第31話 再会

ここまで来るのはそんなに簡単な道のりじゃ無かった。

色々有って皆穂も色々有って。

だから簡単な道のりじゃ無かった気がする。

だけど、今日.....皆穂は俺に対して吉武先輩を喜ばせたいと言った。


俺は嬉しかった。

吉武先輩の為に動く.....もそうだが。

皆穂が.....戻って来ている事に。

色々有った。


絶望も有り。

希望も失われ。

そんな中で、皆穂が戻って来ている。

こんな嬉しさは他に無い。


「買ったんですね」


「ああ。君達のお陰で.....買えたぞ」


「こっちも買えました」


ノアの物品を購入して。

それから.....サプライズの企画がスタートする。

皆穂に合図を送って、そして吉武先輩に言った。


「.....吉武先輩。うちに来ませんか」


「.....え?どうしてだい?」


「.....えっと、皆穂の事など.....話し合いたいので.....」


俺達は顔を見合わせてそして頷く。

吉武先輩は俺と皆穂を見て、そして話した。


「.....皆穂や君に悪くなければ.....良いけど?」


「じゃあ決まりですね。.....この後、来ますか?」


「お昼ご飯作りますよ」


嬉しいね、感謝するよ。

と、吉武先輩は柔和に俺達を見た。

そしてデパートから出て。

電車に乗って.....。


「でも.....どうしたんだい?急に」


「.....何がですか?」


「いや.....自宅に急になんて」


「.....俺は感謝しているんです。吉武先輩に」


その言葉に?を浮かべながら俺を見てくる、吉武先輩。

俺は優しげな顔付きで見つめた。

本当に感謝している。

それに間違いは無いのだ。


「.....そして私も.....感謝しています」


「.....皆穂.....」


「.....だから招待したかったんです」


そう、言った時だ。

メッセージが入って来た。

主はノアだ。

俺は席を外して隠れながらそのメッセージを読む。


(数人先輩、居ます)


「よし。良い感じだな」


俺は外を見てから頷いて。

そして吉武先輩と皆穂の元に戻った。

吉武先輩は、おかえり、と言う。


「何だったんだい?」


「秘密です。吉武先輩」


「.....?」


吉武先輩に人差し指を立てる、俺。

後もう少しだな。

俺はその様に思いながら、電車の停車駅を確認した。



「ここが君達の家か」


「そうです」


「そうっすね」


俺の家に帰って来た。

因みにノアに話をしていて玄関先で.....数人を待たせている。

さて、どの様な反応をするかな。

俺は楽しみに思いながら、皆穂と一緒に玄関を開けた。


「どうぞ」


「.....お。じゃあしつ.....」


吉武先輩は見開いた。

阻止て.....ドサッと荷物を落とす。

関係無しな感じで、だ。

そして.....涙を流して、一言、恥じらっているその人物に言った。


「.....数人」


「.....久しぶりだね。優香」


「.....な.....何で.....何で数人.....」


動揺した様に言う、吉武先輩。

俺は.....皆穂に頷きながら笑みを浮かべる。

ノアも笑みを浮かべて、言葉を発した。


「数人先輩.....必死に来てくれました」


「.....優香に会うつもりは無かった。だけど.....」


と数人がそこまで言っている時だった。

吉武先輩が数人を抱き締める。

そして涙を流した。


「.....数人.....会いたかった.....」


「.....苦しいんだけど。優香」


「.....いや.....本当に心配していたんだよ?私.....会いたかったんだよ?」


赤子の様に泣きじゃくりながら。

およそ.....一年ぶりの再会を嬉しく思っている様だった。

俺も涙が浮かんでくる。


「.....優香。苦しい」


「.....あ、ご、ごめん」


そして離れて涙を拭う、吉武先輩。

ノアも涙を浮かべていた。

俺は.....涙を拭いながら、数人に向く。


「.....数人。協力に感謝する。有難うな」


「.....僕はディールをするのが当たり前と思っている。だからまあ.....ね」


数人は.....その様に言って。

吉武先輩に向いた。

そして手を握る。


「.....ただいま、優香」


「.....お帰り。数人」


二人共に良い顔だった。

こうして、数人と吉武先輩が。

一年振りに再開して.....そして.....噛み締めた。

再会のサプライズは成功した感じだ。



「二人共。有難う。そしてノア。君もね」


「.....いえいえ」


「.....感謝するのは俺達ですよ。吉武先輩」


吉武先輩は涙目で数人を見る。

数人は少し恥じらっている様に見えた。

だが、嫌って訳では無さそうだ。

俺は紅茶を淹れた。


「.....優香。元気?」


「元気だよ。私」


「.....そう。良かった」


そんな会話ばかりだが、それでも.....良い感じだ。

俺は和かに思いながら紅茶を置く。

そして椅子に腰掛けた。


「.....正直言って.....複雑だけど、会って良かったと思う」


「.....そうか」


「.....君もぶっ飛んだ発想をするね。吉」


「.....それはお前もだ。ハハハ」


そして俺は数人の肩を叩く。

そうして、数分して俺達が紅茶を嗜んでいると。

数人がとんでも無い事を言った。


「.....吉が学校に居るなら.....僕も学校に行こうかな。まだ無理かもだけど」


「.....お前.....!」


「.....優香も居るしね」


吉武先輩は手が止まっていた。

何を言われたか理解できない感じだったが。

数秒経って、号泣した。


「来るの.....数人?」


「.....まだ外に出るのが苦痛だけど。だけど徐々に慣れていこうと思う」


「.....お前は偉いな。数人」


本当に.....偉い。

俺は涙を拭いながら、そう言う。

そんな数人だが.....ほんの少しだけ.....笑んだ気した。

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