第08話 クラシック畑出身のキーボード -06
音楽同好会 初練習後の帰り道
「練習終わったね!みんな!」
「はい、これまでにないくらい楽しかったです先輩」
「まあ俺たちの腕はまだまだですけど、これすよね……うん」
俺と先輩と葛城さんは、今日の反省と雑談楽しくわちゃわちゃとしつつ帰路を歩いていた。
「でも初めてでこれだけできるて私たち結構凄いよね!」
「まあまだまだバラバラですけどね……はは」
「コラ、茂明そういう時はもっと前向きに良いところを見つけて捉えなさいよ」
俺は相も変わらずやはりダメなところばかりを言ってしまい葛城さんに怒られるのであった。
「そうだよ!後輩君のベース私は好きだよ!安定感合って!」
先輩は悲しそうにする気をつかってくれたのか誉め言葉を俺にくれる。
「そ、そうですか!先輩!」
「はう…… そうだよ後輩君」
技術がまだまだな俺に先輩はニッコリと輝きながら優しい言葉と天使の笑みを向けてくれる。
「先輩……ウルウル」
俺はその可愛らしい先輩のメッセージで好きなアーティストに100回誉めらたくらい幸せな気持ちになった。
「ほらほらウルウルしないでシャキッとしなさい男でしょ茂明」
「すいません二人とも……ウルウルウルウル」
葛城さんに注意されても幸せに溢れ涙袋が溢れ出しそうになりそうだ。俺はその涙を必死に我慢する。
「茂明、もっと普通に言わなきゃいけない言葉あるじゃないの?」
「ほ、本当に嬉しいですありがとうございます先輩!!」
「へへ、こちらこそ」
「そうそうそれでいいのよ、うんうん」
言葉の引き出しを葛城さんに引き出されて悔しく一本やられたと思ったが、それには一応感謝をしておく事にした。
「うう、誰かハンカチを……」
「ああもう、仕方ないわね木綿のしかないけどこれでふきなさいよ」
涙拭く木綿のハンカチまで貸して貰って、葛城さんにはまたまた貸しができてしまう俺であった。
「ふう……落ち着いた」
「それなら良かったわ、全く世話の焼けるやつね」
俺が拍子抜けしたように落ち着いた態度をすると葛城さんは何だかんだ心配が溶けた顔をして持ち味であるように呆れ言葉を言う。
「ねえ二人ともちょっと聞いてくれない……」
葛城さんが俺を宥め終わると、先輩が改たまり俺たちに何か言おうとしてきた。
「どうしたんです先輩?」
「ふふ、あのね~」
俺が返事をしてすると、先輩は少しはにかんみんで俺達を隅々まで見てこう口にした。
「私ね、バンドがもう一度できて嬉しいんだ……」
先輩は言葉を思い切り噛み締めながら胸に両手を当て、心からの喜びを現わにしてきた。
「そうですか先輩……」
「先輩!!」
「うん、そうなの、へへ」
少し舌を出してニッコリと本当に嬉しそうにする先輩。見ているとこちらまで喜びに満ちそうな笑顔だ。
「……へへ」
しかし、先輩がその笑顔を休めた時。
その時は一瞬だが、ものすごく悲しいように見えた。
「うん?」
顔は笑っているけど少しだけ心から笑えてないそんな違和感先輩に俺は感じた。
「あの先輩……」
「な、何、後輩君?」
先輩は俺の問いかけに慌てて、目を細める笑顔をしながら対応する。
「……何でもないです」
「そ、そうか」
先輩のあまりに分かりやすいアワアワした対応に、俺はちょっと哀れんで深くは聞かない事にしておいた。
「あ、そういやさ、やっぱ後一人楽器欲しいよね、うんうん」
先輩が話題を無理矢理に反らしたということは、これはあまり言いたくないも事なのだろう。
「ええ……先輩その話は早くないですか?」
「ゲ」
反らした話題が不味かった早々と、葛城さんにその話についてツッコまれた。
「い、いや……でもやっぱ人数もう少し多い方が良くない?後一人いたら非公式から公式の同好会になってお金も少し貰えるし、そ、それに……」
「それに?」
「やっぱ大勢の方が楽しいと思うし! 」
「……」
先輩はどうしてもこの話題に移りたいのか、必死にこの話を盛り上げようとしている。
「そ、そうですね後キーボードとか居たらいいですよね……はは」
俺は必死になっている先輩を哀れんで、話に適当に乗っておいた。
「キーボードね、確かにいるとバンド映えるわね……」
楽器の単語を発した瞬間、先輩のいきなりの話題疑問に思っていた葛城さんが以外にも食いついてきた。
「あとマニュピレーターとか居たら、やれること増えて表現の幅が広がっていいわね、それとかサックスとかトランペットもカッコいいし欲しいわ、パーカッションも居て欲しいわね、あと……」
葛城さんはこの話題に乗り気ぽくなかったのに、話にはまって勝手に頭の中で新入部してくれる楽器を思い浮かべるほどであった。
「そんなに楽器入れてどんな音楽したいんですか?」
葛城さんがあまりに沢山の楽器を言っているので、俺は素直な疑問を葛城さんに投げた。
「え……あ、いや、なんとなく入ってくれたら良さそうな楽器を上げてみただけだけど……」
「フフ、柚菜ちゃんそれほとんど全部の楽器言ってるよ」
「フフ、ですね」
勝手に空想に夢中になる葛城さんが、好きなお菓子か玩具でも選んでいる子供みたいに見え微笑ましく思えたのか俺と先輩は二人でニコニコと頷きあった。
「何よ!二人とも……」
「いえいえ、何でも」(俺と先輩)
葛城さんが俺達が笑っているのをあまりよく思わなかったのか、少し切れそう声色で俺達をぷすーんと睨んできた。
その反応に俺たちはわざとらく口と片腕を振る動作を揃え、何も思っていなそうなアピールをする。
「全く二人ともからかわないでよ、こちらは……真剣なのよ……もう」
葛城さんがその事に気がつくと顔を軽く膨らませ俺達を見てくる。しかし、真剣だと話題に乗った事を軽く肯定する。
「フフ、もう柚菜ちゃんてば」
先輩もさっき慌てて無理やり新しい部員の話題を変えたのに、すっかりこの話題を楽しんでいる。
「で、この話題を振った張本人の先輩は何か入って欲しい楽器は無いんですか?」
「え、え……」
先輩はそう問われていきなり固まった。
誤算だったのだろう、話題を変えたがいいがその話題について話すことを考えてなかったぽいのだ。
「……うう……そ、そうだね……」
声に間が開くということは、本当に何も考えていなかったのだろう。
「……でも、やっぱりキーボードは欲しいですよ、せ、先輩もそう思いますよね!」
「え、ええ」
俺は少しごり押しで、もう一度キーボードを推し先輩にそれを勧誘することによって助け船を出すことにした。
「……う」
「……うん」
俺は少し首を頷かせ、先輩へと合図を送る。
「そうだねやっぱりキーボードが欲しいね!」
「そうそう、やっぱりメロディーラインとかコード進行とか分かりやすく聞こえますからねそういう意味で重要ですよね
「そ、そうだね!」
「そうですよね!」
「はは!」(俺と先輩の愉快すぎな笑い声)
「……そうね二人とも」
俺達の妙な、愉快すぎる笑いに呆れる葛城さんであったが言ってる事は分かってキーボードが欲しい事は十分分かってくれたようだった。
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