第一章 主要登場人物一覧

※『第一章 第一次星片争奪戦~日本編~』のネタバレが多大に含まれていますので、ご注意ください。

※※Teuffelの読みが、“テウフェル”ではなく“トイフェル”であることは認識しています。訂正については後日行う予定です


▽登場人物一覧

〔〇組織名 ・所属するキャラクター名〕


〇Peace&Liberty (通称P&L)

創設者:ラウゼ エルキン

組織目標:3つ以上の星片の破壊

 「確認されている5つの星片の内3つ以上を破壊し、どの組織にも星片の奇跡を起こさせない」ことを目標に争奪戦に参戦する。その背後には「星片は奇跡の欠片ではなく、人々の命を奪う争いの火種である」というラウゼの思いがある。

 常時は①ラウゼの星片破壊装置の開発費、②組織運営経費の調達のために、表の社会では解決されない様な汚れた依頼を請け負い、実働部隊(異能力者部隊)であるグラウ、ソノミ、ゼンの三人がそれをこなしている。


・グラウ ファルケ (Grau Falke)

年齢:20歳

身長:175cm

武器:二丁拳銃(漆黒の拳銃Sodom白銀の拳銃Gomorrah

異能力:二丁拳銃に銃弾を装填する

「ああ、勘違いだけはしないでくれよ?俺は正義の味方ヒーローの真似事をしているわけではない。あんたを殺す理由は金を積まれたから。ただそれだけだ」

 本作の主人公。一人称は俺。仲間からは“グラウ”と呼ばれている。ギブミエナジーという(大半の人間の味覚からすれば、とても美味しいとは言えない味の)炭酸飲料の中毒者。

 髪は灰色で、クラウドマッシュの無造作ヘア。瞳はルビーの様に赤い。上衣は牛柄のシャツの上に年季の入った紺色のモッズコート。下衣は黒のスキニー。ショートブーツを履いている。

 異能力は、具体的には「二丁の拳銃のマガジンの交換、スライドを引くという過程を省略し、それらを引き金を絞れば弾丸が発射される」状態にするというもの。しかし無限に撃ち続けられるという訳ではなく、一発撃つごとに体力と精神力の両方を消費するため弾数は有限である。

 グラウのこの異能力は、他の異能力者たちの強力な異能力に比べると見劣りするため、異能力者としての彼の自己評価はかなり低い。しかしそれと「上手く付き合う」ため、高い運動神経・卓越した戦闘技術・戦闘における機知を駆使し、「格上」の相手を翻弄していく。

 冷静沈着であまり感情を表に出さないが、時々歯の浮く様な臭い台詞を平気で口にする。ソノミとゼンに対しては、組織の先輩でかつ年上であることを鼻にかけている節があり、先輩風を吹かせることもしばしばある。女性にも臆することなく接するが、ネルケに「理性を溶かす」様な激しいアタックをされたり、ソノミに不意に口づけされた時などは、大分取り乱していた。

 第一次争奪戦以前は「死んでいた」と独白しており、過去に何かトラウマがあった模様。しかし争奪戦における仲間たちとの交流、敵対する異能力者との戦いを通じ、その過去を乗り越えることに成功した。


・ネルケ ローテ (Nelke Rote)

年齢:20歳

身長:161cm

武器:サバイバルナイフ

異能力:高速移動

「わたしに相応しい匂いは二つだけ――撫子わたしの匂いと、そしてあなた匂いよ」

 本作のヒロインの一人。一人称はわたし。仲間からは“ネルケ”と呼ばれている。人を騙すのが得意らしい。

 髪はクリーム色で、ロープ編みのハーフアップ。瞳はアメジストの様な紫色。黒のボディストキングの上にハイレグ型の紺色のライトプレートを着用し、膝丈のブーツを履いている。

 圧倒的な美貌の持ち主で、グラウには“立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の”や、“傾国”、“佳人”などと評されている。スタイル抜群で、かつしなやかな身体をしており、脚や腕は程良く引き締まっている。

 異能力は、正確には「自分以外の時を鈍化させるが、自分のみ通常の速度で動ける」というものであるが、他者からすれば「彼女が高速で動いているように見える」ということから、時間鈍化ではなく高速移動と自称している。異能力発動中の彼女は、高速の弾丸ですらスローモーションに見え、音も間延びして聞こえるという。

 基本的に温厚な性格だが、グラウの事になると豹変する。第一次星片争奪戦においてグラウに対し、「言葉を交わす前にキスをする」、「唇の前に立てられた人差し指をしゃぶる」、「神社で覆い被さる」、「別れ際にディープキスをする」などの猛烈なアタックを繰り返してきた。グラウは彼女が恥じらいもなくそれらをしてきたと思っていたが、実は彼女は相当恥じらいを押し殺してやっていたらしい。

