第2話 裏の顔を見せる者
母さんの再婚相手、由紀治さんの連れ子。
高一で娘の皆穂という、俺の義妹という定位置に当たる女の子について。
常に俺を路傍の石的な感じで見下している様で余りにも.....最悪の気分で日常を過ごしている。
チェスで言えばポーン。
将棋で言えば歩兵に近い扱いだ。
かなり舐められたものであり非常に困っている。
というかチェスの駒とも将棋の駒とも思ってないかも知れないな。
粗大ゴミか巨大な生ゴミ扱いかも知れない。
昔は俺の扱いは違ったのに.....何故今はそんな扱いをするのかは分からない。
俺を助けてくれたあの時の皆穂は何処に行ってしまったのか.....。
この今の扱いは絶対に許されないと思う。
だって俺は義兄で年上だぞ。
何というか.....いくら思春期だからと言えど如何なものかな。
こうなったのが思春期だけなのかとも思ってしまう。
3年前から一緒に暮らし始めて、1年前から起こっている。
俺は.....何か皆穂に何かしたのだろうか?
とは言え、全く記憶に無いのだが。
因みに昨日の生徒手帳騒動の後、やはり見下されていた。
原因としては俺が義妹の部屋に無断で立ち入った事がバレた?らしいのだが。
一体.....あの部屋には何が有るのだ?
シ○ラシステム的なものでも?
いやいや、サ○コパスケージが上がってないのに。
その為に扱いが更に雑になってきた。
もしかしたらマ○システムでも有るのかも知れない。
それか電脳か。
何のジョークにせよ気味が悪い.....とも言える。
そして俺の事は遂に狸の置物ぐらいにしか思われてない感じになってきた。
何と言うか.....本当に何だと思ってんだ義兄を、とハァと溜息を吐いて通っている高校の教室に登校した今に至る。
因みにそんな朝の事はこんな感じ。
『何?見るな。キモい』
何これ?俺に対してのツンデレですか?
しかし何にせよ朝食中にも関わらず俺に暴言を言う奴が.....何で俺の写真を生徒手帳に4ページに渡って挟んでいる。
心の底から嫌っている人間とは思えないツンデレだな。
俺はクエスチョンマークを浮かべるしか無い。
因みに生徒手帳を落とした事を聞いてくるかと思ったのだが。
義妹はそれは今は良いという感じを醸し出し、塩を取って来いと言った。
全く.....心配して損したな。
だが。
「.....生徒手帳だろ?無いと困る。.....でも.....返しそびれたな」
裏ポケットをもう一度、見る。
アイツの生徒手帳が入っているのだが.....うーん。
俺のヘンテコな日常が思いっきり隠し撮りされた様な写真が貼られた生徒手帳.....なんぞ返す必要有るのだろうか。
俺、被害者なんだけど。
裁判でも起こしたら俺が勝つだろこれ。
そんな感じだ。
しかもなんて言うか返した時に、見た?、とか言ってそれでまたイザコザになって最終的には思いっきり蹴られそうとか暴力とか振るわれる可能性が有って怖いんだが。
普段の俺を撮る勇気が.....有るのも凄い。
バレたらどうするつもりだったんだろうか。
そんなに俺の容姿は自分でも良く無いと思っているし。
眼鏡に泣き黒子で身長も170無いし。
撮る意味が無さすぎるのだ。
だから.....まあ、一体、何を考えているのか。
全く分からないが.....撮られた事に気が付かない俺も俺だ。
どうかしてる。
本当に何で俺を盗撮したんだろうか。
俺に断りを入れて写真を撮っても良い気がする。
それを挟んで.....いや。
それもまたちょっとおかしいか。
これは多分、俺に隠す為だろうな。
絶対にバレたく無かった筈。
生徒手帳に挟むぐらいだし.....。
でもマジに何が起こっているのだ?
