オーガ戦2

「がぁあああああ!!」

「おっと」


 モミジがオーガの棍棒を受け流す。棍棒は地面に打ち付けられ、オーガが苦悶の表情をする。

 その持ち手へと、モミジは執拗に攻撃を繰り返す。全て小指に命中。


「アアアアアアアー!!」


 ううん、痛そうだね?


 そうしている間にボクの火玉とシオンの【ダークアロー】がオーガの顔面へと直撃。


 さらに背後から首への一撃を、ウヅキとオオカミちゃんがねじり込む。


 ……さて、十時間がすぎたわけだが。


 いや、冗談ではなく、本当に十時間である。

 理由は色々ある。

 まず、オーガは取り巻きの召喚をせず、漢らしい戦いを続けた。激しさを増し、威力が上がっていく攻撃に、ひたすらモミジがさらされる事になった。


 ボクとシオンは、それに対して魔法を閃光と【ダーク】に絞り、回復に専念した。MPの節約である。モミジ、ウヅキ、オオカミちゃんと、定期的にヘイトを集める役を交代しつつ、動きながらも休息にあてている。


 じわじわとオーガのHPを削り、少しずつその苛烈さを増していった。


 そうすると何が起きるのか。


 これはゲームだ。

 行動すると、スキルに経験値が入る。


 つまり、この戦闘中、ボクたちは常に経験値を得続けた。そして今、ボクたちは完全に格上と戦闘している。


 結果、ボクたちの成長速度がオーガの強化速度に勝った。


 その時点でボクたちは戦略を変更。スキル強化を目的とした遅滞戦闘へ。

 未だ格上なのは変わらないが、少なくとも各種リソースの確保はできている。


 前提条件として、ボクたちはポーションを大量に持っている。それも乾燥薬草を使った、現時点で最高級のものだ。それを使うことで、回復魔法を温存できている。

 ボクたちには、今のところMP回復手段がない。自然回復の範囲内でどうにかやっていくしかない。


 そうこうしているうちに、まず、モミジに<耐久>スキルが生えた。

 防御系スキルで、防御力やパリィ系アーツに補正。これによってモミジの【受け流し】が鉄壁の物となる。その時点から<格闘>の【受け流し】を積極的に使用することになり、<格闘>に経験値がひたすら入った。