 P&Lの正式メンバーではないが、第一次星片争奪戦の助っ人としてラウゼに雇われ参戦する。人懐っこさから直ぐにグラウたちと打ち解け、高い戦闘能力を発揮する。組織の勝利に大いに貢献し、そして見事契約通りにP&Lに星片を奪取させることに成功。そして「また会えるわきっとそう遠くない内に、わたしたちはまた会うことになるわ」と告げ、グラウたちと別れた。


・御都 苑巳 (ミト ソノミ)

年齢:19歳

身長:155cm

武器:刀

異能力:鬼化

「知らざぁ言って聞かせやしょう――P&Lが一刀、御都苑巳とは私のことだッッ!!」

 本作のヒロインの一人。一人称は私。仲間からは“ソノミ”と呼ばれている。家事全般が得意だが、特に料理の腕前はグラウのお墨付き。

 髪は濡れ羽色で、簪でポニーテールに結っている。瞳はサファイアの様な青色。黒い生地に背中に青鬼の刺繍が施されたノースリーブ上衣に、蒼黒の着物地のミニスカート、紫色のニーハイソックスを履いている。左腰には刀を、右腰には青鬼の面を括り付けている。

 ネルケに負けず劣らずの美少女であり、グラウからは「将来の大和撫子」と期待されているが、本人は自分の容姿にかなり無頓着である(身体の一部分に関しては、ネルケと比較してかなりコンプレックスを抱いているが)。

 異能力は蒼天の甲冑を装備するというもの。こにより機動性は失われるものの、防御面はかなり強化され、かつ彼女の腕力も格段に向上させる。しかし彼女は血の滲むような鍛錬を積み、刀の腕前は達人の域に到達しているため、彼女に異能力を発動させるような存在は極めてまれである(具体的には異能力者程度)。

 自らの兄に再会することを本懐としており、そのためにグラウたちを一度裏切り、単身兄の元へと向かった。しかしそこで窮地に陥り、彼女を追ってきたグラウに救われる。そして彼に「(ソノミは)家族同然の存在」と諭されたことで、P&Lの仲間(特にグラウ)のために命を尽くすことを決意する。

 上記の一件以前は無愛想な性格をしていたが、それ以降は仲間たちとの心の壁が崩れ、友好的な性格になり笑顔も見せる様になる。しかし時々言葉のナイフ(辛辣を極める発言)で仲間を傷つけることも。


・ゼン (Zen)

年齢:18歳

武器:ダガーナイフ

異能力:透明化

 P&Lの最年少。一人称はオレ。透明の狂気インビジブルという異名をもつ少年。

 金髪に赤いメッシュという髪色。ピアス、指輪、ブレスレッドを大量に身に付けているようなアクセサリーマニア。長い白シャツの上に黒のヒョウ柄のジャケット、下半身はダメージが入りすぎた黒のスキニーを履いている。

 異能力は自分の姿を透明にするというもの。自分の肉体のみならず、身につけている物(衣服やアクセサリー)さえ透明にしてしまうため、彼が異能力が一度発動すると、他人が彼のことを視認することは不可能になる。しかしあくまで姿を透明にするのみであって、自身の音・におい・体温などは異能力によっては消すことが出来ない。

 親を異能力者に殺害されたショックから異能力に覚醒し、その仇を討った際に殺人という行為に恍惚を覚えてしまう。天涯孤独の身になり、金を稼ぎかつ自分の殺人欲求を満たすために裏社会で働いていたところをラウゼに拾われる。そしてP&Lでグラウたちと関わりを持つことで、彼の狂気も少しずつ和らいでいった。

 しかし実力者グラウと高い戦闘能力を持つソノミに常日頃から引け目を感じており、争奪戦において大きな功績を挙げることで二人を見返そうと意気込む。そしてたった一人でデウス・ウルトの教会に乗り込んだは良いものの、大司祭ノウザに音で気配を察知され、石化の異能力で石像に変えられ殺害される。ノウザの異能力によって彼の身につけていたものの殆どは石に変えられてしまっていたが、唯一残ったドクロのピアスはグラウが形見として引き取り、彼が左耳に付けることになった。


・ラウゼ エルキン (Lauze Erkin)

