第5話 皐月の夜は更け、月光は満ち…… Part8
〈2122年 5月7日 11:25PM 第一次星片争奪戦終了まで残り50分〉
―グラウ―
互いに身構え――沈黙が俺とレスペドを包み込んだ。
すうっ…はぁっ……。互いの呼吸音が静寂に鮮明に響き渡る。
これが第一次争奪戦の最後の戦い。しかし何も気負うつもりはない。どうせ俺の出来ることなんて、高が知れているのだから。
「あんたには悪いが――これで終わりだッ!!」
交差させた腕を振りほどき、二丁が上下に重なった瞬間――
それは戦いの始まりを告げるゴング。しかし――それが同時に、終わりを告げるゴングとなっても文句は言えないないだろう?殺し合いにルールなどない。やり方に清濁なんてものは存在しないのだ。
レスペドが
それを未然に防ぐには――その前に倒してしまえば良いだけのこと。
「ふっ――甘いですよッ!!」
ひゅう。程良く冷たい風が頬を撫でた。
風が吹いていることなんて、普段はあまり意識することはない。それはいたって普通の自然現象なのであり、とりとめもない些細なことであるのだから。
しかし、結界の中では違う。ここは空気が重い――風があまり吹かないのだ。現にグラウンドに来てからというものの、微風は感じたが、ここまではっきりとした風は一度たりとも吹いてはいなかった。
この風はどこか鋭く尖っているようだ。自然発生のものとは思えないような、かといって機械によって作られたものとも思えないような――やけに不安を煽り立ててくる気味の悪い風。
「あぁ……そういうことか」
双眸が捉えた1秒間の出来事に、俺は全てを理解した。
弾丸は選考と共に、人の動体視力では追いつけない速さで駆け抜けた。そしてレスペドへ1mと肉薄した瞬間――弾丸は俺を裏切るが如く押し戻され、芝生へと落下した。
風は唐突であった。そして同時に、それはレスペドの身を守るように発生した。そんな奇跡的な風が、起こるわけがないよな。だから、この風の正体は――
「あんたが風を巻き起こした……あんたは、風の異能力者で間違いないな?」
俺の問いに、レスペドはゆっくりと頷いた。
「ええ、そうです。それで……君の異能力は何かな?」
「うん?もう使っているさ」
「既に、ですか。もしかして……僕はもう、君の術中に嵌められていたりするのでしょうかね?」
レスペドはありもしない疑念に、訝しげな視線を送ってくるが……どうやら未だに俺の異能力を弱いということを信じてはもらえていないようだな。俺の異能力は銃を撃てるというだけであるというのに。
でも、要らぬ心配をしてくれているというのなら――その警戒心、利用出来そうだな。正面から撃っても風で跳ね返されるというのなら、こういう姑息な手を使えば、あんたはどういなしてくる?
「ふっ……あんたに、一回限りのとっておきの策をみせてやるよ」
「それは、期待させてもらいますよ」
左手をボディバックへと回す……あった。これが、今日持ち込んだ最後の一本だ。本当は、戦いの終わりを祝して気持ちよく飲みたかったのだが……手段を惜しんで負けては元も子もない。
レスペドという男は、戦い慣れていることはその指揮官という地位やその雰囲気から窺い知れている。そんな猛者に一撃を決めるのは困難極まりない。しかし――隙というのは、案外簡単に作れてしまうものだ。
「たっぷり味わえよ――レスペドっッ!!」
右手に持ち替え大きく振りかぶり、
そして――俺は駆け出す。
「これは……グレネードか!?まずい!!」
そうだ。戦場で何かが投擲されたら、真っ先に手榴弾を疑うよな。
「っ!?しまった……なんだこの液体は!?何か、毒薬か――?!」
だからあんたは上に飛ばされた物の正体確認するよりも先に、一刻も早くそれに対処しなければならない。そう、そうやって風で上に吹き飛ばして落下を防ぐとかな。
でも、悪いな。グレネードなら風で浮遊させておけば、勝手に爆発して難を逃れることが出来るかもしれないが――それがアルミの容器ともなれば、風の摩擦で亀裂が入り中の液体が漏れ出すぜ。
「安心しろよ、ただの
「くっ!?」
食べ物を粗末にしてはいけないことは常識。しかし飲み物はどうだ?ビールかけ、シャンパンタワーなんてものはあるが……本当は飲み物だって粗末にしてはならないだろう。
今より百年前の世界には大きく分けて二つの人種がいた。水を浴びるように消費する人たちと、何キロも歩いてようやく水を手に入れるような人たちだ。富裕国の人間は水は蛇口を捻れば出るものだと思い込んでいたようだが、貧しい国においては水は石油と同じ様に資源であってそれを巡って紛争さえも起きていた。
22世紀においては高度な水の再利用システムが整備されたから、水問題なんて言葉は死語になった。とはいえ……
しかしやるだけの価値はあったようだ。レスペドは酸っぱくて甘いだけの液体を毒物だと思い込み、そのことに意識が完全に集中。そしてこうしてがら空きの懐に潜り込めたのだから、十分にギブミエナジーは活躍してくれた。
遠距離で効かないのは初撃でわかった。それならば、今度は防御の手段を与えないような距離――超至近距離まで詰めてしまえば片もつくだろう。
ノウザの心臓へと
「――ふざけるなッッ!!」
「ん……?なっ!?」
その憤怒は――風神の怒りを体現した。
風の輪。それは全てを飲み込む凶暴な渦となり、レスペドの姿が透明に歪んでいく。
「っ!?」
レスペドに触れていたはずの腕が、旋風に飲み込まれ食いちぎられそうになるが――ふう、なんとか引き戻すことが出来た。
こうしてはいられない。今すぐ距離を取らなければ――!