 結果、<格闘>の上位スキル<格闘術:防御>を獲得したらしい。

 <格闘>自体はまだ持っているから、特殊な派生スキル扱いかな? 攻撃をひたすらしていたら<格闘術:攻撃>を習得するのだろうか。

 【受け流し】のクールダウンが無くなり、足を止めているほど動きのキレがましていくらしい。

 キレ、とは。


 【受け流し】は中々面白いスキルだ。敵の攻撃を反らし、結果として攻撃を回避する。そして、完璧なタイミングで対応すれば、相手へとダメージを返す事ができる。

 これまではオーガのダメージが貫通していたので、積極的には使用できなかったが、事情が変わった。

 モミジが完璧なタイミングで【受け流し】を連発できるようになり、オーガは自分の攻撃を返されてダメージを受け続ける事になったのだ。


 ウヅキもまた、いくつかのスキルが一定値に達したことにより<暗殺術>を習得。こちらは防御力が下がるというデメリットはあるらしいが、逆に攻撃力がかなり増したらしい。

 一撃離脱の、一発全力型だ。<不意打ち>判定でないとまともにダメージすら入らなくなったらしいが、まあウヅキなら問題ないだろう。

 オオカミちゃんも、ウヅキの影響を受けてスピード特化へとひたすら成長し続けている。


 で、ボクとシオン。光と闇の魔法を使い続けた結果、<神聖魔法>への補正と、ボクは<付与魔法:強化>、シオンは<付与魔法:弱化>を得た。

 それぞれバフ、デバフを担当する魔法だ。

 各種ステータスに補正をかけることができる魔法体系となる。


 ボクはモミジに【ディフェンスアップ】、ウヅキに【スピードアップ】【ストリングスアップ】をかけている。

 シオンはオーガへと【ディフェンスダウン】と【ストリングスダウン】だ。

 さらに、<神聖魔法>にて【バリア】と【ハイヒール】を習得。それぞれ名前の通り。

 また、<魔力強化>スキルも獲得。魔法による効果や、MP量・回復力に補正。一番欲しかったものだ。

 それらスキルや魔法についての詳細を紹介するのは正直面倒くさいので省略。ごめんよ。

 おそらく、初めての苦戦ということで、一気に閾値を超えたのだろう。

 今まで十分に安全マージンを取って戦闘をしていた弊害とも言える。まあ、結果オーライか。


 MPの回復は<瞑想>をし続けることにより今のところ問題なし。

 これが戦闘中に発動できなかったら詰んでいた。

 ウヅキやモミジにしても、MP消費の高いアーツは控えているので大丈夫。そもそも奴らはほとんどアーツを使用しないけど。


 極めつけとしては、ボクたち全員が<集中>スキルを得た。おそらく、思考型下位スキル。ここから<思考加速>とかに派生していくと思われる。スキルにはそれぞれ入手用の経路が色々あるんだろうね。いきなり上位スキルを覚えることもあるわけだ。

 <集中>の効果は同じ行動を繰り返すほど、様々な事への補正。

 かなり強力だ。

 この「同じ行動を繰り返す」が何に当てはまっているのかわからないが、ボクたち全員に現在[集中]バフがついていることから、1つの戦闘を長く続けたり、短いスパンで戦闘を続けたりすると、このバフがつくのだろう。

 なぜこれが下位スキルだと思うのかというと、バンバンスキルレベルが上がるからだ。<思考加速>や<並列思考>とはその速度が雲泥の差である。


 生産している時点で獲得出来ていたと思うんだけれど、戦闘がトリガーだったのか、既に持っている思考型スキルが習得の邪魔になっていたのではないか、とボクは考えている。


 これらのスキルや魔法により、ボクたちとオーガは完全に均衡していた、というわけだ。


『昨日なに食べた?』

『それどっちの話? リアル? ゲーム?』

『俺ラーメン』

『おにぎり』

『パスタ』

『風呂入ってきた』

『おかえりー』

『おかー』


 コメントはもう完全に雑談中である。

 いや、動きがなくて本当すいません。

 視聴者数も横ばいである。皆それぞれの事をしながら横目で見ている状況だろう。

 本来だと、もう少しボクたち側に攻撃力があって、時間が短縮されたと思うのだけれど、完全に計算外だ。ボクたちが半端にボスの攻撃に耐えられたのが原因だ。


「うーんどうしようかなあ」


『どうするとは』

『もう行ける所まで行くべきでは?』

『とことん付き合うぜ!! 屋台で食料買い込んできたわ』

『ログイン時間制限で一回出て、戻ってきてもまだ戦ってるのヤバイ』


「あー、普通だとゲーム内で18時間くらい過ごすと出されるんだっけ」


『せやで』

『うむ』


「正直スキル経験値美味しいのでこのまま続けても良いかなあ、とか思うんだけど、サンドバッグ」


『普通この猛攻をしのいで「サンドバッグ」とか言える人いない』

『頭おかしい』

『格闘オンリー状態にメンテでバフ入った結果の、想定外状況だろうなあ、これ』


「あー、なるほど。じゃあ<格闘>スキルメインの人は誰でもこれできるね?」


『『『無理です』』』


「あ、はい」


 そうか、<格闘>スキルか。モミジは今、武器を持たない状況で攻撃をしのぐことに集中している。

 オーガはボクたちとかなり相性が良い敵というわけか。様々な条件が重なって、この状況になってしまったのだろう。


 オーガが苛立ち混じりで棍棒を振るう。

 はいはいライト、ライト。

 ちかちか眩しいでちゅねー。


 なんだかんだで、オーガのHPは青ゲージが全損。その時にひとしきり暴れてきたが、特に問題なく対処。緑ゲージももう半分きそうだ。

 