「.....ふーむ.....」
俺は顎に手を添えて.....俯き、考える。
でもこのまま返すのも.....俺の義兄としてのプライドがな。
皆穂の生徒手帳を閉じてクラスを色んな角度で見ながら溜息を吐いてみる。
マジに帰ったらどうするかだな。
俺のプライバシーだか著作権だか無視で撮りやがって.....。
思いつつ横の窓から外を見て。
それから時計を一瞥すると時間がもう直ぐ次の授業の時間になりそうだった。
慌てて俺は教科書を出して次の授業の準備する。
取り敢えず.....今は勉強に集中しよう。
俺は.....大学に行くんだから。
こんな写真の事を勉強を妨害してまで考えている場合じゃ無い。
とにかく勉強だ。
なんせ.....10位圏内の成績を保たなければいけないし。
そしてまた.....事件の問題の皆穂に馬鹿にされる。
それは嫌なので。
☆
今日も皆穂は生徒会が有り居ない。
母さんや由紀治さんも仕事だ。
俺だけとなる。
さて.....そうなった場合、最前に考えるのは。
でも生徒会が有るとか話してたっけかアイツ。
多分、この手帳を探しているからだと思う。
俺は顎にまた手を添えて考え、目の前の義妹の部屋のドアを見る。
取り敢えずは.....返してやるか。
「でも何か嫌な予感がするんだよな。隠し撮りがこの程度で済めば良いけど」
しかしながら。
昨日捜索したが何も出て来なかった。
そうなるとアイクラ○ドか?
○ップル余計な事だけは有能だなマジに。
それかグ○グルドラ○ブとか?
この目の前のパソコンの中に何か有るのか?
困った、どうしたもんかな.....。
絶対に.....駄目だと思うんだが開ける。
知るならそれしか手が無いんだよな。
「.....だが.....」
俺は義妹の部屋に入って考える。
また何か言われそうだけど返す為には入るしか無い。
監視カメラでも付いているのかも知れないけど。
中央の絨毯の敷かれた床に静かに生徒手帳を置く。
何がどうあれ.....生徒手帳は身分証明書、返さないといけないという結論になった。俺の写真が挟んであろうが何だろうが。
取り敢えずは無いと意味無い。
本当はもっと生徒手帳を隈なく調べたかったんだけどそれでもまあ.....結論は出らんと思う。
全ての真相はこの部屋のパソコンだ。
そして皆穂本人だ。
恐らくマジに闇が深い.....気がする。
「.....ってか、それは置いてもう変な事をすんなよ。皆穂」
俺は呟きながら置いたのを確認して暗い部屋のドアをゆっくり閉めそして廊下に出て自室に戻り。
それからノートを広げ勉強モードに入る。
するとそれと同時に義妹が帰って来る音が聞こえ。
バタバタと慌てて自室に入る音が.....して。
なんか安堵の声が聞こえてきた。
俺は盛大に溜息を吐く。
それから目の前のノートを見つめ勉強をした。
全く.....困った義妹だ。
あれはあれで.....俺の家族だし。
どれだけ酷い事をされても.....だ。
だからまあ.....うん。
☆
その様な感じで時間と日々は過ぎて行き。
簡単に言えば砂時計の中で砂が流れ落ちる様に何も無かった。
4月の第三日曜日になって、その間、特に何も無く取り敢えずは安心したと思いながら学力調査の試験勉強をしていた。
文句とか言われるのかと思ったが.....。
学力試験というか本当に試験ばっかりで嫌気が差す。
だけどこれも大切な試験だしな。
と思っているとドアから音が。
コンコン
「.....はい.....?」
「えっと、吉、私だけど」
「.....う、ん?は!?」
ちょっと待て.....皆穂!?
まさかと思うが今更になって生徒手帳の件を.....?
それとも部屋の事を?まさか.....まさか?
