いちめんのすらいむ
再び、スライムたちの動揺と振動。
「マサカマサカ、コノシマニ、ユーシャノヤロー、キテタノデスカ?」
代表スライムが心底おびえた様子です。アウトロースライムもぴくりとしました。勇者というのはやはり弱小モンスターにとって恐ろしい言葉のようです。
いや、実はここに今もいますし、あなたがた実は優勢ですよ。
「ああ。だが怖れるに足らぬ。我が滅ぼした。嘘だと思うなら確かめてまいれ! 浜辺に残骸が残っておろう」
スライムたちは口々とささやきあっていましたが、
「ヨシ、ミンナデハマベマデ、カケアシ!」
と、少しずつ個体数が減っていきました。……足?
ふう、一安心です。これで窒息死あるいは圧迫死という最悪の事態はひとまず避けられました。
やがて、すべてのスライムが部屋からいなくなりました。
「おかされるかと思いましたです」
「おい、なんでオレがおめーの部下なのか説明してもらおうか」
いきなりですか、もうちょっと休みましょうよ。
「勇者さん。伝説の武器防具捨てた場所、おぼえてます?」
「はい(だいたい)」
「テラスから確認してみましょう。スライムたちが集まっているはずですから」
あたしたちはテラスにあがりました。まだ雨は降り続けており、冷たい滴が体に当たりました。
そして、おそろしいものを見ました。
「なんだこりゃ」「わわわわ」「!」
あたしも卒倒しそうでした。
テラスから見渡せる浜辺一面、色とりどりのスライムたちで埋め尽くされていました。百や千どころではありませんでした。組み合わせ論的爆発レベルです。
「これだけの数、どうして昨日はみかけなかったんでしょう?」
「突然、湧いて出たんじゃないか?」
ゾクッ。
なんていやな発想。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます