現代人
で、気がついた時にはもとの場所に戻ってきていたのでした。
「どうやら一周したみたいですね、あたしたち」
「だな。あの岩、見覚えある」
「ててて、てことは?」
魔道士さんの顔がさあっと蒼白になります。
「島のようですね、ここ」
うすうす感づいてはいました。はじめは太陽に向かって歩いていたはずのに、いつのまにか背を向けて歩いていましたから。
「誰か、海の向こうに陸地が見えましたか?」
誰も答えてくれませんでした。
「ということは、孤島……ですね」
「おいおい、かんべんしてくれよ。その上もし人もいねえんだったら」
「無人島……ですね」
森の中はまだ入っていないためわかりませんが、その可能性もありそうです。
「そ、それだったら、どしますか」
魔道士さんが不安剝き出しの顔でつぶやきます。
「そうだなー。このまま助けがこなけりゃ、全員飢え死にだな」
戦士さんが最悪の展開を予想します。
「うううう」
「大丈夫ですよ。魔王戦の残りの回復道具がまだありますから、ね、勇者さん?」
「はい(袋を掲げて)」
装備品こそ入りませんが、薬ビンならたっぷり入る袋です。伝説の武器防具は手放しても、こちらは肌身離さず持っているしっかりものの勇者さんでした。
「えー、そんなんで腹の足しになんのか?」
この肉食獣め。
「平気ですよ。一般に栄養剤として売りにだされているものも同じ成分を利用していたはずです」
「健康サプリと一緒でしたですね」
「いや、薬で腹ふくらましてる時点で不健康だろ」
もっともでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます