魔道士さん
「け、けんかよくないです!」
この人は、魔道士さんです。ローブで首から足まで覆ってます。
魔道士の村出身です。偉大な魔道士の子孫で、世界で一本の指に入るクラスの魔道士です。一人勝ちです。最強です。
魔力で彼女に敵う人はおらず、一部の一般の方からは「大賢者さま」などと呼ばれてたりします。
「よくないです、けんか!」
大賢者の名に反して知的な印象は薄いです。
「せっかく魔王のやつ倒しましたのに仲間で争ってどうします。どうもなりませんですよ。なりませんですよ!」
必死です。
そして、かわいいです。この感じをわざとやってたら畏怖の念を覚えますが、彼女は正真正銘天然です。たぶん。
「わかってる。冗談だ冗談。心配すんな」
戦士さんも魔道士さんには弱く、武器を収めてくれました。
「勇者さま、二人けんかにならず、よかったですね!」
「いいえ(冷徹)」
「ええ、なんでなんでです。二人のけんか見たかったですか!」
「はい(冷徹)」
「えーっ!」
「おいユウ、そいつからかうのも、そんくらいにしとけ」
「はい(笑)」
そんな感じで、魔王討伐はつつがなく済みました。
今思えば、つつがなさすぎたことに不安を覚えるべきでした。嵐の前の静けさという言葉がありますが、嵐そのものが静かなのは妙だと気づくべきでした。
本当の嵐はこの後に控えていたのです。
「それじゃ、みんなで外に戻りましょうっ!」
魔道士さんが、外へ抜け出すための呪文を唱えました。
するとなぜか、磯の香りが漂っていたのです。
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