第六章 ノア、悩む
第27話 海外に行くかも知れない
数人と約束を交わしてそしてバスで帰宅の途についた。
俺の家に数人が来てくれるという。
とても嬉しかった。
数人が約束をしてくれた事に、だ。
これで吉武先輩に良い報告が出来るだろう。
俺は.....その様に思いながら、横で寝ている皆穂を見る。
そうしていると電話が掛かって来た。
俺は?を浮かべながら電話を見る。
皆穂も起きてしまった。
何だか申し訳無いと思いながら電話の人物を見る。
ってか.....ノア?
「.....もしもし?ノア?どうした」
『吉くん。ちょっとお話が有るんだけど.....』
「後でで良いか?ちょっと今、バスに乗っててな」
俺はその様に返事した。
これについて、うん、分かった、とノアは了承してくれたが.....。
何の話だ?俺は思いながら、皆穂を見る。
皆穂は俺に向いていた。
「.....どうしたの?」
「.....ノアだ」
「.....ノア.....ああ、どうしたの?」
「.....分からないが.....後で連絡する」
ノアの事に関してその様に言った。
しかし何だろうな。
若干、切羽詰まっている様な声だったが。
俺は?を浮かべながらスマホを見た。
☆
バスが着いて俺と皆穂は帰宅した。
皆穂は風呂に入る。
その間にスマホを見てリビングに行ってからノアに連絡する。
すると、直ぐにノアから返事が有った。
ノアは.....有難うと小さく言う。
どうしたんだコイツ。
「ノア?どうしたんだ」
『.....実はね.....私、海外に行かなくちゃいけないかも』
「..........は?!海外?!」
俺は.....少しだけボーッとしながら黙って聞いていたが。
海外と聞いて素っ頓狂な声が出てしまった。
俺は直ぐに見開きながらスマホに言葉を発する。
「お前、どうして海外?!一体どうした!」
『.....うん.....えっとね、私.....のお父さん。心臓病が酷くなってしまって。海外で手術でその後に療養しなくちゃいけないみたいなの』
「.....!」
そう言えば少しだけ聞いた事が有る。
それは.....ノアの父親の事だ。
ノアはそんな事を度々に話す様な.....人間じゃ無いから一度だけしか聞いた事が無いのだが。
だから今まで忘れていたが.....まさかだろ。
今、海外に行くのか.....。
俺は少しだけ複雑な顔になった。
「.....何とかならないのか」
『.....何とも言えないけど.....その.....お母さんに相談した。だから.....土曜日か日曜日に.....そっちにお母さんが行くと思う。迷惑が掛かるけど.....ごめんね』
「.....土日か.....」
土日は空いているから別に良いのだが。
でも.....ノアの母親とか有った事が無いな。
今まで.....ずっと会った覚えが無いし、ノアも話をした覚えが無い。
何故だろうか.....。
「.....ノア。母親って.....確か先生だったよな?」
『そうだね.....ちょっと.....拗れるかも.....』
「.....何とかして説得しないとお前が居なくなったら.....皆穂がやばいな.....更に大変な事になるかも知れない」
『.....うん。私もちょっと.....気になるから』
さて.....どうしたものかな。
俺はスマホを持ったまま、窓から外を見る。
外は夕暮れだ。
それを見ながら.....俺は複雑な思いを馳せた。
「.....頑張ってくれ。俺も頑張るけど、身内が頑張った方が更に効果が有ると思う」
『.....うん。ごめんね。突然の相談で』
「.....いや。ちょっと衝撃だけど、大丈夫だ。だけど.....完全に説得出来るか分からない。その時は.....すまない」
『大丈夫。その時は.....うん』
ノアは涙声になっていた。
嫌なのだろうな。
俺は思いながら、気配を感じて背後を見た。
背後に服装を整えた皆穂が立っている。
「ノアどうしたの」
「.....皆穂。ノアな、海外に行くかも知れない。それを引き止める説得をしている」
しかしその皆穂の次の言葉は冷たいものだった。
俺は少しだけ悲しくなる。
「.....ノアなら行っても良いんじゃ無い?邪魔な者が消えるから」
「.....お前は本当にそれで良いのか。幼馴染だろ。ノアは」
「.....でもお兄ちゃんを取ろうとしている」
「.....そういう問題か。俺は.....どっちのものにも今はならない」
俺は皆穂の肩を掴む。
そして.....皆穂を見つめた。
皆穂は?を浮かべる。
そんな皆穂を見つめながら、俺は必死に訴えた。
「.....皆穂。.....ノアは間違い無く俺もお前にとっても無くてはならない存在だ。だから.....お前も協力してくれ」
「.....でも.....私にとっては.....」
「.....お前が元に戻る為に必要な人だ。元に戻りたく無いのか?」
皆穂は少し眉を顰めた。
俺は.....そんな皆穂を見る。
だが、次の言葉は.....俺の予想を裏切った。
「私は元に戻りたく無い。お兄ちゃんを失う」
「.....皆穂.....」
「.....だから私は.....ノアはどうでも良い。そして元に戻る気は無い」
そして皆穂は部屋を出て行ってしまった。
俺は.....目に手を当てて。
そして涙を浮かべた。
「.....どうしたら良いんだ.....」
数人の説得が効いていると思ったのだが。
予想は全て違った.....。
俺は涙を流しながら膝を丸める。
どうしたら良いのか、と悩みながら。
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