第104話【決意の修行編その5】
感慨深そうに滝を見つめたニッシャ。
ミフィレンとの出会いを思い出しながら立ちあがり、滝に向かって静かにお辞儀をすると、何かの気配がする後方を振り返る。
木に
『よぉ、気になっている子にはちゃんと挨拶出来たか?いきなりで悪いが……現段階で何処まで物にしているか知りたい。出来具合によっては、
言葉をいい終える間もなくして、目の前にいた筈のニッシャの姿は
『炎武の練度とかは正直良くわからねぇが、〝四の段〟までは良く使ってたから自信あるぞ?』
そう言っていつの間にか煙草を口に咥え、煙を漂わしながら腕を組み、余裕の笑みで喋るニッシャに対し、ドーマは呆れ口調で喋り出す。
『ニッシャ――――お前はまだ本質を解っていない。例え〝瞬間的〟に移動しようが、高回転させた魔力により炎の道が出来ているせいで、敵へ居場所を教えているようだぞ?』
ニッシャがそれを聞き終えた頃には、咥えていた煙草は消えており、直後に後方から嗅ぎ慣れた煙の臭いが、嫌と言うほど鼻に突き刺さる。
数秒の沈黙の後に遅れてやって来たのは、ニッシャの足元付近の草木だった物。
まるで元からそうだったかの様に、不快感を与える悪臭と共に黒く焼け焦げた跡が付いていた。
嗜好品を咥えドーマは一息つくと、幻想的な風景を具現化した様に、美しく水飛沫が立つ滝を眺め、5本の指を順番に折りながら言った。
『昔、本物のドーマに言われた筈だ。前半となる一の段~五の段は後半の技、六の段~九の段へ繋げるための基本であり、それぞれ〝
ドーマの姿のそれは私の癖や性格、魔力の使い方に至る全ての点を把握している様だった。
まだ見ぬ私自身の〝可能性〟について、淡々とこう語った。
『〝Ⅲ速〟までは、人の形を保ちながら力を使える。だが――――〝Ⅳ速〟にもなると炎武後半の技を使うため、膨大な量の〝炎の精霊〟の魔力を、体内で巡回させなければいけない。その為には人と精霊の力を混合させ、境界線を越える必要がある』
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