第6話 勝利の美酒にはまだ早い Part1
〈2122年 5月8日 0:59AM〉
―グラウ―
「あぁ…いってぇ………」
公衆便所の個室の中、全身に出来た傷跡に悶え苦しむ二十歳の男――いと哀れなり。
今から約45分前の0時15分。彩奥市一体を包んでいた皮膜はほろりほろりと虚空に溶け去り、そして結界という名の世界から隔絶された
それと同時に聞こえてきたのは
本物の夜空は、皮膜の空に比べるとやはり少し昏く感じた。星々の輝きは、都会の夜の明るさに霞んでいた。月は欠けて三日月。次に満月が見られるのはいつになるだろうか。
「ふぁぁっ………」
やはり……眠いな。いくら神社で睡眠を取ったとはいえ、あくまで固い縁側の上であった。柔らかいお布団が恋しい。床について1秒で眠りにつくのも、今ならそう難しいことではなさそうだ。
俺たち……いや、俺はまだマシだが、ネルケとソノミは何処からどう見ても一般人とは思えないような格好をしている。そう――ボディストッキングの上にライトプレートを装備した美女と忍装束に身を包んだ美少女の二人が、大衆の中に溶け込めるはずがない。
故に俺たちは、一刻も早く着替えをする必要があった。もちろん一般家庭に上がりこんで「着替えさせください」などと頼めるはずもないし、女性二人に野外で服を脱いでもらうわけにもいかない。そういうわけで俺たちは人目を忍んで放浪しながら、なんとか公衆便所へと辿り着いたというわけだ。
「まぁ…そうだよな………」
袖を通している分には特に気にならなかったが、一度脱いでその全貌を改めて確認すると……なかなか酷いことになっているな、俺のコート。
正体不明の血痕のスプラッシュ模様、至る所のほつれ。ソノミの出血の固定のために引き裂いた後ろ身頃は、もはやダメージファッションという次元を超越している。
かれこれ3年は着続けているから、元々ボロくはなっていたが……もうそろそろ新調するべきなのかもしれない。でも、これはユスの形見だし……洋服直しの店に持って行けば、なんとかならないものだろうか。
「よいしょっと」
次にシャツのボタンを外し、その下に付けていたチョッキを脱ぐ。その名も、ラウゼ特製“衝撃吸収防弾ウェア”。名前のダサさは……置いておこう。氷の弾丸、羽根の猛威、暴風の連撃――それらから俺を守ってくれたのは、これに他ならない。特に吹き飛ばされた時にこれを着ていなければ、俺は確実に逝っていただろうな。
「おっと!」
不意にボディバックから飛び出し、床へコツンと落下したのは――二丁拳銃の
いけない、いけない。日本でこんな物騒なものを所持していたら、現行犯逮捕されてしまう。そうだな……スーツケースの奥深くにしまい込んでおくことにしようか。
『――いいじゃない!わたしたち、女の子同士、仲間同士なのよ!!裸の付き合いも必要よ!!』
『着替えるだけだ、この変態女っ!!』
一つ壁越しの女子トイレから聞こえてきた声は――ネルケとソノミで間違いない。会話の断片しか聞こえてこないが、いったい何をやっているんだ?
裸の付き合い……ネルケと、ソノミの――一糸まとわぬ二人の姿。出るところは出て、引っ込むところは引っ込む。完璧なスタイルをした傾国のネルケ。華奢ではあるが、将来の大和撫子を予感させる美少女ソノミ……って、何を考えているんだ、俺は!
