第43話 由利を救え
結論から言って、由利は.....一応、相澤社長に連絡して。
そして家に泊める事にはなった。
由利は.....不安な顔で寝ている。
「.....何でだろうね」
「.....何がだ?皆穂」
「.....何で世の中、上手くいかないのかな。私と良い」
私といい。
それはつまり、皆穂のヤンデレの事を指しているのだろう。
俺は目線だけ動かして.....皆穂と共に寝室部屋を後にした。
そして.....下に降りる。
そこには由紀治さん、ノア、母さんが居た。
俺は.....少しだけ眉を顰める。
そして拳を握った。
「正直言って.....由利の親が許せない」
「.....分かるわ。吉。心から。でもね.....これはもうどうしようも無いと思うわ。ご家族の間で話し合う事だと思うの」
「.....でも話し合った結果だよね。逃げて来たのは.....西子さん」
「.....それは.....」
母さんは押し黙る。
このまま由利を家に帰すか。
それとも.....別の場所に連絡する?
だけどそれをやって.....由利が安心するのか?
そう、思っていると由紀治さんが言った。
「.....僕も過去の、つてを辿るよ。それなりに協力はしよう」
「.....はい」
「時間は少ないよね。何とかしないとね」
由紀治さんはあくまで笑顔だった。
俺はその顔を見ながら、複雑な顔をする。
早速と言わんばかりに何処かに電話した、由紀治さん。
「.....私達に出来る事って無いのかな」
「.....ノア.....」
「.....私、悔しいんだ。だって.....こんな目に遭っているのが」
「.....お前は.....そんな感じだもんな」
そだね、とノアは笑みを浮かべる。
皆穂が顎に手を添えて考える。
俺も.....少しだけ考えた。
「.....でもやっぱり日本の法律上では無理だよね。結局は」
「.....そうだな。日本は.....起こってからじゃ無いと動かないからな」
何か無いのか。
由利を救って.....そして。
救い様の無い相澤社長を救う方法が。
俺は.....考える。
「子供家庭支援センターに連絡する方法が有るみたいだね」
由紀治さんが戻って来た。
俺達は柔和な由紀治さんを見る。
かつての、つて、ってのは.....何なのだろうか。
俺は.....聞こうとしたが。
敢えて聞かなかった。
「でもあれって虐待.....が疑われる時だけですよね?」
ノアが少しだけ悲しげな面持ちをする。
俺は.....そうなのか、とまた複雑な顔をする。
だが、皆穂は違った。
皆穂はハッとしながら考える。
「私が.....由利ちゃんを風呂に入れた時に.....何だか青痣があった。お腹の辺りに.....」
「.....え?マジか」
「うん」
俺を見つめる皆穂。
それは確かに虐待への重要な証拠だ。
俺は思いながら.....考える。
確かにお腹辺りが少しだけ膨らんでいた気がする。
だけど.....もう一声欲しいな。
「あの.....思ったんだけど」
「.....どうした。ノア」
「.....相澤社長の家の周りで.....話を聞いてみたらどうかと思った。確か、虐待が疑われるだけでも.....泣き叫ぶ声でも理由は十分だったと思うから」
「.....あー.....」
成る程.....。
俺は顎に手を添えて考える。
すると着信が有った。
俺は驚愕しながら電話に出る。
『虐待が行われている場合、通報者に罪は無いって書いてある。だからそこら辺を調べるのも手じゃ無いかな』
「.....お前、ずっと探していたのか?数人」
『.....助けを求めれなかった僕に差し伸ばしてくれた恩人に何か出来る事は無いかって思ってね』
「.....数人.....」
コイツという奴は.....。
少しだけ涙が浮かぶ。
俺は良い仲間に恵まれたな。
その様に思いながら、携帯を握ってみんなに宣言した。
「じゃあ、周りに聞きに行こう。それで良いかな。証拠集め的な」
「.....そうだね」
「そうだね」
『当然、僕もだね』
母さんと.....由紀治さんが俺達を優しく見守っていた。
やれるだけやってみろ、という感じで、だ。
俺はそれを見てから目を閉じて天を仰ぐ。
そして.....意を決した。
由利を救う。
かつて、俺がヤンデレ化した皆穂を救えなかった事を考えて。
俺は今度こそ.....救う。
そして.....みんな幸せのハッピーエンドを求める。
それが俺の.....夢でも有り。
少しの償いになるんじゃ無いかって思う。
「お兄ちゃん」
「.....どうした?皆穂」
「あまり.....重く考えないでね」
「.....そうだな」
そうだ.....今度はあの時みたいに一人じゃ無い。
解決するにも.....皆んな居る。
だから.....大丈夫だ。
「.....由利を救うぞ!!!!!」
「「「おー!!!」」」
そして.....由利を救う計画が始動した。
この先、どんな敵が待っているか分からない。
広がる全てに.....何が待っているかも。
だから.....皆んなで乗り越えるんだ。
そう、俺は思った。
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