年齢:50代

 P&Lの創設者。一人称は僕。

 白髪と黒髪の混ざったグレーヘアー。優しい印象を与える垂れ目が特徴的。スーツを着用している。

 中年にして好々爺然とした温厚な雰囲気をしているが、実は相当な経歴の持ち主。P&L創設以前は、国際秩序機関IOOの異能力・星片研究部門の所長も務めていた。秩序の番人としての性格が失われつつある国際秩序機関IOOを内側から改革しようとするも、現状維持を指向する理事会と真っ向から対立。最終的には国際秩序機関IOOから追放され、その志は一度潰えることになる。

 しかし諦めることのなかったラウゼは、時として力に訴えることも必要と悟る。そして国際秩序機関IOOによる星片獲得を防ぐために、グラウたちを招いてP&Lを立ち上げた。

 第一次星片争奪戦時点のP&Lは知名度が一切ない零細企業。そのためグラウたち実働部隊を酷使し、かつ低賃金で働かせていたため、彼らからは「ブラック企業の社長」というレッテルを貼られている。


・ミレイナ ホープ  (Mileina Hope)

年齢:妙齢(?)

 P&Lのオフィスガールにして、グラウたち実働部隊の後方支援担当。一人称はあたし。

 赤茶色の髪を短いポニーテールにまとめている。紫色の眼鏡をかけており、そのレンズの奥には桃色の瞳を覗かせる。フォーマルなスーツに、タイトスカートを合わせている。

 ラウゼと同じく国際秩序機関IOOで研究員という経歴の持ち主で、当時も彼が直接の上司であった。彼女曰く「P&Lで働いているのは、ただ単にラウゼに着いてきただけ」とのこと。

 ハッキングに長けており、一企業の監視カメラの配置すら特定することが出来る。その技術により第一次星片争奪戦の敵対組織の情報をかき集め、現地での作戦の大半は彼女の考案である。



〇世界防衛軍 (World Guardians) (通称WG)

創設者:国際秩序機関IOO理事会

組織目標:残り2つの星片の獲得

 「世界の秩序を維持する」ことを理念とする国際連合体国際秩序機関IOO直下の軍事組織。

 国際秩序機関IOOは既に第一星片を獲得しているため、あと2つ星片を手に入れることで奇跡を起こせる状態にある。星片により起こそうとしている奇跡の内容は「世界の秩序を自分たちIOOの元に取り戻す」ことであるとマルスは予想しているが、真偽の程は不明である。

 各国の異能力者部隊に密偵を送り込み、優秀な異能力者を見つけては引き抜きを行っている。そのため所属している異能力者はかなりの相当の手練れ揃いである。


・レスペド (Respedo)

年齢:40代後半

異能力:風を巻き起こす

 第一次星片争奪戦における世界防衛軍WGの指揮を任された異能力者。階級は大佐。

 青い瞳の三白眼。髪の色は黄緑で、肩にかかるぐらいの長さ。一般兵とは違う白の軍服を着用している。

 異能力により暴風を巻き起こすことが出来、彼が生み出す突風は軽く人を吹き飛ばせる風速で、塵旋風は芝生と土を抉り取る程の威力を誇る。マルス、アドラスからもその実力は高く評価されていた。

 彩奥市のモアナ遊園地を本陣とし、星片を真っ先に回収することに成功する。以降は星片を自らが隠し持ち、遊園地において防衛戦を行っていた。

 残りの数時間となったところで、テラ・ノヴァと毘沙門との最終決戦を仕掛けてくるであろうことは想定済みであり、万全の態勢で迎え撃つことに成功する。しかしテウフェルとP&Lの出現は想定外であり、サッカースタジアムにおいてグラウと対峙することになる。

 自らの元まで辿り着いたグラウを賞賛し、彼の実力にかなり期待を寄せていた。しかし終始自分優位の一方的な戦いとなったため彼に失望する。そして塵旋風によりグラウを追い詰め、ついに彼を打ち倒したかとのように思われた。しかし防御として自らを中心として発生させていた風の弱点(グラウは「台風の目」と表現)に弾丸を撃ち込まれ、最期はあっけなく逆転負けを喫することとなった。


・青いコートの男

異能力:バックパックから銃を取り出す

 第一次星片争奪戦の最終決戦において、ソノミが劇場で対峙した異能力者。

 美形の顔つき、黒のシルクハットに青いコートが特徴。そして背中にはバックパックを背負っている。

 異能力は、バックパックから望んだ銃を取り出すというもの。バックパック自体の中身は空であるが、そこからマシンガンやショットガンなど、思念した通りの銃を引き抜くことが出来る。

 ソノミに「僕のものになるなら、部下たちのことを水に流す」と言い寄り、彼女の機嫌を著しく損ねる。間もなく彼女と戦闘になり、マシンガンによって彼女に多量の弾丸を浴びせ、太ももに弾丸を二発命中させた。