「ふうっ、はあっ、ふうっ……」
深呼吸をして乱れた気持ちを落ち着ける。
どうも今日の俺は、ネルケに感化されてしまっているらしい。普段は邪な妄想など一切思い浮かべないようにしているのだが……たぶんキスをされたことやら覆い被さられたことやらで、俺の鋼鉄の理性に欠損が生じてしまったようだ。
それにしても……二人が何をしているかわからないが、ここ、公衆便所だぞ?真夜中とは言え、一般人が来る可能性もあるというのに。
「はぁっ………」
溜息が天井を伝って霧散していく。
一人は寂しいよ、ゼン。お前がいてくれたら、この虚しさも少し紛れたと言うのに。
「なんて情けないことは言えないよな。さて――」
早く着替えてしまおう。先ずは白シャツを着て……っと。次にモスグリーンのMA-1を羽織る。これで着替えは終了だ。
普段着替えなんて1分もあれば済んでしまうというのに、随分と時間がかかってしまった。全身の傷が痛むから、仕方なかったと言えばそうなのだが。
軽く手当はしておいたが、一度病院に行った方が良さそうかな。時間のある今の内にネットで予約を――と、スマートフォンはないんだったな。まずそれを購入しに行くのが最優先の課題であるか。
「よし――!」
いつまでも個室を占拠し続けるのも迷惑だしな。外にベンチもあったし、あそこに座ってネルケとソノミを待つことにするか。
*
〈2122年 5月8日 1:02AM〉
―ソノミ―
「おい、お前……どうして私の個室の前に突っ立っている?」
個室のドアを閉めようとした瞬間――
「うん?別に本当にお花を摘みに来た訳でもないし、一緒で構わないじゃない?」
じと~っとネルケを睨む。まるで何を言っているのか、私には理解出来ない。
彼女の話を聞くだけ無駄だったようだ。さっさとドアを閉めてしまお――――ぐっ!?
「お前、その手を離せっ!!閉まらないだろうがっッ!!」
あと少しでドアは閉まっていた。それなのに――ネルケが外側のドアノブを掴み、ドアをこじ開けて個室の中へ侵入しようとしてくる!
「無理な相談ね!わたしは絶対に中に入るわっ!!」
「あんっ?!どうしてただでさえ狭い個室に、二人一緒に入らなきゃならないんだよっ!!?」
扉をなんとしても閉めようとする私と、扉をなんとしても開き侵入を試みるネルケ。世界一くだらない熾烈な攻防が――今、始まった。
手加減は一切出来ない。何故ならこの女――見かけによらず怪力の持ち主であるから。
「いいじゃない!わたしたち、女の子同士、仲間同士なのよ!!裸の付き合いも必要よ!!」
「着替えるだけだ、この変態女っ!!仲間同士と言うのなら……“親しき仲にも礼儀あり”って言葉を知っているか?」
「あら、親しいと認めてくれるのね。うれしいわっ!!」
くうっ……私はお前と張り合うだけでやっとだと言うのに、どうしてお前はそんな晴れやかな表情をしていられる!?
「ソノミ、抵抗しても無駄よ。わたし、自分で言うのもどうかと思うけれど……かなり頑固よ?」
「奇遇だな。私も強情なんだよ」
「それじゃあおあいこね。けれど――わたしはどんな戦いにだって負けないわ!それがわたしの流儀だからっ!!」
戦況はなんとか拮抗。ネルケに隙を与えてはいな――っ!!ドアの蝶番がギシギシ音を立てている!?まずい、このままではドアを破壊して――
「隙ありよっ!」
「しまっ――!」
器物破損罪の恐怖から、私が思わず力を抜いてしまった隙を突き――ネルケの私の個室への侵入は、見事果たされてしまった。
「……ずるいぞ。今のは反則だろ」
「うふふ、何を言っているのかしら、ソノミ?なんでも利用しなくちゃね!」
「グラウみたいなことを言いやがって……」
したり顔のネルケ。その紫の瞳に映る私は、何故か今日一番に疲れ切った顔をしている。
「言っておくが、これは負けじゃないからな。覚えておけよ、ネルケ!次は絶対私が勝つ!!」
「発言が自家撞着しているような気がするけれど――良いわよ!わたしに敗北なんて有り得ないから!!」
薄い仕切りによって形作られた、縦110cmちょっと、横80cm程の空間。そこに便器が一つと女が二人。私もネルケも痩せている方ではあるが、少し身動きを取るだけで身体が当たるぐらいには窮屈この上ない。
「ソノミ、ちょっと良いかしら?」
「あん?」
血まみれの上衣を脱ごうとして間もなく、ネルケが背中を私の方へと向けてきた。
「何だ?」
「このライトプレート、一人では脱げないの。だから、手伝ってくれる?」
なるほど、そういうことか。それならば仕方あるまい。
チャックは……あった、これだな。ここを下げていけば……うぅむ。別にイヤらしいことなどしていないはずなのだが……なんだ、この気分は?
