第15話(ウォーゲーム・7)

スマートモンキーがメンテナンスから帰って来た。


「ゲッ! スマートタイガー……」

「ガオー! 久しぶりだな、スマートモンキー」


スマートモンキーは、リアルな虎にビビりながら、アールの元へ行く。


「アールの旦那。外野が煩いでしょう。ボイスチャットの範囲を狭めやすかい?」

「頼む」


アールに聞こえるノイズが、大幅に軽減された。


「ギルドメンバーは例外として、ディスタンス2メートル以内の声しか拾わなくなりやしたぜ」


キノコ達も7番フィールドに来て、アールと合流したが、アール争奪戦が激化した。数千人のプレーヤーが我先にと、アールにプレゼンする。


「我々と組めば、必ずや最初にログアウト出来ますよ」

「去れ」


「40アリガト貯まりました。僕達のギルドに入れば、アリガトポイントで好きな物をトレードしますよ」

「去れ」


バイオレットは状況を鑑みて、キノコ、カーマインと相談してフィールドを移動することを提案する。


「アール君、またワープするよ」

「頼む」


ホァンとキノズのメンバーはフィールドを移動する。カーマインのギルドも後を追うようにワープした。


アール達は17番フィールドに来た。また白色の壁で覆われている。そして、外野は居ない。


キノコはアールに判断を聞く。


「アールさん、バイオレットのお兄さんのギルドとキノズを統合するけど、良いかい?」

「ああ。構わないよ」


2つのギルドが統合され、50人の大所帯となった。ギルド名はモンキータイガー。リーダーはカーマインで、副リーダーにキノコが就任した。


カーマインもなかなかのやり手で、個人で800アリガトを貯めていた。


アールはスマートモンキーに17番フィールドについて聞く。


「17番フィールドから、スーパーガンユニコーンに入ると、何県になる?」

「17番フィールドは特別でさあ。素数でさあからね」

「素数?」

「1より大きい整数で、例えば、ここ17番フィールドなら1と17以外で割れない数字でさあ。5番フィールドなら1と5でしか割れない。それが素数でさあ」

「なんとなく分かった。で、17番フィールドは何県スタートだ?」

「中部地方から好きな所を選べるでさあ。長野県を解放したから、隣の県を落とすのをオススメするでさあ」

「じゃあ、取り敢えず、岐阜県にでも行ってみるか」

「お供しやすぜ」


アールは、またスーパーガンユニコーンをプレーすることをギルドメンバーに伝える。ギルドメンバーから、ガンシューティングゲームをかじってるプレーヤーが集まり、有志が組まれる。その特設チームで岐阜県を解放する算段だ。ギルドメンバーの共通意思として、ルクソール・オンラインからログアウトする最短の方法は、スーパーガンユニコーンで日本全国を解放する事となっている。


アールはスーパーガンユニコーンにエントリーしてプレーを始める。国道19号の道の駅からだ。


「アールの旦那、岐阜県の母船は瑞浪市ですぜ」

「分かった」

「ファマスもレールガンも弾はインフィニティですぜ」

「有難いバグだな…………さて、始めっか」

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