第35話 皆穂が起こした?事件の数々

人の心とは何だろうか。

この世界に生きる人は.....心という答えを探しては打ち砕いてそしてまた探す。

人の心とは不思議な存在だと思う。

何故かって.....そうだな。


あの時だってそうなのだ。

皆穂と.....由紀治さんが俺の冷たさの心に全く諦めず。

俺の心を卵を温める母鳥の様にいつもやって来ては面白い会話をして帰ってくれたのを覚えている。


その一つ一つはもしかしたら意味の無い言葉なのかも知れない。

思い出話。

日常で何が起こったか。

面白い漫才師のコント話。

そんな感じで.....意味の無い言葉だった筈だった。


だけど、俺にとっていつかそれは。

その言葉の一つ一つが。

俺にとって.....大切な言葉になっていった。

だから俺は.....自覚した。

悲しませてはいけないと親父が言っていた事を。


そしていつしか.....俺は重い足を上げてドアを開けたのを.....今でも忘れない。

笑みを3ヶ月ぶりに見せて。

そして.....目の前で.....由紀治さんと.....皆穂が涙を流したのを。

母さんが感涙の涙を流したのを。


今でも忘れ様にも決して忘れられない。


だけど、それから暫く。

約20日に事件は起こった。

何の事件かと言われたら皆穂がヤンデレになった.....きっかけの事件だ。

俺は.....今でもそれは.....本当に皆穂なのか?と悩んでいる。



ヤンデレってのは端的に言うと。

病気じゃ無いと俺は思う。

ただ、熱愛をしているだけで、だ。

でもそれが.....皆穂に起こってしまうなんて思ってもみなかった。

あんなに優しい皆穂が、だ。


3ヶ月後、俺が.....病院のリハビリとデイケアから帰って小学校に向かってそして.....教室に向かった。

実はニートから脱してからずっと。

俺が親父が居ないと馬鹿にされたのだ。

それはまだ良かった。


しかし、それからだんだん分かってきた俺のニートだったという存在が.....周りのイジメっ子の火を点けたのだ。

つまりは.....ニートって臭いんだろ?

とか言われて偏見の眼差しでイジメを受ける様になってしまって俺は泣いて帰る日が多くなったのだ。


心が病んでいたのに更にそんな事になり俺は完全に学校に行きたく無くなった。

それが.....良く無かったんだと思う。

それを見た皆穂の心に.....憎悪の炎を灯してしまった。

皆穂の心が歪んでいったんだと.....思う。


何故かって言われたら。

皆穂とノアを川から救った。

それも影響している。

俺を慕っていたのだ、皆穂は。

だから。


でもそれは隠していた。

俺の今の状況を鑑みて、だ。

だが、我慢の限界が来て皆穂はブチギレた。

脳の血管が切れる様にだろうけど。


その日から皆穂は.....様子がおかしくなった。



ある日の事。

犯人が分からず仕舞いだったが、とある事件が起こった。

何の事件かと言われたら、とある俺を虐めていた首謀者が.....ガムテープで縛られ廃ビルで調理用油をぶっかけられ、火を付けられて。

皮膚移植をしなくてはいけなくなったぐらいの事件。


俺は何だそれ.....と思って。

そんなエグい事を誰がやったんだと思っていた。

後に皆穂を疑う様になったのは。


ガムテープが無くなっていた事。

皆穂の使っていたピンクの水筒の中.....油がびっしりこびりついていて捨てられていたのを俺が偶然みつけて.....拾ったから。

そして、調理用の油が滅茶苦茶に減っていたから。


俺は.....皆穂を問い詰めた。

そして口を破らせようと思ったのだが。

皆穂はニコニコしているだけだった。


何お兄ちゃん?


挙げ句の果てには首を傾げる。

ただそれだけの様子に。

俺はどうしようも無くてタジタジした。


ケロイドになる火傷を.....イジメっ子の首謀者に負わせた。

それを.....皆穂が怪しい事を.....警察に言うべきだったのかも知れない。

だけど、当時の俺にはそんな力は無かった。


強く問い詰めるべきだったのかも知れないとも思う。

何故かって言われたら。

俺の周りのいじめっ子が.....どんどん減っていったから。


一人は学校でプールで突き落とされてモップが側に落ちていたが溺れ死亡。

一人は自殺行為?の様に首を理科室で吊り、意識不明の重体。

一人は密室のトイレでビニールテープで縛り付けられ、トイレ用の洗剤が混ぜられ、それを無理矢理、嗅がされて重症を。


連日、ニュースで怪事件の事が取り上げられていた。

これらについておかしいと思わない方がおかしい。

だって皆んな俺をイジメたイジメっ子なのだ。


俺は.....皆穂を連日の様に問い詰めたりした。

しかし、皆穂は.....全く無反応。

それどころかニコニコしていた。


笑顔のままだった。


ニュースを観ても.....無反応。

果たして、これらが全部.....皆穂が起こした事なのか。

それは今でも分からない。

だけど、一つだけ言えるとしたら。

皆穂の部屋に.....誰かの毛がプレパラードに収められて有った。


それは.....今ではもう無いが。

今、DNA鑑定したら.....多分、あれはきっと.....。

女性の力でどうにかなるとは思えないが.....思えないが。

そう思うしか無い。


だけど心の底では違うと。

そう祈っていた。

だけど、いじめっ子は減って皆穂の奇妙な行動も治って。


いつしか俺は事件の事はほとんど忘れ。

それから思春期を迎えた皆穂とは喧嘩状態になり、俺は小間使いされて今に至っているが.....。

そうか、皆穂は昔からおかしかったのだ。

改めて考えて、今、思い出した。


だから皆穂は.....ヤンデレだと。


そして俺は.....皆穂を嫌ったのだと。


だから今が成り立ったのだと。

今、思い出した。

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