やけに顔が熱くなる。まるで私たち、女性同士の目合を始める準備をしているような――って、何を馬鹿なことを考えているんだ、私は!
落ち着け、私!私は頼まれてネルケを脱がせてやっているんだ。これは普通の行為。仲間同士の健全な行為っ……!!
「なんだか鼻息が荒い気がするけれど……大丈夫?」
「あっ、ああ、問題ない!今すぐ脱がしてやるからなっ!!」
チャックを一番下までさげて――ネルケの身体からライトプレートが外れた。
「ありがと~っ、ソノミ!ついでに……ボディストッキングも手伝ってくれると助かるなぁ!!」
「どうせ最初からそのつもりだったんだろ?でも、乗りかかった船だ。最後まで付き合ってやるよ」
ネルケの全身を覆うストッキング生地。そこから覗かせる彼女の柔肌はなんとも艶めかしくて。もしも先程のハイレグプレートを装備していなければ……ただの痴女でしかないな。
私にはこんな格好、とてもじゃないが真似出来ない。いや、……ネルケぐらいだろうな、似合うのは。彼女の芸術のようなプロポーションだからこそ、こんな際どい被服が似合うのだろう……ん?
「お前、背中を擦りむいているぞ。ちょっと待ってろ」
「ふえっ?」
ストッキング越しには見えなかったが、彼女の白の素肌に赤い擦り傷が見えた。それほど大きな傷ではないが、手当はしといてやろう。
確か消毒液がポーチの中に……あった。
「少し染みるかも知れないが、我慢しろよ」
コットンを浸して、彼女の肌へ――
「ひゃんっっ!?いったぁ~~~~いっっ!!」
触れたと同時に、彼女の絶叫がこのトイレに木霊した。
これほどのボリューム……男子トイレにも響き渡っていそうだな。場所が場所だし……変な誤解が生まれていなければ良いが。
「我慢しろと言っただろ……うん、これで終わりだ」
「ありがとう、ソノミ!」
ボディストッキングを脱ぎ終えたネルケは――上下紫色をしたブラジャーとTバックのランジェリー姿。
うう……強烈過ぎる。同性同士だからその姿を見ていても問題ないのだが、直視など出来るはずがない。
だって……自分が惨めになってくるんだ、彼女を見ていると。
「どうしたの、ソノミ?」
「なんでもない。世の中の不平等を嘆いていただけだ」
「いつからそんな信心深い性格になったの?」
「……黙れよ、ホルスタイン」
「え、今ダイナマイトボディって――」
「くぅっ――Shut up!!」
お前にはわからないだろうな。中学生の頃からほぼ成長していない、哀れな女の気持ちが!!
「ごめん、ごめんソノミ!でも、慎ましやかなのも需要はあるわよ?」
「何処まで私の心を抉り取れば気が済むんだ、お前はっ!!はあっ……」
私は溜息を吐いて俯いた。需要がある……そんなことは関係ないんだ。私にとって大事なのは――
「なんだよ?」
不意に、ネルケが下から私のことを覗き込んできた。
「お返しに、今度はわたしがソノミを脱がしてあげるね!」
「別に、私は一人で……」
「いいから、いいから。ほら、早く腕を上げて!」
言われるがままに腕を上げると、彼女によって上衣が剥ぎ取られてしまった。続けてスカート、そしてソックスまでも脱がされてしまい――私も、彼女と同じほぼ裸になってしまった。
「うぅ…………」
お前の前で脱ぎたくはなかったんだ。だって私は――未だにスポーツブラだから。もうこれ以上、劣等感を感じたくはないというのに――
「うん!きめ細かくてすべすべの肌!!」
「おいっ!」
悲嘆に暮れる私を尻目に、ネルケが私の肌をつついてきた。
「良いお肌をしているわ。ちゃんと手入れが行き届いている」
「お前だってそうだろう?そんな艶やかな肌をして」
「わたしはエステとかよく行っているからね。ソノミのは天然ものでしょ?」
「………まぁ、そうだな」
私がエステやサロンなんてものとは無縁なこと、ネルケには見透かされていたか。
「ちょうど24時間近く前にも言ったでしょ?わたしだって、ソノミに嫉妬しているのよ。こんな綺麗な濡れ羽色の髪して、それにキリッとした顔立ちは素敵だわ」
「っ!なんだよ……」
そんなことを言われると面映ゆい。気恥ずかしくなるじゃないか。
「そういうわけで――え~~~いっ!!」
「おい、ネルケ?!」
後ろから抱きつかれ、そして手首まで掴まれてしまい――身動きがとれない!