 しかしソノミをピンチに追い込んでしまったことで、逆に彼女に異能力の発動を覚悟させてしまう。そして鬼化により強化された彼女の一振りで弾雨を無力化され、彼女の接近を許すことになる。そこで近距離で有効なショットガンに持ち替えようとするが腕を切り落とされ、最期は一刀両断されて絶命した。


・水色の髪の少女

異能力:水を自在に操る

 第一次星片争奪戦の最終決戦において、ネルケが噴水前で対峙した異能力者。

 異能力は水を自在に操るというもので、自分の姿を正確に模した水の像を造り出したり、自らを守る龍を使役したりする。

 仲間の兵士たちがネルケにやられていく中、一切動じることなく平然と噴水の淵に座っていたため、彼女に心の内でそしられている。

 異能力発動による速戦即決を狙ったネルケの攻撃を躱し、出現させた水の龍の光線によって彼女を吹き飛ばし大ダメージを与える。しかしネルケにナイフで排水溝の蓋をこじ開けられ、噴水の水がはけてしまったために異能力を維持出来なくなる。そして為す術もなくなったところを彼女にナイフを突きつけられ、自分の持っているのは偽物の星片であると明かしたことで、なんとか命だけは助けてもらった。


・マルス オルト (Mars Ort)

年齢:40代前半

異能力:毒煙を発生させる

「オレが喫煙を辞める時は、それはオレが死ぬ時だ」

 第一次星片争奪戦に参戦した世界防衛軍WGの異能力者の一人。一人称はオレ。階級は少佐。

 黒いシルクハットがトレードマーク。レスペドと同じ軍服の上に、ベージュのカジュアルなコートを着ている。

 極度のヘビースモーカーで、私のToxicityofmy毒性cityという銘柄を愛飲している。健康診断の結果は「生きているのが不思議」なくらい、身体に異常だらけらしい。

 異能力はタバコから発生された紫煙を増幅させ、毒煙に変えるというもの。即効性の毒ではないようだが、かなり広範囲に煙を発生させるため、一度煙の迷宮に囚われるとそこから抜け出すのは非常に困難。

 強力な異能力により大勢の命を平然と奪ったり、部下の死をあまり気に掛けないなど冷酷な性格だが、グラウの前で自らを「おじさん」と自虐するような気さくな一面もある。かなり頭が切れる人物で、グラウがユスティーツの後継者であることを見抜いている。

 グラウたちが初戦を迎えた団地の屋上において異能力を発動し、眼下にいた毘沙門の部隊を全滅させている。グラウたちはその一部始終を対岸から見ていたため、彼らに大いに警戒されることになった。

 グラウがレスペドを打倒した後に忽然と姿を現す。グラウは「自分が消耗した所を突かれた」と焦るが、マルスは彼に危害を加えるはなかった。その理由としてマルスは「直前までポーラと戦っており、散々な目に遭わされてへとへと」と語ったが、マルスもまた(ユスティーツの後継者である)グラウと戦闘になることを恐れていた様である。


・アドラス (Adras)

年齢:マルスと同い年

異能力:不明

 アトランティスにおいて、マルスと親しげに話していた男性の友人。一人称は私。

 薄い金髪のオールバックに、口髭を生やしている。瞳はサファイアブルー。顔には無数の傷跡が刻まれている。

 マルスに「軽妙洒脱な英国紳士」と評されるような高潔な人物であり、世界防衛軍WGの多くの兵士から慕われている。そして彼こそイベリス内戦を終結に導いた英雄の片割れであると、マルスは独白している。

 マルスからグラウの情報を聞き、彼がもう一人の英雄ユスティーツの後継者であると確信する。そして次の争奪戦において、彼がユスティーツの後継人に相応しいかどうか確かめると決意した。



〇テラ・ノヴァ

創設者:グレイズ セプラー

組織目標:異能力者と非異能力者の同権を目指す

 異能力者の地位向上を目指す、異能力者が主体の団体。常時は指導者であるグレイズ自らが各国政府に異能力者の待遇改善を要求したり、報道機関を通じて世界の人々に異能力者への理解を訴えかけている。

 「異能力者は人型の兵器である」という言説が存在する世界において、極めて平和的な活動を行っている組織ではあるが、その影には実力部隊も有している。 グレイズの指示により争奪戦に参戦するが、彼が星片に託す願いについては部下の誰にも明かされてはいない。


・ポーラ ワイズ (Paula Wise)

年齢:グラウたちよりは年上(?)

