意見の相違
「ちっ、じゃあムリだなあれ食うのは」
戦士さんが舌打ちしながら言います。
「どうしましょうかね」
「別のもん探す」
戦士さんはそう言うと、あの重たい槍を肩にかつぐようにして、スタスタと歩きだしてしまいました。
「え、この実はいいんですか?」
「採れないもんは仕方ねーだろ」
「もうちょっと粘りましょうよ」
「時間もったいねーよ」
「そこに見えているものなんですから、一緒に考えてなんとかすれば……」
「なぁ、ドロ」
戦士さんが振り返って詰め寄ってきました。
「遺跡の帰り道、どうなったか覚えてるか?」
「う……」
以前にあたしたちは、砂漠の国の遺跡に挑んだことがありました。町の人たちにかけられた呪いを解くためです。
呪いをかけた魔物を倒して帰る途中、あたしは隠し部屋に隠されていた宝箱を見つけました。しかし、どうしても箱の開け方がわからず、みんなが断念して帰ろうとしていた時、あたしは宝箱ごと持ち去る手段を提案したのです。
そして、戦士さんが宝箱を持ち上げると、仕掛けが作動してあたしたちは大岩に追われる運命を辿りました。
「おめー、いつもオレやマドがトラブルの種みてーな顔してやがるけど、おめーの異常なしつこさで馬鹿げた目にあったことだって、何度もあるからな」
「で、でも、あたしは盗賊ですもん。一度手に入れようとしたものは、簡単にはあきらめられません」
「じゃー、オレは盗賊じゃねーからあきらめる。せいぜいがんばって、独り占めしたらいい。魔王さんよ」
そんな言い方はないでしょう、と言いたかったのですが、戦士さんはもう早足で歩き去ってしまい、タイミングを逃しました。
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