滅茶苦茶に嫌な予感がする。
俺は一瞬、その様に思考回路を巡らせるが。
思考回路が纏まらず、だった。
すると待つのが嫌になったのかギィとドアが開いて皆穂が入って来る。
俺はビックリしながら見つめる。
銀髪をツインテの皆穂が入って来た。
可愛い服を着ているが.....そんな事よりもマジに一体何だ。
俺は冷や汗を流しながら、見つめる。
それからゆっくり聞いた。
「.....えと、ど、どうした?」
「.....何その挙動。キモい。.....まぁそれは良いけど。.....もしかしてと思ったけど。手帳を置いたのアンタ?」
あ、やっぱりか。
俺は冷や汗を吹き出しながら直ぐに首を振って答えた。
言い訳にしては苦しいかも知れない。
しかし、暴行されるのならこう答えるしか無い。
「.....いや。違う。そもそも何の事だ」
「.....ふーん?」
皆穂は言われて目を丸くしてジト目を向けてきた。
そんな皆穂に汗を一筋、流す。
暫く俺を見つめ皆穂は溜息を吐いた。
それから静かに出て行こうとする。
ドアノブを握りながらこっちを見た。
「.....じゃあ、邪魔したわね」
「.....あ、ああ」
と言うか.....まさかの対応だな。
そんな感じの対応が出来るとは。
俺は思いながら冷や汗をもう一度、拭った。
それから椅子を前に回転させる。
バタンと音を立てて閉まった扉と同時に盛大に息を吐く。
そして机に向いて勉強を再開する。
が、まるで集中出来ないんだが。
まだ不安心が.....。
取り敢えず.....部屋の件はバレてないよな?と思いながら警戒していたが。
特に今日の深夜まで何も無かった。
そう、深夜までは、だ。
俺は.....深夜に愕然とする光景を見る。
☆
その日の深夜の事、俺は寝れずにウトウトしていた。
窓から差し込む月光が良い感じで俺を照らす。
しかしそれでも何だか悩み過ぎて寝れないのだ。
何を悩んでいるかと言われたら日常の事、皆穂の事、だ。
俺を撮ってどうする気なのか.....と思う。
そしたら寝れなくなってしまい。
全く皆穂は.....本当に手が掛かる義妹だなと頷き思っていると。
ドアが急に....音を立てて開いた。
ギィ.....。
「.....!?」
俺は直ぐにイビキの演技をし眠る様な感じを見せる。
何だ?.....ちょ、誰だ!?
こんな時間に一体!?
なんか.....泥棒か?と思ったが。
しかし、入って来たのは泥棒とは違う人物だと香りで気が付いた。
この柑橘系の香りは.....まさか。
まさか!
「.....えへへ.....」
皆穂!!!!?
俺は思いながらも目を冷や汗を流して閉じ続ける。
何で皆穂が俺の部屋に居るんだ?!
ベッドの横に立つ、皆穂。
な、何をする気だ。
俺は寝たふりのまま、薄目で目の前を見る。
シャツが.....たわわな胸元が見え俺は赤面で直ぐに目を閉じた。
そんな服装で寝るなよ、とツッコミを入れる。
そして.....考えていると。
目の前の皆穂はこんな言葉を呟いた。
「これで完成かな」
ちょっと待て、一体、何が完成するのだ。
ガ○ダムとか?エ○ァとか?
俺は言葉に少しだけ考え、全てを察した。
アイツ、今から俺を盗撮しようとしてやがる、と。
そう、あの生徒手帳に挟まっている写真の様に、と言えるかも知れないが。
俺は必死にバレない様に寝たふりを続ける。
そういや.....これは初めての行動か?
まさか二回目?
ま、まさかだよな?
何にせよ.....このままでは起きれない。
このままもし起きた場合.....何と無く色々とマズイ気がするから。
しかし.....完成って.....まだ何か有るのか!?
これ以外に写真が?
ピコン
「.....やった、撮れた.....!」
所謂、i○honeのフラッシュを焚かない機能を使い。
LIVEモードで撮っていると思われるが、撮った。
コイツ.....マジか。
俺は裏の皆穂を薄目で見る。
顔が紅潮してかなり興奮している様に見えた。
それから何が有ったかと言うと。
皆穂は俺を数枚撮ってそれから静かにドアを開けて去って行った。
途中で.....胸を触る仕草をしたが.....まさか。
俺は目を開けて起き上がる。
「.....アイツ.....」
一体、何なんだ?あの裏は?
俺はその様に思いつつ冷や汗を流しながら自室の扉を見た。
昔の事を.....ふと、思い出す。
それから繋がっている?
まさかな。
俺はただ、ただ。
呆然と扉を見る事しか出来なかった。
と言うか更に何か有りそうだと思いながら.....眉を顰める。
昔の事をぶり返している.....のか?
「.....何にせよ.....」
これは一大事だ。
対処をどうしたものかな.....と思いながら。
俺は夜空を見た。
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