身長:150cmちょっと

異能力:翼を生やす

「グレイズ様はとても素晴らしいお方なの!!アンタみたいなどこの馬の骨ともわからないようなヤツとは違って、グレイズ様は賢く容姿端麗な紳士なのよっッ!!」

 グラウが商店街の先の大通りで対峙した異能力者。一人称はアタシ。

 ブロンドの髪のツインテールをしており、軍帽を被っている。瞳はタンザナイトの水色。華奢ですらっとした体型。テラ・ノヴァの制服である大礼服に似た黒の軍服を着ているが、彼女のそれは他の者たちとは違う意匠で、異能力の都合上背中が大きく露出している。

 異能力は肩甲骨の辺りから純白の翼を生やすというもので、それを羽ばたかせて空を飛ぶことが可能。翼の先端を向け、羽根を撒き散らすという攻撃手段も持ち合わせている。

 ツンツンした性格で、少し暴力的で好戦的。しかしグレイズのことを誰よりも非常に慕っており、彼の前ではまた違った乙女な一面も見せる。

 偵察任務の最中、ゼンがデウス・ウルトの信者を蹂躙している所を目撃する。その後グラウと出くわすことになり、彼に質問に答えて欲しいと頼まれるが、「それならアタシに勝って従わせなさい!」と啖呵を切り戦闘になる。

 空を自在に飛ぶことで彼の弾丸を避け、かつ羽根の奔流により彼に多くの傷を負わせる。しかしビルを背に戦っていた所、頭上の看板を撃ち落とされ、その落下に否応なく巻き込まれて敢えなく彼に敗北する。

 グラウたちと別れた後は、ルノの要請によりテラ・ノヴァの本隊に戻りる。そして仲間たちを襲うマルスに果敢に挑み、なんと彼をへとへとになるまで追い込んだとされる。

 争奪戦から帰還後、その功績からグレイズの秘書に昇進する。しかし同時に、一番大切な親友のルノがテラ・ノヴァを去って行ったと告げられる。自分に何も告げられなかったショックから、彼女は深い悲しみに苛まれることになった。


・アルビオ (Albio)

 ポーラの護衛の非異能力者の男性兵士。


・シセ (Cisse)

 ポーラの護衛の非異能力者の女性兵士。


・グレイズ セプラー (Glaze Sepura)

異能力:不明

 テラ・ノヴァの指導者であり、世界的には“異能力者の代表”として知られている。一人称はボク。

 翠の髪、ガーネットの様な暗赤色の瞳。白のスーツを愛着している。

 温厚で聡明な性格で、眉目秀麗。

 彼は非異能力者たちの中にある“ネガティブな異能力者”像を取り払おうと日々活動を行っている。そして彼の支持者も確実に増えてきているが、グラウは「(グレイズは恵まれた容姿をしているから)彼の支持者の中には、彼をアイドル的に崇拝している者もいるのではないか」と考察している。


・ルノ (Luno)

異能力:不明

 第一次星片争奪戦において、テラ・ノヴァの現地指揮を任されていた女性。グレイズの秘書も務めていた。ポーラ曰く、ネルケに匹敵するぐらいの美貌の持ち主。

 ポーラの一番の親友であったが、彼女に何も告げないままテラ・ノヴァを去って行った。彼女のその後については、グレイズでさえ情報を掴んでいない様である。



〇デウス・ウルト

創設者:教祖

組織目標:異能力者の抹殺

 異能力者を人類の敵とみなし、その抹殺を目論むカルト教。思想はかなり過激で、異能力者を発見しては、拷問やレイプなどで屈辱を与えた上で殺害する。

 争奪戦へは星片の獲得を目的としてではなく、彩奥市に集まった異能力者たちを殺戮するために参戦したとされている。

 「反異能力者」を教義に掲げる宗教ではあるが、信者の中には異能力者が確認されている。中でも大司祭と教祖は、選ばれし異能力者サルワートルと自称してる。


・ノウザ (Knowza)

異能力:見たものを全て石に変える

 デウス・ウルトの三望大司祭アポストルスの一人。第一次星片争奪戦において、デウス・ウルトの信徒たちを束ねていた。

 信者たちとは違う赤い祭服を着ており、薄汚れた包帯を全身に巻いている。目すら隠しており、耳のみが露出している。

 異能力は見たもの全てを石に変えるというもので、それが無機物であろうが有機物であろうが例外なく異能力が通じる。異能力の弊害か盲目であるが、その代わりに聴覚が異常なまでに優れている。

 ゼンが教会に侵入していることに音で気が付き、彼が信徒を数名殺害してきたことを言い当てる。そして彼を“裁き”と称して異能力によって石像に変えてしまう。この事がグラウを激高させ、ついに彼との一騎討ちととなる。

