第07話 部活だ!セッションだ!部員候補者だ!? -03
お知らせがあります!!
私は新たにできた二人の後輩部員から同年代の友達を作るという計画を遂行させられました。結果、私は友達ができる第1歩踏み出す事ができ私は返しても返し切れない恩を貰いました。(まだ第一歩で完璧な友人というのにはまだまだ遠そうですが……)
でも、踏み出した不安も沢山あります。
私は彼女に飽きられてしまうのではないか、彼女以外の友達とも仲良くできるか、考えただけで気が重くなりそうです。
でもそれは、仲良くできた彼女と過ごす時間が自然と解決するでしょう。何事もゆっくりと焦らず向き合って行こうと思います。
「それで昨日は直ぐに寝ちゃったてあれ先輩どうかしましたか?」
「え、うんうん何でもない!」
私のために友達を作ってあげたいそんな熱意の籠った言葉と真剣な表情。思い出すと今にもウルウルと涙を流しそうで、背中を強く押してくれた二人には何度感謝していいか分かりません。
なので私は頭を使い色々考えました……
何かプレゼントを用意しようか、何処かへみんなで行こうかそれだったらライブに連れていってあげたい。でも二人にそれらを聞けるタイミングを儲けるほどの時間を過ごしていない気がするし、そもそも先週漫画を買ってお金がなく経済的に余裕がない。
そんな時、私はモジモジと柚菜ちゃんが後輩君にベースを照れながら小さくあげようと言った。その時の二人の仲の良い馴れ合っている姿を見て直ぐに思いつきました。
「いや~ それよりも本当に助かりましたよ葛城さん!」
「ど、どうて事ないわよ、そんな事……」
私は二人に……
「照れちゃって、もう可愛いですね!はは」
「て、照れてないわよ!別に!」
「またそうやって、はは」
互いに馴れ合う後輩君と柚菜ちゃんに、もっと仲良くなってもらおうとこれから私は密かなに恋のキューピットとなり陰ながら二人に恩返しをしていこうと思います。
by 宮崎 楓
To 奥谷 茂明
3人で帰宅中、俺は非常に上機嫌である
「はは、この、この、照れ屋め」
だからこれまでの人生で類を見ないくらい口を大きく開けて高らかに笑う。
「うう……もういい加減にしなさいよ」
高らかに笑い飛ばされている彼女はというと、弄ばれやや不機嫌な形相だ。
チョイトやる過ぎただろうか……
俺は危うく思い、口を右下にすぼめ渋い笑みを浮かべながら謝った。
「す、すいません葛城さん……」
散々弄りきったので、もの凄い威圧でそれまでの恨みを放つかのよう鋭い目で睨んできた。
俺は取り合いず謝り続けた。しかし、彼女は不機嫌を決め込み気分最悪な顔を俺に向け続ける。
「フン、後で覚えて起きなさいよあんた」
俺は大変な失態をしてしまったようだ。
どうにかして彼女の機嫌を直さないければ。
しかしどれもこれも……
「う……うう」
(あ、もう、なんだよ葛城さん)
いつもは気を張って偉そうにしているくせに、小さく甘く高い声で可愛く唸って我慢している葛城さんが悪い!
こんな葛城さんなどあの4人の前では絶対見せる事はないだろう。俺は心の中のにやつを必死に耐える。
「フフ」(ニコニコ)
それにしても先輩はなぜ俺たちを何も言わずに笑って見つめてくるのだろう。
俺は何よりその謎が頭の片隅でどんどん加速していくメリーゴーランドのようにグルグルと回る。
加速した果てに俺は最悪の結論が見えてきた。まさか……
(ま、まさかではないが怒っている……)
俺の頭の中の考える人の肖像(変に俺を美化した姿)は、真っ青な顔で冷や汗を書きながら恐る恐るそう口にしていた。
俺のギャルゲープレイ経験上、美少女がいきなり何も言わなくなった時が一番ヤバイのだ。
しかも今の先輩の場合何一つ表情を変えずに笑っている……
きっとそのニコニコを目を瞑っている瞳の奥にはものすごい邪悪な炎が静かに激しく灯っているだろう。
適当に模索するだけで2つ以上考えられる。
パターン1
先輩の瞳の奥で怒りに身を任せた虎が炎と共に燃え上がる。
(はうう、後輩君め柚菜ちゃんとイチャイチャして!)
パターン2
先輩の後ろに青く睨んだ鋭い瞳の青竜が大きな雷と共に唸りをあげる。
(はうう……後輩君め調子に乗って柚菜ちゃんをいじめて、明日で先生とお仕置きしないと……)
パターン3
……
パターン4
……
パターン5
……
……
思考がいくつも浮んで自分が二人の怒りが混在する板挟みの境地に立たされている事に気付いて現実でも少し顔が青ざめそうになる。
(ヤバイ、ヤバイ!)
