第06話 始動? -03
私は内気で小さい頃から恥ずかしがりやで独り身な高校2年生宮崎楓。
一昨日突然入ってきた私と似ているようなそうでないような男の子で音楽同好会に入ってくれた奥谷茂明くんとバンド仲間の親友に恋愛でトラブルになり傷付いた悩みを後輩くんが相談に乗った事がきっかけで部員になった葛城柚菜ちゃんの二人に昨日、同年代の友達を作ることを後押しされて友達候補の西城さんを昼食に誘ってみた。
「……」
「う……」
は、いいものの……
初めて机を向き合う形にして、ご飯を食べるという体験をしているのはいいもの……
話が全く出てこない……
「う……」(どうしよう……)
と白米を箸で掴んで口に入れたまま悩み。
キョロキョロと目だけを動かしてそこら中を見やる。
「はむ」
話すのを悩むのもそのはず、西城さんは悩む私を余所に真顔で嬉しそうにお弁当を食べながら片手間にスマホで何かしている。
「……」(うう、はう……)
とりあえず気になったので、西城さんの机の方をそっと覗く。西城さんの弁当の中身を見ると洋風な感じで少しゴージャスであった。私の和風で茶色く質素な感じとは正反対である。
「食べますか?」
西城さんは弁当に興味を示したのかと思ったのか、私にお箸で美味しそうな白身のムニエルを少し頬を緩ませながらこちらに向けてきた。
「あ、いいの?」
「はい」
西城さんはニッコリと返事をしながらい言うのでそれを貰い。私はお返しにお惣菜の塩鯖を半分に切って西城さんあげた。
「あ、ありがとう」
初めてのおかず交換にオドオドしつつ、西城さんにお礼を言う。
「いえいえ、こちらこそ」
私の礼をさらにニッコリとして返す西城さん。
なんだろう……
西城さんは普段は静かで暗い雰囲気があったけどこんな明るい顔もするんだ。何気なくほんわかした感想を思い、私の心はちょっと温かくなり、嬉しくなり私は思いきって適当な話をしてみた。
「あ、あの…… スマホ何見てるの?」
「えっと……漫画ですけどこの漫画知ってますか?」
そう聞くと西城さんはスマホを見せてくれた。
「あ、この漫画……」
その漫画はニセコイであった。恋愛系でキラキラしている漫画であるが、私の中で恋愛漫画です5本の指に入るぐらい好きな漫画だ。
ちなみに……
一 いちご100パーセント
二 らんま2分の一
三 5等分の花嫁
四 ニセコイ
五 フルーツバスケット
てな感じだ。
そういう訳なので私は
「知ってます、結構好きですよ!」
「そ、そうなんですか……」
「ニセコイ」のの話題に私が勢いよく食いつくと、西城さんは少し困った顔をする。
私はしまったと思い、あたふたしながら話題を変えようとしたが。
「わ、私実は…… 恋愛漫画とか少女漫画大好きなんですよ!」
「え?」
西城さんは意外にも食いつき、スマホアプリで自分の買った漫画のファイルや持っている漫画も見せてきた。
「あ、フルバス…… 寄宿ジュリ……」
ファイルを見て最初に目に飛び込んできたのはその漫画達である。他にも、知らない漫画が多数、知っている漫画も結構。
ちなみに手持ちには5等分の花嫁が入っていた。
「いや~ にしても可愛いんですよね皆漫画の娘達は素直で」
朝会った時に難しそうな文庫本を読んでいた知的な雰囲気とはいって変わり、西城さんの顔は凄く乙女な表情をして恋の真っ最中という感じであった。
「特にニセコイは小野寺ちゃんが好きで……へへ」
西城さんの周りに穏やかな花のエフェクトが現れ緩みきった顔をしながら、小咲ちゃんが恥じらいうつ向くコマを見せてきた。
ちなみに、私はマリー派である。
「そうなんだ~ 万里花ちゃんが好き!
あ、それとアニメのClariSの歌も大好きだよ!」
私はそんな緩みきり自分の好きな物を語る西城さんにつられて、私も好きであることを同じくらい緩みきった顔で話す。
「そうそう、やっぱりこのシーンの所がよくてですね」
「うん、うん、そうだね」
何でも繰り返し好きなシーンについて語る西城さん。そんな西城さんを見て、私も好きなシーンを語る。
恋愛漫画は好きだけど一番好きではないけど
なんだろう……
「やっぱり、マリーちゃんもいいですよね!」
「でしょでしょ、ほらこの勉強会の何かさもう可愛くて可愛くて~」
好きな物を好きといって語り合うのは、物凄く…… 楽しい。
人と話すのがこんなに楽しいのは生まれて初めてだ。
「あと、私はニセコイのopだったらSTEPが好きです」
「2期の歌だね、でも私は1期のCLICK
かな~」
好きな話は次に違う好きな話を運んでくれる。
「ClariSもこのアニメで知ったんだ~」
「そうなんですか!じゃあじゃあ、化け物語シリーズとか俺妹とかまどまぎとか知ってますか?」
そして話はどんどんと広がっていく。
勿論の事、西城さんが上げたアニメは全部知っている。化け物語は私の教室での唯一の憩いの場所であり友達であったぐらいだ。
「うんうんうん、知ってる知ってる好き好き!」
私は首を何度も振って、少し興奮する。
そんな私を西城さんはおかしく思ったのか、フフと何度も笑い、そんな雰囲気のまま私たちは次々と好きな事の話を続けた。
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