 包帯を巻いた右手で弾丸を受け止め、零距離射撃すらものともしなかったため、グラウをかなり困惑させる。そのような常識外れな芸当が出来たのは、実は自らの身体の一部を石化させていたからである。

 最期は「異能力に例外はない」と嘯いたことが仇となり、グラウにスマートフォンのインカメラを向けられ、スクリーンに反射した自分を意に反して石化してしまう。そして自らも石像となったノウザであったが、なおも激情に駆られていたグラウの拳により破壊されることとなった。


・ゲンマ (Genma)

武器:槍

異能力:ヤマタノオロチを顕現させる

 ノウザを護衛していた男。

 黒髪で角刈り。高身長。ソノミと同じく日本人。

 異能力は自らを贄とすることで、ヤマタノオロチを現界させるというもの。八頭八尾、苔むした表皮などは神話そのものだが、体躯は教会程度のサイズに留まる。

 ゼンの気配を察知し、ネルケとソノミの二人に異能力を使わず張り合うなどかなりの武人。しかしソノミに異能力を使われたことで劣勢に陥り、その状況を打破するために自らも異能力を行使し、ヤマタノオロチを顕現させた。

 その異能力のインパクトから二人を恐怖させるも、ネルケが大半の頭の視線を引きつけている間、ソノミがヘビの弱点である背後に回り込んで頭を各個切断していくという策にまんまと嵌まる。そしてヤマタノオロチの全ての頭を切断され肉体が剥き出しになってしまった所を、ネルケに頸を切られ絶命した。


・嗅覚の異能力者

異能力:特定の臭いを探知する

 商店街の先の大通りにおいて、異能力者狩りをしていた三人の信者の内の一人。異能力により異能力者の臭いを嗅ぎ当て、透明化発動中のゼンの存在に気が付く。そっして戦闘になるも、彼に翻弄されてしまい、最期は後頭部にダガーを振り下ろされ死亡した。


・教祖

異能力:不明

 デウス・ウルトの指導者。名前は不明。

 白髪で、頭に深紅の冠を被っている。漆黒の祭服に身を包んでおり、何故か靴を履いていない。

 元は慈悲深い人物だったとされるが、現在は気が狂った言動や行動をしている。

 ノウザが殺害されたことを非常に嘆き、憤怒からその報告をした信徒の首を締め上げて殺害した。そしてその犯人であるグラウに対し、並々ならぬ憎悪を抱いている様である。



〇テウフェル家

創設者:デルモンド テウフェル

目標:スクリムの戦闘欲を満たす

 ヨーロッパ最大規模のマフィア一家。マフィアという存在には悪いイメージが付きまとうが、彼らはもっぱら民間人には手を出さないことで有名である。

 スクリムの一存で争奪戦に参戦しており、その目標は星片の獲得ではなく、彼の戦闘欲を満たすためであるとされる。


・スクリム テウフェル (Scrim Teuffel)

年齢:18歳

身長:165cmちょっと(?)

異能力:氷を自在に作り出す

「自分より強い奴には最大の敬意を払う。けれど、三下風情に払う敬意は一つもない。テウフェルの名を騙ったこと、お姉さんに手を出したこと――たっぷり反省させてあげるよ!」

 デルモンド・テウフェルの息子にして、次期テウフェル家の首領ボス。一人称はオレ。

 くせっ毛君の色素の薄い金髪。ウルフカットをしている。瞳の色はエメラルド。あどけないがハンサムな顔立ち。上下紺色のスーツに、首元には白いスカーフを垂らしている。

 異能力は氷を自在に作り出すというもので、水を飲むことにより発動可能になる。天井から杭を落としたり、自分を守るための壁を作り出したり、拳サイズの弾丸を飛ばしたりなど、異能力の用途は多岐に渡る。

 やんちゃな所があり、「誰かすっごい強い人と戦う」ために護衛二人から逃げだし、地下鉄で偶然グラウを発見する。そして彼に奇襲を仕掛けるも、軽く避けられたことから、彼ならば自分の欲求を満たしてくれると期待した。

 上記の様な多岐に渡る氷撃により、グラウを一方的に追い込んでいたため、「(彼を)大したことはなかった」とこき下ろす。しかし直後非常灯を破壊されたことで視界を失い、彼に背後を取られて敗北する。

 これだけ強い相手になら殺されても良いと思うも、「マフィアに追われたくない」というグラウの思いから見逃されることになる。そのことから彼をリスペクトする様になり、最終決戦の直前に再び彼の前に姿を現す。そして恩返しとして、ミノの異能力により星片の所在を伝え、そして彼らが遊園地に侵入するための陽動も引き受けた。