 最初のエリアボスということで、「ハード」とはいえそこまで攻撃にパターンがあるわけでもない。思考も単純で、こちらのおちょくりに、すぐ反応してくれる。ただ、長時間の戦闘は強いられているので、口でいうほど余裕ってわけでもない。


 けっこう精神的に辛い。


「ボクたちは今なにをしているんだっけ」


『哲学的だね』

『修行』

『ある意味音ゲー』

『作業』


「なんだかんだで、まだ見てくれる人には感謝しかないね」


『良いってことよ』

『ここまできちゃったらなー』



 そんなこんなで、さらに4時間。

 ついにオーガのHPが1割を切った。


「――ガアアアアァアアアアアア!!」


 これまでの鬱憤を晴らすかのようにオーガが咆哮を上げ、モミジに猛攻を開始する。


「ぬぅう!?」


 一撃一撃がひたすら重く、さらには足による追撃がモミジを苦しめ始めた。掴みが無いだけマシか……?。


『ふおおおお!!』

『やべえやべえ!!』

『くっそウケる』


「攻撃力増加と速度増加か? その分攻撃は通りやすくなっているようだ」

「今だね」

「全力で叩き込むしか無いね。モミジに攻撃が通っちゃってる」


 今のままのペースだと確実にモミジが倒されて全滅だろう。


 ボクは自分とシオンに【インテリジェンスアップ】を付与する。


 ボクは温存していたルーンを有りたっけで魔法を構成し始める。

 【火・火・火・玉・渦・指定・維持】、そこに魔力をあるだけ込める。

 すさまじい熱量が伴った渦が形成され、オーガの顔が、炎に呑まれる。【渦】は今日、読み終えたばかりの本から得たルーンであり、その名の通り渦を発生させる。

 そのままだと竜巻状に拡散していくが、玉のルーンを込めることでひたすらその場に閉じ込めているのだ。


 シオンがローブのスカートをつまみ上げてその生足を晒す。次いで、カシャカシャという音がローブの中から聞こえてくる。

 加速するコメント。


 ちらりと内容を見る。……皆エッチだね?


 出てきたのは沢山の木で出来た手だ。

 その腕にはルーンが彫り込まれ、異様な見た目となってしまっている。まるで耳なし芳一のそれだ。造形を省略しており、ひたすらに無骨。かろうじて腕であると、手であると認識できるそれらが、オーガへと向けられる。

 シオンが脱力して体を投げ出すと、3本の腕が彼女を支えるように、足として機能する。全ての制御を手に移したのだろう。


 そうして放たれるのは、シオンの全魔力を込めた魔法の連射である。無数にある手は、その魔力に耐えきれずに崩壊しつつも、【ウォーターボール】や【ダークアロー】を撃ちまくる。

 圧巻の一言。普通であればクールダウンを含めて、一時間程度かけて打ち込まれるそれらが、ほんの数秒で叩き込まれる。いくら初期に覚える魔法だとはいえ、<魔力操作><魔力強化><集中>【インテリジェンスアップ】など、バフを盛るだけ盛った魔法は必殺の威力に足る。

 そもそも、このゲームは初級だろうがなんだろうが、スキル熟練度とその魔法属性への身体特化がものを言う。

 ボクらの魔法は目に見えてオーガのHPを削っていく。


 一回使うと空っけつになる奥の手だ。そうでなくては困る。


 その瞬間にも、ウヅキは駆けていた。ひたすらに速度を高め、極めて行く。ボクの目には最早、上空を周回する赤い線・・・しか見えない。

 視界の横にある、彼女のHPバーがぐんぐん削れていく。

 文字通り、命を削った疾駆。全てを置き去りにした、彼女だけの世界。

 それが、ボクの魔法が途切れた瞬間、急激な角度で持って折れ曲がり、オーガに激突する。


 ッパァン!


