レベルアップ5
魔王に魔眼をもらった日から、魔眼を活用して弱い魔物をネクロちゃんが狩り、危険になったら俺がサポートして討伐するという生活スタイルを確立して、ネクロちゃんの魔力量がここ数週間で10から30へと変化していた。
その数値の変化が、早いのか遅いのかは分からないが、ネクロちゃん本人は日に日に強くなるとを実感していることが嬉しいらしく、今では寝る間も惜しんで、魔物を刈り続けている。
「中武師匠、このあたりの魔物は討伐したので収納お願いします。 私はもう少し先に行っていますので師匠も遅れないでくださいね!!」
最初こそ苦戦していたが、今では魔物、数十体を相手にしても息切れ1つしないで元気いっぱいに走り回るネクロちゃんをみて少しだけ不安になる。
「なあ、シュヴァリエ。 ネクロちゃんのあの状態はヤバくないか? なにか憑りつかれたかのように魔物を刈り続けているんだけど」
(トリガーハッピーに似ているな。 おそらくアドレナリンが出まくって自分でも思考を上手く制御できなくなってるんだろうな)
「それって、体にはよくないんじゃないか? 止めた方がいいのか?」
(どうだろうな。 普通の人間ならば、知らぬ間に体を疲弊させているわけだからマズイだろうが、アイツは私の作った回復薬を飲んでいるからな。 本当に体に負担がかからないから問題が無いといえば無い)
「しかし、寝る間も惜しんで魔物を刈りづづけるのは、精神的によくない気がするんだが、その点も問題は無いのだろうか?」
(その辺は分からん、そもそも私は魔王であり人間とは根本的に違う存在だからな。 人間のことは専門外だ)
「じゃあ、休ませるべきなんだろうな。 今のネクロちゃんは目が血走っている。 いくら強くなれるとはいえ、あんな状態ではいつかは精神的に壊れそうだ」
(壊れそうと言い切れるなら、何故、今まで止めなかったんだと、むしろ聞きたいんだが、何か理由でもあったのか?)
「……いや、やっぱり生前の癖で頼まれると断れないタチというか……。 目は血走っていても嬉しそうに強くなることを実感しているネクロちゃんを、止めるに踏ん切りがつかなかったというか……。」
(相変わらず、お前の考えは理解ができないな)
魔王のため息交じりの言葉に返す言葉もない。 流される性格は死んでも治らないんだなと実感したところで、1つ疑問に思った事を魔王に聞いてみた。
「魔力量って魔物にとっては強さの指標なんだよな?」
(どうした急に、その通りだが、それがどうした?)
「この周辺で出てくる魔物の魔力量が魔眼で見ると、少なくとも100を切ることが無いんだが、魔力量30程度のネクロちゃんが、普通に戦って勝てるのはなんでなんだ?」
(それは、その他の力で、ガキが上回っているからだ。 あのガキの場合は神の加護が肉体を大幅に強化してくれているからな。 しかも倒せば倒すほどにその力は増していくんだ。 まあ私から言わせてもらえば微々たるものなんだがな)
「なるほどな、魔物にとっては指標となりえるが、人間にとってはその限りではないのか」
(そういうこと、それよりいいのか? あのガキを止めるつもりだったんだろ? 早くしないと見失っちまうぞ)
「そうだった、ちょっと走って止めてくるかな」
魔王に言われて、ネクロちゃんの走っていった方へと俺も急いで追いかけた。
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