 争奪戦後、クライという謎の女性を男二人組から救う。彼女に「私に惚れない方が良い」と言われるも、その美しいオッドアイに心惹かれてしまう。


・ミノ (Mino)

異能力:千里眼

 眼鏡の男性。スクリムの護衛の一人。

 スクリムを見逃してもらった恩義から、千里眼の異能力で星片を探知し、グラウたちにその所在を教える。凄腕のスナイパーらしい。


・ビーザ (Visa)

異能力:不明

 ガタイの良い男。スクリムの護衛の一人。

 スクリムを見逃してもらった恩義から、グラウたちが遊園地を侵入するための陽動を引き受けると告げる。



〇毘沙門

創設者:日本政府

目標:星片の獲得

 日本政府が組織した異能力者部隊。

 異能力規制法により、「各国政府が異能力者の部隊を組織する」ことは本来禁じられている。しかしそれを遵守する政府などほぼ存在せず、日本もその例外ではなかった。

 毘沙門の由来は七福神の一柱としても知られる、軍神毘沙門天から。


・御都 流魂 (ミト ルコン)

年齢:25歳

武器:刀

異能力:鬼化(赤鬼)

 ソノミの兄。第一次星片争奪戦において毘沙門の副将を務めていた。ソノミからは“兄様”と慕われている。

 ソノミと同じ髪の色、瞳の色もしている。顔つきも多少似ている所があるらしい。

 異能力はソノミと同じであるが、流魂の甲冑は赤色である。

 父親から御都家の仕事を継ぐことを大いに期待されていたが、成人と共に何処かの組織に所属することになった。それでも屋敷に帰る度に妹であるソノミにプレゼントを贈るなど、とても優しい兄であった。

 しかしとある日の夜、屋敷の使用人たちを次々と殺害し、自らの父親も手に掛けるという奇行に走る。その時の流魂はまるで本物の鬼の様であり、何やら兄に裏の事情があったのではとソノミは推理し、彼女は兄と再会し真実を確かめることを目標に、その後の人生を送っていた。

 そして奇しくも争奪戦において兄妹は再会することになる。二人は数年来の再会を喜ぶも、しかしソノミの問いに流魂は答えることはない。そこでソノミは実力を行使し、兄妹の真剣勝負が始まることとなった。

 当時の二人には圧倒的な実力差があり、ソノミが流魂から一本を取ったことはなかったが、厳しい修行を積んできたソノミがついに兄を打ち破るという結果になった。そして流魂は真実を打ち明けようとするも、そこにピオンという謎の少女が現れる。

 流魂はピオンが何か企んでいることに気が付きソノミを逃がす。その後ピオンと戦闘になるも、首に注射器を打たれて理性を失い暴走してしまう。そして兄のことが心配になり戻ってきたソノミに襲いかかり、彼女を窮地に追い込む。

 そこにグラウが駆けつけ、今度は彼と一騎討ちとなり。箍が外れた鬼化の圧倒的な力でもってグラウを蹂躙していく。しかし妙案を思いついたグラウに甲冑の弱点をつかれ、行動不能に陥る。その後理性を取り戻し、グラウを見込んで妹を託す。そしてソノミに「ピオンたちを深追いしてはならない」言葉を残し、この世を去った。



〇その他

・オルランド アマート (Orlando Amato)

 マフィアアマート家の首領ボス。地中海の都市レスパを手に入れ、イタリア全土に進出しようとしていたその日に、屋敷を襲撃され殺害された。


・ノアム (Noam)

異能力:ナイフを操る

 オルランドに仕える執事の青年。一人称はボク。

 異能力はナイフ空中に浮かせる、自在に操るというもの。

 オルランドが鉄砲玉に過ぎなかった頃、バーの近くのゴミ袋に倒れ込んでいた所を彼に拾われた。オルランドに非常に恩義を感じており、彼のために異能力を使うことを決意している。

 グラウの襲撃からオルランドを逃がし、執務室においてグラウと戦闘になる。彼の放つ弾丸を浮かせたナイフで真っ二つにし、彼の右の太ももにナイフを突き刺すことに成功する。そして彼にトドメを刺そうと近づいた所、頭上にあったシャンデリアを落とされ、その下敷きになり身動きが取れなくなる。自分の終焉を悟った彼は、グラウに介錯を頼み、最期は額を撃たれて絶命した。


・ピオン (Pion)

