テキパキと準備し始めた。


ロミ「むふふ、フィン、可愛ぇ。フィンって幾つなの?」


フィン「こ、今年で14になりました」


ロミ「は!?嘘でしょ!?メッチャ大人びてんじゃん!」

ジャック「ナターシャと同じくらい(19)かと思ったよ」


ロミ「こ、これは、大人になった時、メッチャイケメンになりそうだ。。。今でも十分イケメンなんだけど。。。」


ジャック「ロミーさんはフィンみたいな顔がお好み?(ニコニコ)」


ロミ「基本的に、イケメンでも紳士じゃなきゃ、興味ないですねぇ。チャラ男とかは論外なんで」


ジャック「うんうん、可愛いねぇ。(なでなで)」


何故今頭をなでられているのだろうか。。。

まぁ癒されるからいいかっ(o´罒`o)



フィン「あ、あの、ロミー様、ジャック様、し、し、質問してもよろしいですか?何故あんなに簡単にロープを外せたんですか?」


ロミ「えーとぉー、」


ジャック「トラップ解除系の訓練積んでるからねぇ僕等」


ロミ「(゚ー゚)(。_。)ウンウン」


キングでは、ダンジョンにさまざまなトラップがあって、ミニゲーム感覚でトラップ解除する事があって、パーティの誰か1人がスキルを習得していれば、進めるため、トラップ解除のスキルを習得しなくても中盤まで進める事もある。




フィン「あ、あと、キッチンカーが無くなったので、食材はあるのですが、調理が簡単なものしか出来なくなりました、申し訳ありません」


あ、そうかぁ

従者達しか、あとの馬車には乗ってないもんねぇ


ロミ「あ、夕飯って何にする感じ?」


フィン「決まっておりません」


ロミ「私が作ろうか?私こう見えて、料理人(レベルMAX)なんで。てへ。材料見せて」


フィンから食材の入ったアイテムを受け取り中身を確認する。

色んな食材が入ってるねぇ、これなら五日間くらい余裕じゃないかなー

しかも鍋や食器類も全部揃ってるじゃんじゃー、鍋ごと転送BOXにいれて後ろの馬車に渡して各自お皿についで食べてもらおう



ロミ「よし、今日はとりあえず、お野菜ゴロゴロオムカレーライスを作ろう!!ふわっとろ卵が最高だよー」


ジャック「ロミーさんの手料理楽しみだなぁ(ニコニコ)」








鼻歌を歌いながら、鍋に食材を入れていく、火を使う事なく熱々の食材が鍋に現れフィンとフィオナは驚いている。


キングの世界とここでは違うからねぇ


頭の中で料理工程を思い浮かべて食材を選び、調理方法を選ぶだけ

焼く、煮る、揚げる、などなど、

そうすると、包丁を使ってなくても食材は適当なサイズにカットされると言う便利さ。

魔法最高。



フィン「ごくり、いい匂い。。。」

フィオナ「とても楽しみですわ」


車内にカレーのいい匂いが充満しているジャックはずっとニコニコしている。

とりあえず、完成したカレーとご飯を大鍋ごと、転送BOXにいれ後ろの馬車に送った


ロミ「お野菜ゴロゴロオムカレーライス!できたぁ!こっちの世界の人のお口に合うといいけどー」


せっせと、お皿に人数分ついで、テーブルに並べたら完成ー!

えっとーまとめて作ったけど、こーゆーのって毒味とかってするのかな???


ロミ「えっとー、この世界って食事のマナーとかってありますか?」


みんな早く食べたくて、うずうずしている


フィン「ロミー様が作られるところをずっと見てましたが、怪しいところはありませんでした。僕が言うのもアレですが。。。」


フィオナ「では、フィンに最初に食べてもらいましょう」


ロミ「召し上がれー」


フィン「は、はい!いただきます!!!パクッ!!!はっ!!!!お、お、おおお、美味しいです!!!こ、ここ、こんなに美味しい料理初めて食べました!!!」


ジャック「おぉ」

フィオナ「まぁ、ではわたくしもいただきます。。。はっ、ほ、本当ですわ!こんなに美味な料理初めてです!!」

ジャック「いただきます。うーん、懐かしいなぁ実家のカレーと同じ味だよぉ(ニコニコ)」



良かったぁ!こんなにみんなに喜んでもらえるなんて!!!







かなり多めに作ったつもりだったけど、みんな残さずおかわりして食べてくれたようで、嬉しい


ジャック「ロミーさんはいいお嫁さんになるよ」

ロミ「ジャック、魔法と現実は別ですよ?(ニコニコ)」

ジャック「ん?(ニコニコ汗)」



元いた世界では、そもそも包丁で食材切るとか面倒くさい事はほぼしないし、火を使うのが面倒くさい。

お米だけ炊いてカップ麺とかスーパーのお惣菜で十分だよ

会社帰りの安くなったお惣菜。アレサイコー笑

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