俺はそれを悟られぬよう、なに食わぬ顔で三人と並んで歩き二人の怒りが自然と調和するのを待つ事にする。
「もうこの、茂明きってのちょっとこのもやしボッチ!」
「へ?」
気がつくと俺は葛城さんに何度も話しかけられていたようだった。先輩はというと笑った顔を保ったままである。
「ほら、ぐずぐずしてないでこの角を曲がるわよ!」
「え、は、はい!」
「私も行く~」
多分これから葛城さんの家の前に行くのだろうと軽く理解し、その上でそのふりをして俺は三人と歩幅を合わせる。
うん?3人?
なぜ先輩まで付いてくる。余程先輩は怒っているのか……
「良かった……」
「うん?」
「な、な、何でもない!!」
葛城さんは小言で何を言っていて、聞き取れなかったがまた怒られるのも尺なのでとりあえず聞き捨てる事にした。
俺が葛藤してる間に何かあったのだろうか……
「フフ」
それにしても、先輩がさっきから笑ったポーカーフェイスを決め込みすぎている。これは二人きりになったら凶悪な眼光で睨まれ先輩への好感度は極限まで下がるに違いない。
というか、もう既にそれ以上に下がっているのではと思い込んでしまう。
葛城さんはというと、きっき俺の意識を戻してから口数が少なくなっている。
俺が考え込んでいる最中に何か言ったのだろうか……
それを聞くか聞かないか頭で足踏みしているといつもの間にか葛城さんの家の前に付いてしまった。葛城さんは話す間もなく一言だけ待つように言うと、家の中に入って行ってしまった。
「フ、フ~ン♪」
「……」
葛城さんが家の中へ入っていくとすぐ先輩は弾み気な明るい音色で鼻歌を歌い出す。
その明るく可愛らしい鼻歌が今の俺には悪魔の恐ろしい鼻歌に聞こえる。
「ねえ、後輩君?」
先輩は天使のような悪魔の微笑んだ形相で俺を見ている。
「何ですか……」
先輩は微笑んだままもったいぶってなかなか話をしてくれない。そのぶれない微笑んだ顔を見るたび俺の不安と恐怖は積もるばかりだ。
「あのさ、二人て仲いいね~」
「は、はいまあ」(そうなのかな……)
先輩の質問に曖昧な返事をして、俺はとりあえず話を進める。
「知らない内に仲良くですかね」
にこやかな苦笑いで先輩に大体合ってい答えを答えると、先輩は口をマシュマロを頬張る子供みたいにほわ~と目を輝かせながら俺を見てくる。
「へえ~、なるほどなるほど」
先輩は好奇心旺盛な反応してから、顎下をスリスリと触って推理小説に出てきそうな主人公が謎を説く仕草をする。
俺は頭を傾げながら先輩を見る。先輩が何を思っているのかさっぱりわからなくなってきた。考え込む先輩に頭を悩ましていると葛城さんの悪戦苦闘する声が聞こえてきて家の前の扉がゆっくりと重そうに開いた。
「ほら、ベース持ってきわよ!」
「は、はい、ありがとうございます……」
俺はベースを渡され、感激の100%の笑顔を葛城さんにするべきなのだが少しの笑みで落ち着いてしまう。
「ははあ」
「うん?」
「はう?」
二人は俺のあまり喜ばなかった様子を見て、頭にハテナを浮かべる。
さすがに、薄い反応ではちょっとまずいし葛城さんに失礼かなと思った野手俺は不自然に落ち着いた笑みの度合いを上げつつケースを開く事にした。
「……おう」
俺はベースを見たあまりびっくりした。
青と黒のシマシマでやや暗く黒が多目のダークな配色。俺は青色が好きなので凄く嬉しい。青という青は全部好きだ。その中で水玉やシマシマ模様も例がいなくその色がちゃんとマッチして調和しあっていれば問題ない。
このベースは青黒の配色実に見事に調和してダークな暗い印象になり、青と黒それぞれが喧嘩する事なくそのダークな印象の色でマッチし合っている。それに俺はミスチルの桜井さんが使っている水色の明るいポップなギターを持ってちょっとベースを弾けるようになり買うなら同じ色の対象的な存在にしたいと思っていた所だった。
今の俺の目の状態はこのベースを見るやいなや全校のいじりの的になろうと持っていこうかな……と躊躇してしまうレベルである。
「ほ、本当に貰ってもいいんですか?」
「うん、どうせ私使わないし」
「はあ……」
俺はそんな高揚感で瞳が一気に光る。
「本当に……ありがとう……葛城さん!!」
俺はその輝きの瞳で葛城さんを熱く見つめ大きく礼を言った。
「い、いいから、用が終わったならさっさと家に帰りなさい……」
何故か葛城さんは礼を言われただけなのに目をプイッと反らす。
「ッ……うう」
「……はひ~」
そんな葛城さんに先輩は顔を近づけて歯を見せつけ意地悪にほくそ笑み、その場を直ぐ様捨て台詞を吐いて去っていく。
「はひひ、じあねえお二人さんごゆっくり!」
夕陽と先輩の後ろ姿が重なり、先輩は自分の家路を行く。
「エ……」
「うん?」
大きく幅をとってとても愉快そうにステップしている先輩に俺達はただ目を歪ませてその姿を見つめるのだった。
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