異能力:不明

 ソノミと流魂の前に姿を現した少女。一人称はボク。

 ピンクの髪。右目は赤色、左目は青色のオッドアイ。西洋の物語に登場する姫様の様な、フリルやレースがふんだんにあしらわれた、白とピンクを基調としたのドレスを着ている。

 流魂と知り合いだったようだが、彼を「絞りカス」と罵り襲いかかる。彼女が流魂に投与した何かにより彼は暴走。毘沙門と同士討ちをさせることを目論んでいたようだが、ソノミが戻ってきたため、彼女と戦わせるように仕向けた。

 グラウとソノミが去って行った後、再び流魂の元に戻る。そして彼の遺体を笑みを浮かべながら、蹴る踏みつけるなどの非道な行為を繰り返した。そこを毘沙門の兵士たちに包囲され戦闘になったが、その結末は不明である。


・狙撃者

 争奪戦終了後、アミューズメントパークの屋上からグラウとソノミを狙撃しようとしていた男。

 フーと言う人物と通話しており、その会話の中でピオンの名も登場した。グラウを“英雄の息子”と呼び、ソノミが流魂の妹であることも知っていた。

 狙撃直前に現れた美女によって、先ずは人差し指を切り落とされ、その後反撃の隙も与えられないまま頸を切られて絶命した。


・美女

異能力:不明

 狙撃者からグラウとソノミを守った人物。

 狙撃者のことをいとも容易く殺害し、その事についての罪悪感は一切感じていない模様。フローラを相手に不可思議な言動をしているが、その真相は不明である。


・フローラ (Flora)

異能力:不明

 狙撃者を殺害した美女を“お嬢様”と呼んだ女性。

 フリルがあしらわれたカチューシャで青い髪を留め、クラシカルなメイド服に身を包んでいる。

 美女が法治国家日本において安易に殺人を行ったことを窘めるも、彼女のその後の発言に同意し、その処理を引き受けた。


・クライ (Cry)

異能力;不明

 スクリムが路地裏で救ったミスティックなオーラの女性。一人称は私。

 淡い紫色の髪をしており、毛先に向かうほどそのグラデーションが強くなっている。前髪で左目を隠しているが、露わになったその瞳の色はレッドスピネルの様な赤、右の瞳は琥珀色でオッドアイ。フードの付いた肩出しの黒のモッズコートを着ているが、下衣は上衣により隠れており不明。長さの違うシースルーの黒のソックスに、膝丈のブーツを履いている。

 男たちの魔の手からスクリムに助けてもらったのにも関わらず、「(スクリムが自分を救ったという認識は)貴方の主観でしょ」と、初めは彼に感謝の言葉を述べなかった。しかしスクリムに不満を言われ、「結果として」と前置きをした上で、彼に感謝をした。

 その後スクリムに「私に惚れない方が良い」、「貴方の異能力は可能性を秘めている」と二つ忠告する。そして彼の「また何処かで、出会えたら良いな」という発言には、ニコッと微笑みを返した。


・ユスティーツ ファルケ (Justiz Falke)

異能力:不明

 イベリス内戦を終結に導いたもう一人の英雄。故人。グラウは彼女をユスと呼んでいる。

 アドラス、マルスの知る人物であり、グラウ同様に異能力に頼らない戦闘スタイルで、武器は二丁拳銃、紺色のモッズコートを着ていたとされる。

 グラウの独白から、彼に戦闘技術を叩き込んだのは彼女であることが明かされている。そしてグラウにとって彼女は、血の繋がっていない母親でもある。


※※※※※

Intermission1『乙女る青鬼は初恋の香り……?』予告

(登場する台詞は本編では変更されることがあります)


 第一次星片争奪戦における大勝利により、一躍その名を世界に轟かせたPeace&Liberty。彼らへの期待は高まり、依頼の件数は日に日に増加していったのだが……現在の実働部隊はグラウとソノミの二人のみ。


「あいつは俺たち二人を忙殺しようとしている。比喩じゃなくて、本気で殺しにかかっている。そう思わないか、ソノミ?」


 二人はブラック企業の社員として、超絶多忙な毎日を送ることを余儀なくされていた。

 これは、そんな不平・不満の積もる二人に訪れたのは――だだ甘(?)で心ときめく(??)様なビッグなサプライズの物語。


 とある日、ラウゼに事務所に招集された二人。

 そしてラウゼは二人に告げる――「とある人物からプレゼントを預かっている」と。


「たまにはこういうのもありだろ?そうだろ――??そうだって言えよっッ!!」


 多少の意思の相違はありながらも……乙女る青鬼ソノミと(彼女に対しては)朴念仁な灰鷹グラウの、二人っきりの遊園地デートが今始まる――!


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