ネルケのたわわな果実が私の背中にむにりと密着して……今は劣等感よりも、その柔らかさに蕩けてしまいそうだ……。
「ソノミ……」
「ネルケ……」
私のお腹の辺りで抱きしめられ、ふと振り向くと――息がかかりそうな距離に彼女の顔があった。少しでも近づけば、彼女の桃色の唇に触れてしまいそうで――
「ソノミ。わたしたち、もう少しでお別れね」
「……そうだな」
私は……そのことを忘れようとしていたのかもしれない。そう――ネルケは、私たちP&Lの正式なメンバーではない。この第一次争奪戦の間のみ、ラウゼが雇った異能力者だ。
本来なら既に契約は満了している。だから今は……アディショナルタイムのようなものだ。後、少しすれば、私たちの関係は……。
生きている限り、私たちがまた何処かで出会うこともあるかもしれない。けれどその時、今度は敵同士だという可能性もありえる。私たちは……互いにそういう世界の住人なのだ。
「ソノミ、
「
ネルケはそのIDを訊ねていることはわかっている。けれど、私は――
「やっていない」
「え……嘘?」
今回ばかりは驚かれても仕方がないか。やっていない人間の方が希少なのだから。
「まぁ、昔はやっていたのだが……この道に進むと決めた時、データを全部削除したんだ」
私にも連絡のやり取りをするような友達はいた。だが……裏社会に進むのであれば、そのような縁は全て絶つ必要があった。
人殺しの友人など、受け容れられるはずがないのだから。
「それなら――また一からやり直しましょう!」
「えっ?」
お前、何を――!
「わたしがソノミの、
ネルケのにかっとした笑みに、思わず嬉しくなるが――私は直ぐに思い出した。
私は……彼女たちを裏切ったのだ。だから……私は、そんな施しを受けるに値しない人間であるということを。
「ネルケ……どうしてお前は、そんな私に優しくする?私は、お前らに睡眠薬を盛ったんだぞ?」
私の震える声に――ネルケは首を横に振ってくれた。
「そんなこと気にしてないわよ。だってソノミとわたしはもう――親友。そうでしょ?」
「ネルケ………!」
ああ、もう……ネルケと一緒にいると調子が狂う。でも――悪い気分ではない。
親友か……思い返せばそんな存在、私にはいなかったな。確かに小中高と友人はいたが、彼女たちは連絡を絶っても心が苦しくはならないような、薄い関係性であった。
でも、ネルケは違う。私は……彼女と疎遠になんてなりたくない。ずっとこうして親しくしていたい。私にとって彼女もまた――失いたくない家族の一人なんだ。
ふっ、二度と友を得ることは出来ないと思っていたが、まさか親友が出来てしまうとはな。私は、なんて果報者なんだ。
「けれどソノミ、忘れてないわよね?」
「うん、何をだ?」
「私たちは親友だけど――
「……ライバル?」
「白を切るなんてさせないわ――
そういえば、そんな事をお前は言っていたな。というか、そもそも敵同士だとかほざいたのは私の方か。
「ふっ、良いだろう――
ネルケと視線が合い――バチバチと火花が散り始めた。でも、直ぐに笑い合って。
お前とは、出来ることなら別れたくない。こうしてずっと一緒にいたい。お前もP&Lに来ればいいなって、そんなことを思ってしまう。
とても幸せだ。グラウと一緒にいる時と同じくらい、お前と一緒にいるのも楽しいんだ。
「さて、それなら早速
「服を着る前に抱きついてきたのは、どこのどいつだ?」
「ええと……ごめんなさい………」
ネルケはぺこりと謝ってきた。
外の気温は5月とはいえ、真夜中であるから肌寒い。こうしてネルケと密着していたから、今はそこまで寒くはないが、さっさと服を着てしまおうか。
「よいしょっと……ふう」
脱ぐのには時間がかかったが、着るのには時間がそれほどかからなかった。どうやらネルケも着替えが終わった様子――うっ!
