デスリターン
ぽつぽつという音がまばらに聞こえました。
「……雨?」
気がついた時、あたしはお城の広間の床の上でした。ベッドがわりに葉っぱの山が敷き詰められています。
「あ、気がついたですか」
魔道士さんが心配そうな顔でこちらを見ています。
「イキテタ!」
あと、魔道士さんの頭の上にも一匹いました。
「ひっ!」
あたしは思わず声を上げて身を引きました。
「マオウサマ、ソセイ!」「ヨカタ!」「サスガ!」「フジミ!」「アンデッド!」
見れば、まわりにもわらわらと色とりどりの連中がいるではありませんか。
「ドロさん。どこか痛む感じですかっ。マドにできることありますかっ!」
「ええ」
あたしは心から言いました。
「今すぐ彼らを外へ出してください」
スライムたちを広間からきれいさっぱり退室させてから、あたしは魔道士さんに事情を聴きました。
「ドロさんは、お城の前に倒れてましたです」
「お城の前?」
問題の木の場所は森の奥でした。このお城からは離れています。ということは、誰かがあたしの体を城の前まで運んだということに。
いったい誰が……。
「スライムたちが、ドロさんを取り囲んでたです」
でしょうね。戦士さんはどっか行っちゃってましたし。
ああ。あたしが気を失っているあいだにあのぷにぷに戦慄生物の群れがあたしの体を勝手にさわっていたなんて。ううう。
「何があったですかっ? 変なものでも食べたですか?」
むしろ、食べられなかったんですよ。
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