スライム招集
あたしは古城の外の開けたスペースにいました。ここは日陰で背の低い草しか生えておらず、少々じめじめしています。
そこに色とりどりのスライムたちがぎっしりと集まりました。それぞれがぷるぷると動いて、左右にちょこんと出た手っぽい突起を動かしています。うへえ。
魔王であるあたしは威厳を保つために一段高い岩の上に立っています。足を踏み外したら地獄の池にまっさかさまです。
「エットソノ、マオウサマ、ミンナヲ、アツメタデス」
紫のスライムがスライム地獄池の中にある石の上によじよじとのぼって言いました。やはり彼(便宜上、彼とします)が代表者のようです。
「ヒマナヤツ、ダケデスガ」
暇じゃないスライムが何をしているのかちょっと気になりますが、置いておきましょう。さっさと情報を聴いて解散したいところです。
「うむ。苦しゅうない」
苦しゅうない、って今はじめて言いました。雰囲気でなんとなく言いましたが、使うべき場面として正しいんでしょうか。
「ソレデソノ、ソレデソノ、ナンノゴヨウデスカ?」
紫さんは不安げにぷるぷるしました。
「うぬらに少々、尋ねたいことがある」
「エエ?」「ナンダロ?」「ナニカナ?」「プライベート?」「ケイケンニンズウ?」
ざわざわする不定形たち。
「まず、この島のことである。ここがなんという名の島で、どの大陸に属する島であるのか、知っている者はいるか」
あんなにぷるぷるしていたスライムたちがシーンと動かなくなりました。これはこれで不気味。
「もし知っているのなら隠し立てせずに教えよ。その者に褒美をとらす」
褒美とか特に考えてませんが。
「アノッ、ソノッ」
紫さんがあせあせしながら言いました。
「マオウサマハ、マオウサマナノニ、ゴゾンジナイデスカ?」
痛いところをつかれました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます