面識
それはあたしや戦士さんの背を軽く超えるくらいの大きさでした。
「%&$#$@&#$$$$!」
あたしは誰にも翻訳できない悲鳴を上げます。
だってそりゃそうでしょう! ただでさえ気色悪いスライムが、でっかいサイズで現れたんです! しかもさっきまで抱えていた木の実がぐにゃって変わってぐにゃって! ううう!
「ちっ、スライムだったのか!」
そういえば、そもそも昨日最初に戦士さんが収縮した状態のスライムたちを見つけた時も「木の実」なんて言っていました。
ああ、もっと冷静に考えていれば……。
『ヌウウウウ……』
あたしの頭に、何やら低音のうなり声が聞こえてきました。
『……アサデスカ?』
どうやら、このでっかいスライムの声のようです。
「オオ!」「オマエダッタノカ!」「ヒサシブリ!」「ゲンキ?」
まわりのスライムが口々に言います。くっ、のんきなもんですね。
『キノウエデ、ネテタハズ……?』
紛らわしい場所で寝ないでほしい。
『……ニンゲン?』
ばかでっかいスライムが、あたしと戦士さんを見て言いました。頭っぽい部分を傾けて、手っぽい突起を組んでいます。
『ジャア、トリアエズ、オソウ……』
とりあえずで襲わないでください。
「し、静まるがいい。我は魔王なるぞ!」
『マオウ……?』
「ソウダゾ!」「コノカタ、マオウサマ!」「レアキャラ!」
ちっちゃいスライムたちが説明してくれます。そうだそうだ。
『イヤ、オレ、マオウサマ、アッタコトアル。コンナカンジジャ、ナカッタ……』
最悪の証言。まさかこんな形で正体が……。
『ナンカ、フンイキ、カワリマシタネ』
大きくても、知能レベルはあまり変わらないようで助かりました。
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