第107話【決意の修行編その8】


 自身の限界である〝Ⅲ速〟を発動と共に、境界線を越える為の〝Ⅳ〟への切り替えを開始した。


 集中力を絶やさずに回転数を上げるニッシャ。


 しかし、灼熱の炎の如く体内へと侵略する莫大ばくだいな魔力に、意識を失いかけていた。


 それでも、ミフィレンの顔を思い浮かべ精神を強く保ちこらえる。


 だが、疲労感と急激な魔力供給により〝魔力酔い〟を起こす。


 自身の感覚としては永遠にも似た途方もない浮遊感ふゆうかんを味わっているが、実質の時の流れは僅か1


 この世界を0から創造し、6つに分散したとされる大精霊。


 その途方もない力の一角〝火の精霊〟の魔力を宿す身ながら、未だにその片鱗へんりんは出ていない――――否、


 生前のドーマが〝火速炎迅〟の全てを、弟子であるニッシャに教えなかった理由は、様々だが主な理由としてと考えていた。


 強大な力を持つ精霊を宿すのは、並大抵の〝精神力〟や〝不安定な器〟では不可能である。


 ニッシャでさえ死際しにぎわに、を、体内へ入れた事により強大な力を持つ精霊を使役出来ている状態だ。


 何故――――


 死後にして、ドーマの意思に逆らってまで、ニッシャに今更ながら伝えるのか?。


 それは世界にりとなって、均衡を保っていた筈の6つの精霊が、再び1つに集まろうとしているからだ。


 精霊同士は元々1つの超常体ちょうじょうたいであり、その中でも最強とうたわれる存在……


〝時の精霊〟が、他の精霊を取り込もうとしているのを、察知さっちしての行動である。


 代々つちかわれた技術と、精霊との対話により、次代へと受け継がれてきた〝炎〟〝水〟〝消〟〝荒〟の4


 だが、それには勿論もちろん


 残りの精霊である〝時〟と〝無〟この例外イレギュラーの2体だけは、、その存在を保っていた。


 分散した個を再び戻すのは、叶わぬ事だと思われていた。


 個として数千年もの間、暗躍あんやくしていた〝時の精霊〟。


 いつか、しゅとなるため力をたくわえ、うかがっていた。


 最悪の結末を未然に防ぐため、〝炎の精霊〟はニッシャを1から育てる事にした――――


 それでも、類稀たぐいまれない才能にも

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