2. グータラ妻とダメダメ妻。

朝、グースカ寝ていると、夫が寝室に入って来た。

「…あ、やっちゃった」(布団の中の私の中の心の中の声)

夫がいつ起きて行ったのかを知らない。

自ら台所でカチャカチャと音を立てながら朝食を用意して、ワシワシ食べて、通勤着に着替えに寝室に戻ってきたのは間違いないんだけど、一連の音がまったく聞こえないほど寝くさっていた。


そもそも、ゆうべアラームかけるの忘れて寝たんだね。


うちの夫、仮に「M夫くん」としておこう。

SとかMとか言うと誤解を招きやすいかもしれないが(ましてやサイズの話じゃない)、メンドーなので現実の名前の頭文字をそのまま採用する。それに「おっとの『夫』」をつけた。


で、結婚して初めて私が朝起きなかったという事件が起こった時、平謝りする私(今現在のふてぶてしさはまだなかった)をM夫くんはまったく責めなかった。

それどころか、「別に、毎朝(8時まで)寝ててもいいんだよ」とおっしゃられた。(あなたは仏様ですか?)


しかし、私はその言葉に微妙な危機感を抱き、懇願した。

「見捨てないで。そんなこと言わないで」

夫の出勤時間まで毎朝グースカ寝ている妻。「用なし感」半端ない。


それではスーパー主婦どころか、ダメ人間だ。

そのころの私はまだ、理想を額に入れてありがたく飾っていたと見える。


ところが今では、「起きない朝」を甘んじて取り入れさせていただいてます。

ただし、毎日ではない。


ここがミソで、あえて、ワザと、そうすると決めて、起きないのである。


これが、「グータラ」の極意、と私は思っている。


逆に、「毎日ちゃんと早く起きよう」と決めているか、起きなくてはならない事情がある、にもかかわらず起きられない。

これが、「ダメダメ」である、と私は定義している。


この「朝起き問題」に関して言えば、我が家の場合グータラが許される事情がないわけではないので、以来、ありがたく享受している。


まず、私は低血圧の家系だ。

そして、結婚前の仕事が、夜遅くまでかかりがちで、朝は遅刻に寛容な環境だった。


加えて、M夫くんは早起きで、その分、朝トイレを長時間占領するクセがある。

私が同じ時間に起きてしまうと、トイレの取り合いか、でなければ私がガマンしまくって健康に悪いだろう。


というわけで、やさしいM夫くんはこの問題のハードルをぐいっと下げて(くれて)しまった。


やさしさは、人をダメに、いや、グータラにするね。


★今日のグータラ指数:70/ダメダメ指数:30

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る