第04話 金髪少女の決意-01
「という事なんです……皆さん」
葛城さんはこれまで経験した親友二人との思い出と親友二人からとんでもないどんでん返しな悲劇にあった事を俺たちに詳しく話してくれた。そんな話を聞かされて先輩は可愛らしい涙目になり、目をウルウルとさせる。
先生は終始無言で真剣な表情になっていて授業モード気味であった。
その話を最後まで聞き葛城さんの悲しい過去の深い部分まで全て理解した俺は彼女に「本当はどうしたいんですか?」と言った事を物凄く責任に感じ、自分の身勝手で押し付けがましかった言葉をとても自分で嫌悪に思った。
「はうう……」
「……」
「葛城さん……」
「ご、ごめんなさい皆私のために……」
葛城さんは深々と向き合ってくれている俺達の反応を見て、申し訳なさそうに感謝の言葉を言う。申し訳と思っているのは自分の方であると俺は思い葛城さんから目を少し逸らしてしまい、俺は口を小さく開いた。
「すいません、葛城さん……」
「なんであんたが謝るのよ?」
自分の不甲斐なさと無神経さに呆れて、俺は謝りながらこう言ってしまう。
「その……、なんか無神経にどうたしたいとか焦らすような事言っちゃって……」
自分の無神経さを口にすると葛城さんは「フフ」と軽く笑って何事もないように話す。
「そんな事別に気にしてないわよ」
「そうなんですか?」
「むしろ嬉しかったわよ、私の事を思ってそう言ってくれたんだもの……」
葛城さんは今にも感謝の嬉し涙を流しそうに
微笑んだ。その微笑んだ顔を見て、安心して不意に流れた葛城さんの涙を吹くためハンカチを取り出す。
「泣かないで、葛城さん」
「ごめん、なんかあの時安心した事思い出したらなんか涙が……」
優しく言葉を葛城さんに掛けて、もう何も怖がらなくていいように、俺は優しくハンカチで葛城さんの涙の悲しみを包むように拭う。
「うう、柚菜ちゃん!!」
「て、うわ!」
「せ、先輩!?」
涙する後輩に歓喜あまって先輩も涙を流しながら勢いよく飛び込み葛城さんに抱きついた。
「辛かったんだね、柚菜ちゃん……」
先輩は葛城さんよりも大粒の涙をながらしながらぎゅっと葛城さんの体を抱きしめる。
先輩に抱かれると葛城さんは泣き止んで自然と笑顔になり先輩を抱きしめ返しす。
「ありがとうございます、先輩……」
「はう、こっちこそごめんね……」
先輩はまだ涙を流したままで、葛城さんを抱きしめていて、俺はそんな先輩を見てなんて感性豊かであると思い不意に笑みが出てしまう。
「なんかこれだったら私が柚菜ちゃんに慰めて貰ってるみたいだね」
「フフ、そうですね」
先輩が立場が逆になっていると言うと、葛城さんは自分以上に涙を流しながら言う先輩を見ながら今までに聞いた事のない安心したトーンで微笑みながら答えた。
「……フ」
和ましい会話している中、先生はやはり黙っているのかと思ったがそんな彼女たちを見て俺と同じように笑みを溢していた。
「う、うん……ちょっといいか君たち」
その笑みを誤魔化すためか先生は軽く咳払いをし、二人に何か話を切りだそうとする。
先生の真剣な声のトーンを聞いてか二人は体を離して先生の方を向く。
「は、はい先生!」
先輩は慣れているのか、号令をかけられた兵士のように勢いよく返事をする。
「す、すいません!」
葛城さんは先生の声のトーンで申し訳なく思ったのか、慌わてふためきながら謝る。
「いや、謝罪させるために話を止めたのではないのだが……」
どうやら真剣な玉置先生は学年1の金髪美少女でも恐れるらしい。俺は改めて先生の怖さを実感した。
「とりあえずだ大体の事は理解しただが、茂明ではないがお前は一体どうしたいのだ」
先生はこれまでの苦悩を理解した事を伝え、葛城さんの考えを聞こうとする。
俺と同じことを言った先生の言葉に葛城さんは向き合わなければならない自分の問題と直面してその場で静かに黙り込む。
「……」
「葛城……」
ただひたすら考え黙り込む葛城さんとそれをじっと見ている先生の2人の姿が見て、俺と先輩は困惑する。
(ど、どうしよう……)
「葛城……」
「う……」
先生の視線は次第に鋭くなっていき、葛城の答えを焦らせるような素振りを見せる。
そして、しばらくの間そんな困惑に駆られた状況が続いた。
「はうう、あ、あの……」
困惑する状況の中、先輩は口を開いた。
「そ、その、柚菜ちゃんよ、よかったらその……」
口をどんどん開くに連れて、先輩の声が徐々に小さくなっていく。
「せ、先輩落ち着いて」
そんな先輩を見かねて俺は声を掛けて、先輩の心を落ち着かせようとした。
「はうあ!」
声を掛されると先輩は体をビクッとさせて驚かされたような反応したが、それが功を奏したのか先輩は我に帰って落ち着きを取り戻した。
「あ、ありがとう後輩くん」
先輩は礼を言うと、改まり真剣な声で葛城さんにある提案をした。
「そ、そのね柚菜ちゃんよ、よかったらさ、私たちの部活に入らないかな」
真剣な声で気まずさや不謹慎さを思って先輩は言葉を詰まらせながらも、葛城さんにそう提案する。
その言葉を心の底から喜び今にも自分も誘いをしにいきそうなそうな勢いになりそうだが、バンドであんな悲しい思いをした葛城さんにまた音楽をやろうなどと軽々しく口にはできず、思いを出しきれずその場に立ち止まった。
「先輩……」
「ご、ごめんなさい、む、無理にとは言わないよ!」
先輩は葛城さんを悲しませたと思ったのか、あたふたとしながら悪魔で強制でないと付け加えた。
「……」
そんな勧誘を受けた葛城さんはその場に黙り込んでそれについて考え始めた。
「……部活」
葛城さんは小声でそう呟きながら、俺達の顔を見る。その目は寂しがりやの子供がようやく一筋の光を見つけたような瞳だった。
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