第九章 夏だ、海だ、ビキニだ、と過去
第32話 海、夏、ビキニ
7月1日、午前11時23分。
何というかクソ暑い。
吉武先輩と数人の再会から1ヶ月。
テストとかふざけた事が色々有りながらこの日になったが.....。
「.....暑い.....」
俺と鹿島先輩は今、海パン姿で海岸に居る。
女子達を待っている。
夏休みももう直ぐと言う感じの7月。
流石の鹿島先輩も茹っている.....と言う事では無い。
何故か歯を輝かせてムキムキしていた。
元気だな、この人。
ああ、何故、海岸かって?
簡単だ、海に行きましょうという吉武先輩の提案で今此処に居る。
何と言うか.....暑い。
とにかく暑い。
猛暑じゃねかーよ。
俺はツッコミを入れながら、早く何か癒しが見たいと思った。
癒し.....女子達だ。
「はっはっは!そんなにハアと溜息を吐いていたら幸せが逃げるぞ!伊藤!」
「いや.....先輩、元気過ぎます。気味悪いです」
「おう。失礼だな伊藤!お前もやるか?ムキムキ体操!」
断ります、と俺。
黄金色の肌の様な肌を太陽に晒しながらムキムキポーズ。
俺は頭に手を添えながら太陽から逃げる様に。
傘の下に避難していた。
「お待たせ。ってどうしたの?お兄ちゃん」
「おう.....え.....」
ビキニ姿の.....全員が居た。
特に皆穂はピンクのビキニだ。
そこには豊満な乙パイが有った。
俺は鼻血が出そうになる。
「まさに良い反応だな。吉!.....下半身もな!」
「何を言っているんですか!吉武先輩!そんな事は無いっす!」
「.....吉くんの変態」
水色のビキニでドン引きしている、ノア。
そしてケラケラ笑う、小町先輩。
俺は.....ハァと溜息を吐いた。
「所で、背中にオイル塗ってくれないか?吉」
「「「.....ハァ!!!!?」」」
「ほら、胸のビキニ外すから.....」
「センパーイ!!!!!」
こんな感じで.....俺達は海岸に来ていた。
こうなったのは4時間前の事だ。
そしてこの場所は.....反対側の電車路線の4つ先の駅に有る。
日帰りが出来るのだが.....心臓持つかな、これ。
☆
4時間前。
「いや.....ちょっと待て.....皆穂.....」
「お兄ちゃんのこれ.....凄く大きいね」
「皆穂!勝手に持つなよ!」
「.....さっきから何を言っているの。お兄ちゃん」
ドン引きしている皆穂。
化粧水の瓶の事を大きいと言っているが。
そうも聞こえないのが皆穂。
エッチだな、おい。
「.....お兄ちゃんの変態。もしかして.....」
「冗談だ。その化粧水、安くてデカいんだニキビ予防だ」
「言い訳しないでね。変態」
俺のあだ名が変態になりそうな勢いだ。
あたふたしながら俺は苦笑いを浮かべる。
当の皆穂は溜息を吐いて、準備をし出した。
俺達は今、吉武先輩にお礼と海に部員で海水浴で遊びに行かないか、という名目で準備を始めたのだ。
そうして洗面所に居るとノアが覗いて来た。
「吉くん。皆穂ちゃん。準備出来た?」
「何?ノア。アンタ準備出来たの」
「出来て無いけど.....聞いただけ」
「じゃあ早く準備しなさいよ」
怒り交じりに言う、皆穂。
何だか焦っている様な姿だ。
皆穂、お前、余程楽しみなんだな、と俺は言いながら苦笑する。
「.....そうなのかな?」
「.....ああ。きっとそうだと思うぞ。楽しみなんだよ」
「.....そうだね。忘れていたけど」
「.....」
皆穂はエヘヘ、と苦笑した。
俺は.....その顔を見ながら複雑に思いながらも。
嬉しく思った。
「.....とっとと準備すっか。俺達も」
「そうだね」
その時だった。
ノアが再び、顔を見せる。
そして.....ニコッとしていた。
何だコイツ?
「そう言えば忘れていたけど、昨日、吉くんから本貸してもらう時にエッチなラノベを吉くんの部屋から見つけたけど.....」
「.....ノア。詳しく」
思いっきりこれまでと目付きが変わった皆穂。
俺は勢い良く青ざめる。
そして壊れたブリキ人形の様にギギギと音がしながら俺の方を見てくる、皆穂。
その目は.....漆黒に染まっていた。
ただ、ニコッと笑む。
「どうだって.....よくね?」
「うん?何を言っているのか全然分からない。良く無いよ?お兄ちゃん..........?そもそも何でエッチなラノベが有るの.....?」
「.....はい」
「検討次第では君は肉片になるよ。お兄ちゃん..........?」
ノアが来てからというもの。
こんな感じだ。
俺は苦笑いを浮かべながら脂汗を流しつつ。
捨てます、と答えた。
「じゃあ、準備すっか」
「まだ話は終わってないけど.....?」
「そうだよ。吉くん。.....スケベ。エッチ」
「う.....そ、そうだけどマジに時間無いだろ!お前ら!」
慌てる、俺。
今の状態でこれは見苦しい限りだが。
俺をジト目で見てくる二人を唆す。
そうやって急かして、一応電車の時間に間に合わせた。
そして.....旅が始まったのだ。
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