 そんな音がした。彼女の持つ全てのスキルの乗った、文字通り必殺の一撃が、オーガのHPを削りきった。

 そのまま、オーガは何を喋ることもなく、倒れ込むように息を引き取った。


『うおおおお!!』

『やべえええええ!!』

『すげええええ!!!!!』

『俺泣いてるわ』

『見てただけなのにやり遂げた感ある』

『さけのみてえええええ!!』

『宴会じゃああああ』


――ルイたちのパーティーが初めてエリアボス難易度「ハード」をクリアしたため、新たに難易度「ナイトメア」が追加されました。

――エリアボスについてのヘルプが更新されました。


――プレイヤーで初めて難易度「ハード」をクリアしたため、特殊スキルスクロールを獲得しました。

――プレイヤーで初めて難易度「ハード」をクリアしたため、称号「チャレンジャー」を獲得しました。

――進行に一致しない難易度のエリアボスを倒したため、称号「ジャイアントキリング」を獲得しました。

――1度の戦闘で一定値のスキルレベルアップを行ったため、称号「修行僧」を獲得しました。

――三時間以上を1つの戦闘に費やしたため、称号「耐え忍ぶ者」を獲得しました。

――オーガ難易度「ノーマル」がクリア扱いとなり、オーガ難易度「ノーマル」初クリア報酬のスキル経験値スクロールを獲得しました。

――オーガ難易度「ノーマル」がクリア扱いとなり、称号「ファスティアの解放者」を獲得しました。

――オーガ難易度「ハード」をクリアしたため、初クリア報酬としてランダムスキルスクロールを獲得しました。

――オーガ難易度「ハード」をクリアしたため、称号「ファスティアの守護者」を獲得しました。


 ちょいちょいちょーい。


『ナイトメアきたああああ!!!』

『これ以上難易度上がるんですかやだー!!』

『ふぁーwwwwww』


 配信にはアナウンスの内容は見えていないが、「ハード」の上に「ナイトメア」があるというのはワールドアナウンスで流れたので、皆が知る所となった。


 ちょっともう、流石に脳みそがゆだっているので、沢山もらった報酬の確認は明日に回そうと思う。いや、いっそ明日は一日中だらけて、明後日確認しようか、とすら思う。

 たまにはダラダラしてもバチはあたらないと思う。

 それくらい疲れた。


「んああああー、色々あったけれどおつかれー」


『おつー!!』

『すげーーー!!!!』

『これアーカイブすんの?』


「んー十時間超えの動画を誰が見るのかわからないけれど、全部乗る予定だよ」


 ボクはオーガを<解体>しつつ、コメントに返答していく。


『クリア報酬で称号とかもらった?』


「貰ったけど、流石に確認は勘弁して。疲れた」


『うぇーい』

『仕方ないね』

『わかるマン』


「皆もおつかれ」


 振り返ると、流石に全員がへばっている様子。――いや、モミジはもりもりと肉を食っている。こいつだけはブレない。


「寝たい」

「ん」

「まあ流石にな」


 ウヅキですらその尻尾をへにょっとさせているのに。

 オオカミちゃんはわりと元気である。流石銀狼、スペックは底がしれない。まあ、戦闘中は適度に休み、絶対的に安全な時だけ攻撃に加わらせていたというのもあるが。


 ちなみに、あたりはもう真っ暗である。ボスエリアは不思議な明かりが灯っているので、戦闘自体には問題なかったが、もう寝る時間である。


「歩くのも面倒くさい」


『はい先生、ナイトメアみたいです』

『お前、天才か?』

『ヘルプ見ると、ハードクリアしないと挑戦できないらしい』


「あー、死に戻りってやつ?」


『そうそう』

『すぐ戻れるぜ』


「悪魔のささやきですな」


『げへへ』

『でへへ』

『デュフホッフ』


 仲間を見る。一様に頷いている。

 問題なし、と。


「一応言って置くと、ボクたち、痛覚感度50%で、結構痛い思いするんだけどね」


『ひえ』

『痛覚50%とか、ルイくんマゾ?』

『俺10%なんだが』


「別にマゾではないけど、痛くないと本気を出せないというか、危機感が出ないというか」


『マゾじゃん』

『マゾじゃね?』

