敢闘賞

「どうしたんですか?」


「採った」


「それはわかりますけどっ」


「ま、ちょっと頭ひねればこんなもんよ」


 なんてことですか。まさか、知能で戦士さんに負けてしまうなんて。


「試しに軽く槍で木ぃ叩いたら、落ちてきた」


 良かったです。知能では負けていませんでした。


「マオウサマ、コイツ、ホメテヤッテ!」「ガンバッタ!」「カントウショウ!」


 戦士さんのまわりに群れていたスライムたちが、手っぽい突起を使って戦士さんのことを指しました。


「メッチャ、フリマワシテタ!」「ナンドモ!」「ウデ、チギレルトオモッタ!」


 ……。


 ちっとも「軽く槍で叩いた」じゃないじゃないですか。まったく、素直じゃないんですから。


「な、なんだよその目は?」


「いえ……。とにかく手に入って良かったです」


 まだ食べられるかどうかはわかりませんが、島のことを知るきっかけが一つでも増えたことは前進です。


「ま、オレは一度そいつをあきらめたからな。それはおめーのもんだ。おめーの好きにしろ」


「じゃあ、みんなで分けましょう」


「へっ、気前がいいな」


 たぶん、このゴツゴツした殻を割れば中に身が詰まっていると思うのですが。


 ん?


 ゴツゴツしてると思ったら、意外と弾力があるような……。あと、なんかちょっとずつふくれあがってません?


「わ!」「なんだ?」


 あたしはとうとう両手で抱えきれなくなって、膨れ上がる木の実を落としてしまいました。それはテラスの隅に溜まった雨水に浸かります。


 そして、巨大なスライムに姿を変えたのです。




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