よっ
地下の空間は思ったよりも広いものでした。人一人の背丈より確実に深く、また上からでは完全にはわかりませんが、城の周囲に沿って伸びているようです。
「地下室というより、これは地下通路ですね」
「オク、ススムト、フネ、アッタハズ」
でかスライムさんが、ぷるんぷるんしながら言います。あんまり近寄らないでほしい。
「それじゃ、降りてみっか」
でも、この深さでは気軽に「よっ」と飛び降りるわけにもいきませんね、
と言おうとしたところで、
「よっ」
戦士さんが槍をうまく使って軽々と降りていきました。この人に体力的な面で共感してもらうのは難しいです。
「ユウさん、どうします?」
さすがに勇者さんは寝ている魔導士さんを担いでいますから、ひょいと飛び降りるわけにもいきません。というか、どんだけ寝つきがいいんでしょうこの子。
「ちっ、しょうがねえな。おい、お前ら。降りてこい」
戦士さんがいつのまにか手なずけたスライムたちを、地上から呼び寄せます。
高低差をもろともしないクッションボディは、何のためらいもなくひょいひょいと降りていきます。
……なんか、さっきより数増えてませんかね。うう。
「ヨイショ」
でかスライムさんも、その場でぴょんと弾んだかと思うと地下に落下していき、砂埃を軽く立てながら着地しました。
気づけば、地下空間にはスライムの絨毯が出来ています。
「よし、ユウ。降りてこい」
勇者さんは返事もせずに飛び降りました。さては、まだ根に持ってますね。
魔導士さんを担いだままですが、スライムクッションのおかげでノーダメージの着地です。相変わらず目も覚ましません。
あたしも一回体験してますからね。あの衝撃吸収力は実証済みです。
「ほら、ドロも」
「嫌ですよ!」
一回体験しているだけに、あの寒気のするようなぐにゃりとした感触があたしの気絶を引き起こすことも実証済みなのです。
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