第12話 ゴールデンウィーク
あっという間に全てが決まってしまった。
某有名お嬢様学校に通っていた皆穂は偏差値が凄く低い俺の学校に転学してくる事になり、俺はこれで良いのかと思ってしまう。
そして、ノアも転学。
つまり.....波乱万丈な高校生活に.....
なってしまった。
「ノア!アンタベタベタし過ぎ.....」
「み、皆穂ちゃんだって!」
「.....お前ら.....俺の学校生活を返せ.....」
転学した日。
四時限目が終わった昼休みに美少女が二名。
俺の教室で俺に弁当を食わせるか食わせないかで俺を求めながら争っている。
昼休み、弁当の話で、だ。
そしてお弁当のアーンをどっちがするか、という感じで。
そんな感じだ。
何をやっているんだコイツら。
って言うか、ノアは俺に惚れてない筈なんだがなんでこんなムキになっているのだろうか.....?
俺はそんな感じで頭を抱えて俯いていた。
それを他所に美少女二名は争う。
言い争う。
「ノア!アンタ自重しなさいよ!」
「皆穂ちゃんだって自重してよ!」
「.....お前ら.....どっちでも.....」
「「良くない!!!」」
いや、話が纏まらないんだが。
教室中は唖然としているし。
滅茶苦茶、恥ずかしい。
俺はそういうタイプの男じゃ無いんだ。
そう考え、俺は主張した。
「どっちも食うから!頼むから争うの止めて!」
「じゃあ私が1番最初ね」
「私が一番!」
「.....」
そうなるか.....。
まさかの展開に俺は唖然とする。
マジにこれでは話が終わらない気がした。
終わりなき.....感じだ。
高ければ高い壁だな.....。
「.....そういや!ノア!皆穂!母の日、何か考えたか?」
さあどうだ。
動きが止まった、やった、止めれたぞ。
と思いながら、俺は二人を見つめる。
二人はキョトンとした。
「え?母の日?まだ先じゃない?」
「.....そうだよ。吉くん」
「.....いや、ゴールデンウィーク有るしよ、そこで考えようかと思ったんだ。俺は」
「「.....ゴールデンウィーク.....」」
そうだ、テスト終わったし5月に入る。
もう直ぐだろ、と俺は言う。
その言葉に皆穂とノアの表情が変わった。
そして俺を見つめる。
「.....じゃあ、私とデートしよ」
「.....み、皆穂ちゃん.....吉くん、買い物行きたいんだけど.....」
な.....んだと。
いや、駄目だコイツら。
俺は額に手を添えて盛大に溜息を吐いた。
マッチに火が点いた様に加速して行く。
妄想とか、が、だ。
にしても間も無くゴールデンウィーク。
さて.....一体、どの様な感じになるのだろうか。
と思っていると、母さんがとんでも無い物を持って帰ってきた事によって全てが変わり始めた。
☆
家に帰ると先に帰っていた母さんに呼び止められた。
今日は委員会が休みで、皆穂も居たが。
何だろうかと思いながら言うと、母さんが何かの券を差し出した。
俺と皆穂は見る。
「.....旅券?」
「.....そう。ここから何駅先かの旅館の三名様分。なんか.....ゴールデンウィークキャンペーンのクジで当たったの。でも私達は仕事で泊まれないから.....しかも量が中途半端だし、貴方達、行ってらっしゃい。ノアちゃん誘って」
「.....ノア?えー.....」
いやいや、皆穂。
お前どんだけノアを嫌ってんだ.....。
と思いながらジト目で見つつ。
母さんに向いた。
「俺達、未成年だけど大丈夫かな」
「大丈夫よ。私達も可能な限り配慮はするわ。せっかく有るんだし行ってらっしゃいな」
母さんは微笑む。
俺は顎に手を添えて少しだけ考えた。
もしかしたらこの前の事を思って言ってくれているのだろうか、と。
だとしたら断れないな。
と思っていると、皆穂が目を輝かせた。
「お兄ちゃん。行こうよ。二人で」
「ノアも、だ」
「.....ノアは良いよ」
「良くねぇよ」
何でだよ。
ノアと仲良くしろ。
俺はその様に思いながら、母さんに向いた。
そして手渡しで旅券を受け取る。
「.....じゃあ、行って来ます」
「ええ。楽しんでらっしゃいね。無くさない様に」
「はい」
今日は5月1日。
ゴールデンウィークまであと2日ぐらいか。
ノアに連絡して.....許可を取って.....。
それから必要な物を用意とかしないといけないな。
俺は考えながら皆穂を見る。
「.....今から買いに行くか?必要なもん」
「.....うん。デートだね」
「違うっつってんだろ」
俺は盛大に溜息を吐いた。
ギャグだろうと受け流していたが今日は皆穂はムッとしながら俺を見つめていた。
何だコイツ?今日、なんかおかしくね?
すると皆穂は眉を顰めて俺を見て。
「.....お兄ちゃん.....」
「.....何だよ」
「フン、だ!」
と言った。
つーか、何だよ.....。
全く分からないと思いながら母さんを見ると。
あらあら、と嬉しそうに苦笑していた。
仲が良いのが嬉しいのだろう。
「.....皆穂ちゃん」
「.....何ですか?西子さん」
「.....貴方、変わったわね」
「.....?」
クエスチョンマークを浮かべる皆穂の傍ら。
母さんは嬉しそうだった。
本当に、だ。
俺は.....その光景を見ながら、少しだけ笑んだ。
そして時間を見て、皆穂に声を掛け俺達は買い物に出た。
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