「着替え完了ね!って、ソノミ、どうしたの?」
「いっ、いや……なんでもない……」
「うん?」
ネルケが着替えたのは――ゆったりとした白いニットにデニムのショートパンツと、おしゃれ感あふれるコーデ。
対して私は――黒いジャージ。
なんだ、私。これじゃあ小学生にも笑われるようなファッションじゃないか!?
でも、仕方ないだろ。私とグラウは、これから飛行機の長旅が待ち受けている。だから私はおしゃれなんてそっちのけで、快適でいられることを最優先にしたのだ。まさかそれが、こうも徒になるとはな……。
「それじゃあ行きましょうか、ソノミ!」
「……ああ」
個室を後にし、トイレから外へ出て行く。そして直ぐ近くのベンチで待っていたのは――不満げな顔をしたグラウであった。
「お待たせ、グラウ!」
「……本当にどれだけ待たせる!まぁ、女性にはいろいろあるのか」
一人で勝手に納得し、それからグラウはネルケへと視線を向け……彼女を見て少し顔を赤らめたの、普通にバレバレだからな。
「あんたは何を着ても似合うな、ネルケ」
「お褒めに預かり光栄よ、グラウ!」
そして彼の視線は私へと移動した。くそ……服を着ているというのに、まるで全裸を見られているように恥ずかしい……。いっそのこと裸の方が――って、それはないか。
「ふむ……」
なんだその嘆息!あからさまに私とネルケへで反応を変えやがって!!
「お前の考えはわかっている――絶望的にファッションセンスがない。そう言いたいんだろっ!!」
「いや、まぁ……女性のファッションに口出しなんて出来ないからな。良いんじゃないか?」
こいつ……火に油を注いでいるのがわかっているのか?
「よし、それじゃあ――行くか、打ち上げに」
「ええっ!!」
私の追求を牽制するようにグラウが切り出し、そしてネルケは戦いの疲れなど一切感じさせないようにはしゃいでみせた。
本来なら喜悦の声を上げるべき空間に、私はぽつねんと心に誓う――いつか、必ずグラウを見返してやると。
※※※※※
小話 用語解説
グラウ:今回はENILについての解説だな。とはいえ……一言で解説を終えても良いかもしれない
ソノミ:一言?
グラウ:ああ――反対から読め。これで終わりだ
ネルケ:ちょっと待ってよ、グラウ!リーダーたるあなたが「終わり」って言ったら、本当に今回の小話が終わっちゃうわよ!
グラウ:今のは冗談だ。これからちゃんと解説をしていく。それでは――ENILは21世紀後半に誕生した
ソノミ:うぐっ!?(私、今の今までやっていなかったというのに……)
グラウ:どうした、ソノミ?
ソノミ:いや、何でもない。続けてくれ……
グラウ:そうか(何だ、今の反応は?)……ENILの最大の特徴と言えば、会話は自分と相手のみしか見れないという点だろうな。そのように情報の機密性が高いからこそ、俺たちの様な裏社会の人間も安心して利用できる。
ネルケ:ねぇ、グラウ。確か、エニール・ギャラソンって人が開発したから、ENILって言うのよね?
グラウ:ああ、その通りだ。エニール氏自身はもう亡くなられているが、後世まで名が語り継がれているのだから、氏も満足だろうな
ソノミ:今後ENILが話に絡むことはあるのか?
グラウ:メタいことを聞くな……答えはあるだ。それはもしかしたら――結構近い内にかもな
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