忠誠
戦士さんが怒ります。
「な、いつオレがお前の部下になったんだよ」
「ここは合わせてください。ほら、魔王の部下感だして。あたしを崇めてください」
勇者さんはすでに立て膝をついてあたしに忠誠を誓っていました。方針が決まると飲み込みの早い人です。
「魔王さま、はあはあ! はあはあです!」
魔道士さんも床におでこをくっつけました。それを言うなら「ははあ」ですよ。
「くそ。あとでおぼえとけよ」
戦士さんは右腕を左肩にあてました。これが彼女の国での忠誠を誓うポーズなのでしょう。
忠誠の誓いっぷりがバラバラです。ひどい演技プラン。
でも、ちょっと気分よかったりするのは内緒。
「見よ! 我の忠実なる僕たちを!」
あたしはスライムたちに向けて、ここぞとばかりに威張り散らしました。
「スライムとか申したな? うぬらのようなものなど、我は念じるだけでかき消すこともできようぞ!」
本当の魔王ならそのくらいできそうだと思って言ってみました。
ところが、この発言は思った以上の効果がありました。
「キイタカ」「イマ、イッタナ?」「オッシャッタ」「キキノガスモンカ」
なんだか、まずいことを言ったのでは?
と、冷や汗をかいていると、代表スライムさんがキラキラした目、……は無いので、プルプルしたからだで感嘆をもらしました。
「マオウサマ! ワレラのナマエ、オボエテイテクレタノデスネ!」
「へ?」
ああ、確かに言いましたね。「スライムとか申したな」と。
え、まさかそんなことでこの液体たち、喜んでる?
「当たり前である! 自らの配下のものの名を忘れるものか!」
するとスライムたちから「ワー」と歓声があがりました。
「「「「「「ヨウコソ、マオウサマ!」」」」」」
スライム心掌握はわりと簡単でした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます