第39話 領地の外




なんとなんと、私とジャックのお部屋もあるらしい!

この馬車は、外と中で、全く大きさが違う。

荷台部分の中は上位魔法によって拡張されており、かなり広い。

後ろに扉が二つついていて、左の扉が私達の部屋で右の扉が司祭様の寝室みたい。

今いる部分は共有スペースとして使用できる作り。

先導席にフィンともう1人御者が座ってて、フィンがお茶などの軽食は準備してくれるそう。

ほかの馬車にキッチンがあり、そこで料理は作られて、転送BOXの中に料理は運ばれてくる。

それも全て魔法だ。


この世界には転送魔法があるんだぁ

ならドロップアイテムとか転送魔法を使って皆んなと交換するのも便利だよなぁ


ゲームだと、タップするだけで、自動で全部出来てたから魔法とかそういう仕組みじゃないんだよね。ゲームの中じゃそーゆー部分って結構、機械的な感じなんだよね。



私は寝室を覗いてみた。


おぉー、6畳くらいのスペースに一応二段ベットだ!

ちょっと安心!( ・`ω・´)キリッ

あ、横並びでベットがあるよりは上下の方がいいって意味ね

小さめのテーブルにフカフカの椅子が二つ置いてある。

ハンモックもあるんだぁ





ロミ「司祭様の部屋もみてもいいですか!?.。.:*・'(*°∇°*)'・*:.。.」

司祭「はい、構いませんが、、、部屋を見たい。と言われたのは初めてです。クスクス」


あ!そっか、司祭様をってメチャメチャ偉い人だってこと忘れてた!!!


ロミ「す、すみません、失礼ですよね、」

司祭「いえ、私の事はフィオナと呼んでください、他のものがいない時だけでも特別扱いはしないでいただけないでしょうか。いつも、私に接する者は皆、尊い者に接している。と言う心情から、壁を感じていたのです。。。今では私に本音で語りかけてくださるのはエミリオン様くらいなのです。ロミー様とジャック様だけでも、特別扱いは 、、、」


ロミ「わかった。フィオナ、部屋見ていい?案内して(o´罒`o)♡」


ジャック「いきなり砕け過ぎじゃない?ははは」


フィオナは面食らって一瞬固まってたけど、すぐに嬉しそうに返事をして寝室を案内してくれた。


あぁーいい匂い〜

フィオナのお部屋は、司祭様らしく、シンプルで整っている。

でもゴージャス感はちゃんとあって、素敵。


ロミ「本がいっぱいだねぇ。あ、そうだ!この世界の文字が読めないのが不便で、何かいい本は無いかな??さすがにフィオナの部屋には無いよねぇ。向こうに着いたら本とか探してみようかなぁ」


フィオナ「あの、こちらの本を見ていただけますか?」


読めないけど、簡単なのかな?、、、ん???


ロミ「あれ?読める!なんで!?」

ジャック「"大陸と王国の歴史"本当だ!読める」


フィオナ「エンブレムです」


そうか、さっき加護を授けてくれた時!!!


フィオナ「この世界の役立つ情報をいろいろと、お付けいたしました」


ロミ「ありがとう!!!」



これで、看板に気がつかずに困ることもなくなる!!!




街を出発してどれくらい経ったのかなぁ???

ぶっちゃけ退屈なんだよねぇ

ずっと車内にいるのって。。。


ジャックはフィオナの部屋の本を借りて、寝室の方で趣味の読書を始めちゃったなぁ。


フィオナ「ちょうど今見えている、川の向こうに見える山、あそこの崩れている部分、あちらがキメラ、バニラがいた祭壇があった場所です」


ロミ「おぉーアレがバニラがいたとこかぁ。あーんなに遠かったんだねぇ」


バニラ「おぉ、豆粒だな。ほわぁぁぁぁあ」


私の膝の上に乗り丸くなって、可愛いのぉ。

よすよす(o´罒`o)


壁に貼られた地図を眺めた。

赤い点が動いているように見えて、私は目を凝らしてよーく見た。


ロミ「もしかして、あの地図の赤い点ってこの馬車???」


フィン「はい、そうです。この魔法の地図は倍率も変更できるんですよ」


フィンがお茶を淹れに来てくれて、そのついでに地図の元に行き、大きさを変えて見せてくれた


ロミ「おぉーすごーい」


私はバニラをソファに下ろして地図の所へ移動し地図を触ってみた

普通にスマフォで二本指を使って拡大する感覚に似ていて、ちょっと楽しくなってしばらく遊んだ



フィン「ロミー様、オレンジジュースをどうぞ、フィオナ様には紅茶を、ジャックはコーヒー砂糖とミルク無しをどうぞ」


お、好みを知っている!

クラウドに聞いたのかな?

流石世話係だよ。


フィン「ロミー様、道中は長く退屈だと思いますが、まだまだ長いので寝室の方にいても構いませんし、この馬車は特殊な魔法で守られてますので、何かあればお呼びしますので、自由にしててくださいね。」


フィオナ「狭い空間な為息がつまるかもしれませんね、私には気を使わないで寛いでください」


ロミ「本当に?寝っ転がっても怒らない?」


フィオナ「はい。いざという時にだけよろしくお願い致しますね」



お言葉に甘えてオレンジジュースをもって私は寝室に入った。

いちお、扉は開けっぱなしにして、開放感を取り入れつつ、私は二段ベットの上に陣取った


ジャック「あぁ、すまない、上着をベットにそのまま置いてたね」

ロミ「いえいえ、大丈夫です」


フィン「そうだ!ロミー様、天井から出てる紐を引っ張ってみてください、」


ん?言われるがまま紐を引っ張ってみると天井の壁が可動して太陽の光が部屋に差し込んだ!!


おぉ!!開放感!!!


フィオナ「外に出なくても月光浴をしていただけるように設計させましたので、ご安心ください」


ロミ「ありがとーーーー!あ、ジャックさん眩しかったら言ってください、閉めますので」

ジャック「大丈夫だよ、ちょうど上にして良かったね」

ロミ「はい!はぁーあったかーい(o´罒`o)」

ジャック「そうだねぇ(ニコニコ)」




寝室に本のページをめくる音が響く。


心地よい日差しと暖かさに私は不覚にも眠ってしまった。。。






<hr>

ー数ヶ月前ー




朽田「橘さん、"・・・さん"と仲が良いそうですね」


ロミ「あ、はい。いちおそうですね。。。最近見ないですが、、、」


朽田「そんなことは聞いていません。」


は!?


ロミ「はい。。。」


朽田「橘さんは人の話を聞く気ありますか?」


ロミ「はぁ、」


何?この質問。内容が無いような。。。


朽田「ここに書かれた数字をいつものフォーマットに入力だけしておいてください。こんな簡単な仕事30分くらいでできますよね?すぐに持ってきてください」







ロミ「朽田係長、できました」


朽田「、、、はぁぁぁぁぁぁぁあ(大きな溜息)こんなの作れって誰が頼んだの!?"資料"作ってくださいって言いましたよね!?"資料"!」


ロミ「えぇ!?入力だけって。こんな簡単なって仰ってたじゃないですか!!」


朽田「1〜10まで一つづつ言わないと仕事もできないんですか!?」


えぇぇぇぇええ!?

ま、まぁ切り替えよう、仕事しよう、まぁ、多分、聞き間違えたんだよ、自分が。うんそうそう、きっとそう。




ー別の日ー



チームリーダー「橘さん!もう帰るの!?お願いがあるんだけど!今日欠員が出ちゃって、明日のプレゼンの資料とか間に合いそうになくって、一生のお願い!!残業頼めないかなっ!?」


