≪はじめてのお〇〇≫【SIDE♀】
「いいか!?絶対覗くんじゃねーぞ!?」
「わかってる、わかってるよ」
「マジでそれは犯罪だからな?覗いたらマジで警察呼ぶからな!?」
「信用ねーな。自分を信じようぜ」
「自分だから信じられねーんだよ!!」
バタン。ガチャン。
内側から鍵をかけた。扉の向こうでアマハルが残念そうに苦笑いしている顔が思い浮かんで腹が立つ。俺も逆の立場だったら、絶対覗こうとしただろうしな。
まったく、自分ほど信用できないものはないから困る。
しかし自分のお風呂シーンを自分に覗かれる心配をしなくちゃならないとは泣けてくるな。なんの罰ゲームだ。
ファサ、ファサ、プツ、ファサ…。
上から1枚1枚身に着けているものを身体から脱いでいく。
やっぱり男の時より、脱ぐものが増えたな。俺は脱いだ衣服を浴室の籠に入れる。
胸がブラジャーの締め付けから解放されて少し軽くなった気がすした。
しかし…、なんだ。
俺は洗面台の鏡自分の裸体を見て正直ドキリとした。
鏡に映っているのは、まぎれもなく裸の少女だ。しかも、それなりに可愛い。
なんというか、全体的に骨っぽさが消えてやわらかくなっている。
オッパイ…、乳房は、しっかりと胸板から実ってやわらかな質感を見せている。
腰も、男の時と変わって筋や骨よりも肉の柔らかさが目立つ。女の尻だ。
そして、女性の下腹部。
男の時に鎮座していた、アレがなくなって、代わりにアノ割れ目ができている。
男の時よりもいくらか柔らかくなったわしゃわしゃとした毛に囲まれて。
「……。まいったな、ほんと」
自分に見惚れてしまった事に、俺は少し恥ずかしくなった。
キュ、キュ、サアアアアアアアアアア………
シャワーの蛇口をひねると、お湯が流れて髪と素肌を濡らした。
うん………。身体を、洗わないとな……。
自分の身体だ。自分の身体なんだ。
これは、別に、その、いやらしくないんだからな。
俺は壁に掛けてあるアカスリに手を伸ばしたが、ふと思い立った。
肌が、弱くなってるから、アカスリは、良くないかも…。
俺はボディーソープを手の中で泡立てた。
ヌル、ヌル。
最初は腕の先から、ゆっくりと。手の指の間までしっかり。
それから、脇へと腕を伸ばす。毛が生えていない。そのうち生えるのだろうか?
腋を洗うと、首と鎖骨。なんだか首も男の時より細いし、なにしろ喉仏がなくなってるし、肩全体が頼りなくなっている。こりゃ、力じゃなにしても男には勝てないな…。
さて、胸だ。胸なのだ。自分の胸だ。自分の。
ヌル…
上から下に石鹸を塗りたくっていく。自分の手のひらで。
上から先まで、横から下まで、すこし固さを感じる乳首の先まで。
撫でるように、優しく泡を広げていく。
自分の胸が白い泡に包まれて、泡の白と素肌の肌色が合わさる。
ヌル…ヌル…
もし…
ヌル、ヌル……
もし…、先っぽとか、いじったら、気持ちいいのかな?
ヌルヌル…
でも、それは不味いよ。流石に。自分の身体でも…。
ヌルヌル…、ヌル。
でも、ちょっとだけなら…
キュッ…、キュッキュッ……
指先でつねりながら転がしてみた。少し、固くなってきた。
キュッキュッ……
正直、特別気持ちよくはない。自分の指が女性の胸を好きにしているという感動はあるのだが、なんというか、エロ動画やエロ漫画みたいに、ビクっとはしない。
と、いうよりも少し痛いくらいだ。
もうこれ以上弄らないほうが良さそうだな。
内心、ホっとしたような、残念なような…
胸は、いい。
問題は、下腹部だ。
正真正銘の、女のアレだ。
どう、洗えばいいんだよ、この部分。
誤魔化すように、尻に泡をつけていく。
タプタプと、手の平の動きに合わせて肉が揺れている。
すぼんだ穴の周囲も、念入りに洗っておく。
なんだか、それだけでドキドキしてくる。
腹筋が殆どなくなった腹を泡のついた手で撫でて、少し形が良くなったように見える臍の穴も簡単に洗う。
ためらう様に、足の付け根を洗ってから、思い切って手を股間に這わせた。
特別、気持ちよくはない。
やはり、エロ漫画みたいにはならないもんだな。
残念なような、ホっとしたような…。
しかし、女の股間にも、男のソレに近い突起がある。あるらしい。
指先に、それらしい感触があった。
「…………」
流されるように、手でつまんでみた。
「んっ…………」
少し、刺激が走る。
俺は気が付くと、丹念に泡を塗りこんでいた。
「っツ!?」
痛い。
気持ちいいどころか、痛い。
なんだかしみる。
洗い方が悪いのか?
そう言えば、使っているボディーソープは近所のドラッグストアで買った男性用のものだ。もしかすると、肌に合わないのかもしれない。昔からなんで石鹸ひとつとっても女性用と男性用があるのか疑問だったが、こういうことなのか?
俺は急いでシャワーで股間についた泡を洗い流した。
やはり女の身体は男と違って不便だ。
ただ風呂に入るだけでも、こんなに違いがあるなんてな。
俺はため息をひとつつくと、頭から温水を被って体中を清めた。
アマハルも一度女になってみたらいいんだ。そうすれば俺の苦労もわかるだろうよ。ちくしょう。
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