第06話 始動? -02
妄想
俺は昨日感動的な出会いをし、俺と同じ部活に入ってくれた金髪美少女に突然昼休みに腕を引っ張られ教室から連れ出させている。
一体、このボッチなもやしを連れて何処に行くというのだ。
「か、葛城さん何処に俺を連れていくのですか……それともっちょっと力弱めて……」
こちらの質問にも要求にも彼女は何一つ答えてくれない。
「……」
「葛城さん?」
葛城さんは階段の下の隅っ子あたりに止まって、うつ向きながら俺を見てきた。
「し、茂明、私……」
「葛城さん!?」
この展開は、この幾度の女を落としてきた(買ったギャルゲーでヒロイン6人中4人ぐらい)
俺はすぐさま察し、いつも堂々としている葛城さんの腕が震えているのに気が付く。
「か、か、葛城さんも、もしかしてその……
」
察した事を何となく頭で想像し、俺も葛城さんのように身震いして挙動がおかしくなってきた。
「茂明……」
「葛城さん……」
選択肢
1 どうしたなんですか?
2 か、可愛い……
3 す、好きです!?
俺の体全体が緊張で締め付けられると、何故か頭の中で勝手に3つ程の選択肢が見えた。
俺はその選択肢が来た瞬間、リニアモーターカーのこどく頭に送る血液の速度を上げ考える。
1は、普通な対応すぎて好感度は何も変化なしだろう……
2は、誉められるキレられるそんなジレンマな選択肢だと思う。まあ、実際にはあの中世がかっり少し日本人離れしている顔立ちとそれをマッチされるかのようになびくもの凄く綺麗な金髪に見とれている事は近くにいる頃以外には何度もあったが……
3は待てそれはない。。俺には楓先輩という初恋の人がいる!!
「実は、私昨日助けられた時からあんたの事が……」
な、何ぃ~時間制限だと、とういうかこれは強制イベントだったのか……
現実
そんな訳はなく。俺達は2階の2年生の教室の前に来ていた。
「……葛城さん」
「しぃ~ 静かに静かに」
俺は少し苦そうな声で教室のドアの端から中をひっそりと覗く葛城さんに話しかける。
話しかけても、教室を見ながら俺の方も見ないで「うるさい」と「黙って」の一点張りで覗く事に集中していた。一体に何を覗いているのかと言うと。
「か、帰りましょうよ葛城さん……」
「あ~もう、あんたは先輩が心配じゃないの?」
そう、今、俺達は昨日の先輩の友達作る作戦の経過を見に来ているのだ。
見に来たのは俺達というか葛城さんだが……
「いや、そうですけど……」
俺は何かと連れられるがままに来てみて、というか無理矢理に連れてこられたが。
いざ先輩の近くに来てみると、心配で堪らなくなる。でも……
「やっぱ人目が……ちょっとさ」
ゆっくり辺りを見て、苦笑いし思わすため口で葛城さんにそう答える。
辺りの状況を説明すると、俺達の事は先輩の方からあまり見えないのだが、教室の前に通りがかる2年生の生徒達には俺達が目に止まり結構な人に見られている。
先輩が心配である気持ちは堪らなくあるが、多くの視線を浴びるのは恥ずかしい。
「は?何よそれ」
そう答えると、葛城さんは若干呆れた顔で俺を見てやれやれとため息をついた。
あんたが勝手に俺を連れてきたのだろうと、軽く腹が立つが女子を殴ってはいけないとギャルゲー紳士の心がその感情を抑制させる。
「それでも先輩の事が好きな訳……」
「フェ?」
いきなり何を言い出すかと思えば、葛城さんは俺の先輩へ対する思いに図星をついてきた。
あまりにも、唐突で軽々と言い当てられた物だから俺は変な声で返事をしてまい、羞恥な醜態を隠すため自分の口を勢いよく塞ぐ。
「あれ?当たってたの……」
俺の図星を言い当てられた葛城さんだったが、それは思わぬ事だったらしいく葛城さんは少し呆気に取られた顔をした。しかし……
「まあ、あんな動揺しまくりな動きしてたら好きて言ってるようなもんか、フフ」
思わぬ事だったのは本当だが、俺が先輩を好きだと言うことに秒ですぐに納得し俺に目をニヤリと向けて嫌らしく笑う。
「……そうですよ」
嫌らしく笑う葛城さんにどう対抗してもまた面倒なからかいが飛んでくると思ったので俺はしばらく間を取って、ゆっくりと小さい声で開き直る言葉を話した。
「そ、そうですよ、そうですよ、俺は初めて見たときから楓先輩の事が……」
「ごめん、茂明ちょっと黙って」
口が小さくなりがらも最後まで先輩への愛を台詞と言いおうとしていると、何か中であったのか葛城さんは人差し指立てて一を作り俺に黙るように指示してきた。
「な、何ですか~」
「……いいから、あんたも中見なさい」
からかった彼女に少し腹が立つ所だが、葛城さんの真剣な様を見てそんなどうでもよい苛立ちよりも教室の中にいる先輩が気になり俺はそっと中を覗く。すると……
「ウソ……」
中では、何と先輩はお目立ての相手(友達「仮」)と昼食を食べていたのだった。
「葛城さん……」
「茂明……」
俺達は思わず向かい合い、自然と口角が上がった表情で静かに歓喜を表して二人でそっとハイタッチをした。俺達は心の底からの喜びを分かち合うまま、しばらくの間先輩二人を見守った。
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