ロミ「わ、わかりました、何をすればいいですか?」


チームリーダー「ありがとう!」







朽田「何してるんですか!?何してるんですか!?残業は基本的にしてはいけないんですよ!?わかってるんですか!?わかってるんですか!?」


ロミ「はい、でも、」


チームリーダー「俺がお願いしたんです!明日のプレゼンの資料の作成を、、、」


朽田「はい、わかりました、もういいです、もういいです!残業は基本的にしては行けませんからねっ!わかってますか!?」


ロミ「はぁ、」


チームリーダー「ご、ごめん、橘さん、お俺が残業頼んだばかりに、でもなんで橘さんだけに言うんだろうなぁ、あんなの気にするなよ」


ロミ「あはは、」




このごろ朽田係長の私への態度が目に見えてトゲトゲしくなった気がする。。。。


あー頭痛い。

何をそんなに目の敵にするかねぇ






ーまた別の日ー


桜子「ロミちゃん大丈夫?顔色悪いよ?」

ロミ「あー、うん最近、朽田係長の無茶振りで、夜眠れなくてな、空をいいことに徹夜でキングやってた。あはは」


桜子「いやいやいや、そこはゲームはやめとこうよ。」

ロミ「でも徹夜したおかげで、大型アップデートの後の1時間にあった不具合の時間帯にプレイしてたから、お詫びの品に、超激レア"隠された王国への招待状"をゲットしたよ」

桜子「あー!私もその時インしてたから貰ったわー!!」

ロミ「じゃー、今日会社終わったら一緒にやろう!」

桜子「いや、今日は寝とこうよ」

ロミ「キングは別腹なんで、」

桜子「スイーツみたいに言うなぁ」




そうだ、アップデード後の不具合のお詫びの品、あれ、使えなかったんだよなぁ

準備中で後日使えるようになる。みたいな説明が書いてあったっけ。。。


いやしかし、毎日毎日、ネチネチネチネチと、ストレスたまるなぁ

今日も出社した途端嫌味言うに決まってる。。。


ヒステリックだし。欲求不満じゃね?あのオババ





<hr>

ー現在ー


フィン「昼食にしませんかぁ?」

ジャック「ロミーさん、ロミーさん」


ロミ「、、、パンケーキじゃなくて頼んだのは牛丼です」


ジャック「はは、おはよう(ニコニコ)」


お昼か。。。

ってか寝ちゃったよ。。。

なんか胸糞悪い夢を見たなぁーうげーテンション下がったわぁ



私が席に着こうとした瞬間、バニラがテーブルに乗って、料理の匂いを嗅いでいた


ロミ「バニラお行儀が悪いぞ」

バニラ「これ、なんか不味そうな匂いだぞ」

ジャック「失礼だよこう言う料理なんじゃ無いかな?」


フィン「あれ?ホントだ、おかしいな」


ウィンドを料理に合わせ、詳細を開いた


ロミ「この食材、鮮度がどれも、マイナス値ですよ!?料理の見た目だけ、良くする魔法が掛けられてますね。うげぇ」


フィオナ「キッチンカーで何かあったのでしょうか???」


フィン「いかがいたしましょうか、馬車を止めますか?」


フィオナ「いえ、このまま走りなさい。ロミー様天窓から後ろのキッチンカーの様子を見て頂けませんか?」


私はベットに登り天窓を開け、外に顔を出した。

後ろに馬車が3台見えた。

すぐうしろの煙突がついた馬車がキッチンカーだろうか、御者がいない!?



ロミ「キッチンカーって御者はいないの!?」


フィン「いえ、いるはずです。いなければ馬車はまっすぐ走りませんから」



ロミ「じゃあどうやって、あれは動いてるの???」


私は天眼のスキルでキッチンカーの中の様子を調べてみたら。


視界にうつるキッチンカーにウインドーがでてきて詳細が表示された


ロミ「『オート追尾走行、生存者無し、アンデット三体』!?」


フィオナ「!?」


なになに?追尾走行って何!?なんで?生存者なしって何?じゃ!一体この料理は誰が作ったの!?


ジャック「馬車に乗り込む?」

ロミ「待ってください」


その後ろに続く馬車も私は調べた。

フィオナの付き人や神官たちが乗ってるって聞いたけど、、、、


私は天窓を閉じ、ベットから降りて共有スペースにいるフィオナを寝室に急いで入らせた。


フィオナ「ロ、ロミー様?」

フィン「どうしたんです?」


ロミ「ジャック、フィオナ様から離れないでください」


ジャック「、、了解!」


ジャックは私の言葉に何かを察し銃を装備し、ドアの前に立った。


フィン「ちょ、一体どういう事ですか?」


ロミ「フィン、一つだけ質問するよ。君は、味方が敵、どっち?」





御者の座っていた方を見るとそこにいるはずの御者は居なかった。

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