『マゾだと思う』


「いや、まあ、なんでも良いけどね」


 というわけで、一旦エリア外に出て、すぐさまボスエリアへ。

 選択肢に出ている「ナイトメア」を選択っと。


 ……さて、見た目には変わらない。

 いつもだと向こうにオーガが見え――。



「あれ?」


 気がつくとボクたちはセカンディアの広場に来ていた。正確には、広場に面した教会前だ。


「うはははは!」

「すげえ!!」

「ルイくんおつかれー!!」

「すごかったわ!!」


 周りにはプレイヤーが集まっており、ボクたちを拍手して出迎えてくれる。


「え? あれ? ボスは?」


『一瞬で死んでて笑う』

『上空から降ってきて全体攻撃』

『完全に油断してたな』


「うそーん」


 モミジたちも唖然としている。


 速攻で即死して、全滅してしまったらしい。死亡中は気絶みたいな状態になるようで、復活待機時間みたいなものも感じずに街まで来ていた。

 オーガ、初見殺しとは、やるな!!

 とはいえ、今のところは絶対無理だとわかった。あの一撃をどうにか凌がないと、まともに戦うことすらできないだろう。


「まあ、オチもついたっていうことで、今回の配信はこれで終了にするね。次はまあ、モミジあたりに料理配信させるとか、適当って感じで。ボクたちは戦闘メインで遊んでるわけじゃないから、色々やっていこうと思うよ。気になった時に見てくれると嬉しいな」


『戦闘メインじゃないとか、嘘やん』

『プレイヤースキルの無駄使い』

『おつかれー!』


 様々なコメントが流れるが、とりあえず配信はこれで終わりだ。

 広場にいるプレイヤーたちにも軽く挨拶しつつ、宿屋へと急ぐ。


 んああー、疲れた。

 もう今日は寝るとするよ。おやすみ……。



 宿屋に戻れば、俺、モミジを食堂に残して飯も食わずにルイ、シオン、ウヅキは部屋へと上がっていった。

 腹は減っていないのだろうか。俺は減ったが。

 食事を抜くと、筋肉が悲しむぞ? ゲーム内だからまあ、関係ないかもしれないが。

 心の筋肉が悲しむぞ?


 自分で考えててわけわからなくなってきた。

 飯が足りていない証拠である。


 今日は、戦いながらオーガの肉をひたすら食ったからな。飯は野菜中心だとありがたい。

 俺は栄養バランスを気にする男なのだ。

 と、視界端に文字が流れる。


『あれ、ルイくん配信切れてなくね?』

『おーい』

『完全に気付いてない』

『ふぁ、3人で同じ部屋なんか』

『うらやまけしからん』

『パジャマ!! パジャマ!!』

『まさか、一緒のベッドですか!』

『わああああああ!!』

『ありがとう、ありがとう』

『ふぁああああー!!』

『あっあっ!!』

『白髪さんネグリジェやん!! エッッッッッッッ』

 

 ふむ、中々愉快な事になっているらしい。

 配信切り忘れたな。


 今日の食事は、よく知らない野菜のごった煮である。中々に美味い。


 ゆっくりと食事を楽しみ、部屋へと入る。

 

 そこにはベッドで眠る3人がいた。

 ちゃっかりと寝間着に着替えている。これも生産組が作ったものだろう。

 ウヅキとルイがパジャマ、シオンが肌の透けた薄い服だ。これがネグリジェとかいうやつだろう。肝心な所は隠しているようなので、特に問題もないと判断する。まあ、無駄にでかい胸の、大部分が見えてしまっているが。

 3人共、かなり疲労しているらしい。安定した寝息が聞こえてくる。ぐっすりである。


 俺はコメントが流れ、閲覧者数がガンガン上がっていくのをふむふむと眺める。

 ひとしきり皆が盛り上がったであろう、タイミングでカメラを操作。

 こっちへと向ける・・・・・・・・


『わああああ!!!』

『筋肉さんだあああああ!!』

『あああああ!!』

『カメラをベッドに向けろおおおおお!!!』


 こういうのを、阿鼻叫喚だというのだろう。

 俺はどっさりと土を机に出し、にっかりと笑った。


 さあ、パーティーはこれからだ!

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