ご本人登場
「マ、マドはそんなこと思ってないですよ!」
魔道士さん(が、再現する戦士さん)の言うこともごもっともでした。弱っちい体の人間がちょっとムキになって無理をしてしまったかもしれません。
「ふふ、わかっています」
「ほんとほんとですよ!」
「そばについてくれて、ありがとうございました」
あたしは葉っぱの床から立ち上がりました。
「まだ休んでた方がいいです!」
「もう大丈夫です。魔道士さんが休んでください。見張り、交代します」
さすがに、もうあの木の実を採りにいく気にはなりません。あたしはテラスに上がって、ぽつぽつと雨の降る島を眺めました。
「よお」
後ろから、今朝と同じように粗野な声が呼びかけてきました。振り返ると戦士さんが立っています。
「マオウサマ!」「ゲンキデタ?」「ケンコウ?」「セイチョウシタ?」
あと、足元にわらわらとスライムたちが居ます。みんなスライムに慣れすぎ。
「おめー、ぶったおれてたらしーな?」
「……ええ、まあ」
「へっ、ざまーねーぜ」
その言い方がさっき魔道士さんの再現した通りだったので、あたしは思わずクスッとしてしまいました。
「なにがおかしーんだよ」
「いえ……。ざまーなかったです」
「言ったろ。無理なもんは無理だって」
そう言って戦士さんは槍にくくりつけていた袋を取ると、あたしに投げてきました。あたしは慌てて受け取ります。重い。
「わ、なんです」
「開けてみろ」
袋を開けると、中にはあの大きな木の実が入っていました。
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