てこ
困りました。地下にあるという空間に行きたくても、あたしたちは不定形不思議不気味生物と違って肉塊を飛ばして小型化することができません。
「どうしたんだ?」
小さな穴を見つめたきり黙っているあたしに戦士さんが言いました。
「スライムたちが言うには、この下に空間があるらしいんです」
「そこに、船があるんだな」
「そう言ってます」
「よし。じゃあ、お前ら離れてろ」
そう言うと、戦士さんは勇者さんの船をクラッシュした槍をひょいと振り上げました。言われなくてもあたしたちは離れます。
絶対に、ろくなことしない。
ついてきていたスライムたちも何かを察したのか蜘蛛の子をちらすように戦士さんから離れました。
「ここだな」
戦士さんは槍の先端を穴にズブリと突き刺しました。確実に穴より太い槍の先端が突き刺さる時点でどうかしているんですが。
続いて、刺したままの槍を肩に担ぐような格好で穴に背を向けます。
「どうする気ですか?」
「ふん!」
戦士さんが地面をひっかける形で槍を引き抜こうとします。
「はああああ!」
すると地面にぐらぐらと亀裂が入りだしました。
「はああああああああ!!!!!!」
戦士さんの掛け声とともに、ドアほどの大きさの地面が掘り返されました。力ずくとはまさしくこのこと。
「すごい……」
戦士さんが、食べ物以外のことでこんなにやる気をだすなんて。
……。
まあ、よっぽどさっきの船破壊を反省しているんでしょう。
勇者さんはあれ以来ずっと戦士さんを睨んでますし……。
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