「もう遅いですよ――吹き飛べっ!!」
「しまっ――!?」
踏み込んでいた足を引き戻し、バックステップをして――ん?地面に足が着いていない!?
ああ、そうか……ようやく気が付いた。レスペドが発生させた猛威は、自身を守るためのものだけではなかったこと――俺の背後に風の柱が出現していたことに。
「くそっっ!!」
時計回りの風に揉まれながら、身体が上昇気流に曝されていく。そして頂上へと至った瞬間、俺はスピードを維持したまま吹き飛ばされ――
「ぐはぁッッ!!」
まるでサッカーボールのように――ゴールポストへとダイブさせられた。
真っ先に地面へと叩きつけられた背中を中心として、衝撃が全身へと波紋のように広がっていく。痛い……なんて言葉では済まない、激痛。身体全体が悲鳴を上げて、痺れによって身動きが取れない。
それにしても……今日はよく吹き飛ばされる――散々だ。俺は
「ううっ、はぁっ………」
俺の心の弱さが訴えかけてくる――この痛みに屈してしまえば、もうそれ以上の苦痛を味わうことはないと。確かにそうだ。一度意識を失えば、あとはレスペドの思うがまま――そんな弱さをねじ伏せ、手を芝生について立ち上がる。
「地面に強打されても生きているなんて、君はタフですね」
「そうだな……身体は結構頑丈なんでね」
荒れ狂う風の中心。レスペドは俺ではなく、何処か遠い所を見て何か考えているように見える。
「君は、本当に正直だったのですね。君はその拳銃を一度も
「よく見ているな。ああ、その通りだ。言っただろ、あんたの異能力の方が強いと。俺の異能力は、あんたの風の足下にも及ばないさ」
レスペドが眉をひそめた様に見えた。
「なんだよ?不愉快なことでもあったのか?」
声なんて、風でもみ消されて微かにしか届かない中――レスペドの溜息がハッキリと聞こえてきた。
「失望しましたよ、グラウ君」
「あ?」
「だから、君には落胆したと言っているのですよ。これでも僕は戦いは好きなんだよ。けれど僕は指揮官という立場だから、前線に立つことが出来ず今日という日が終わろうとしていた。そこに君が現れて、僕の退屈を吹き飛ばしてくれると思っていたのですが……君はどうやら、勇敢な戦士などではなく、ただの分をわきまえない愚か者に過ぎなかったようだ。よくその程度の異能力でここまで生き残ってきた……偶然の重なりなのですかね?」
「……俺にあんたを楽しませる義理なんてないんだよ。あんたは俺に勝手に期待を押しつけて、勝手に裏切られただけだろうが」
戦いの中で昂ぶりを感じることは、何もおかしいことではない。
そもそも人間が狩猟をしていたのは、飢えを満たすためが理由ではない。狩猟には、人間に内在する闘争本能を発散するという意味合いもあった。
時が経ち、現代においては仕事に勤しむということにその本能を昇華させた。だが、その仕事が狩猟に近しいものであるならば……剥き出しの闘争本能が昂ぶりを生み出すことになるのだろう。
しかし俺は彼にとって手応えのあるような獲物にはなりえなかったというわけだろう。獅子との決闘を臨んでいたら、転がり込んできたのはただの野良猫。実力が拮抗した相手、格上の相手と戦うときは燃えるが……雑魚を蹂躙しても何も満たされない、レスペドはそう言いたいのであろう。
「しかし、あんたは強いな。それだけの実力があるからこそ、天下の
「心のこもってないお世辞など、皮肉に等しいですよ」
当然、誰が敬意を払うか――この世界を腐らせている、その根源たる組織に与する異能力者になんかさ。
「さて……小手調べは終わりです。頑丈というのなら、これはどうです?」
「おいおい……嘘だろ?」
レスペドが脅してきた矢先――先程俺を襲った風の柱とは比べものにならない程の巨大な風の災禍。
渦巻き状に立ち上がり、それは全てを飲み込んでいく。グラウンドの大地は脆く抉り取られ、芝生や土も巻き上げられていく。
それはまさに、
「まさか……これ程強力なものを生み出せるとはな」
「ええ。僕は君と格が違う異能力者なのでね」
レスペドが腕がボールを投げるような動作をしたと同時に、塵旋風が進軍を開始した。
銃弾が飲み込まれてしまうような風速だ。少しでも近づかれれば、人間なんて否応なしに飲み込まれる。それならば――一定の距離をとり続ける他ないだろう。
「……舐めるなよ」
「そうですか……避けますか」
塵旋風が接近した瞬間――右側の方向へと駆け出した。
それから第二の塵旋風にも追いつかれないように、足を止めることなく走り続ける。接近させ凌げばそれほど脅威ではない。サッカーコートは逃げ回れるぐらいの広さがある。
もしもこれが、本当に自然発生した塵旋風であるというのなら――俺はこうも上手いこと回避など出来てはいなかったであろう。本物は予測不能な軌道を描き、何処へ逃げても安全地帯などありはしない。
しかし、これはレスペドが異能力により生みだしたものだ。その進路を特定することは簡単――
「……どうして避けきれるのです?」
「言ったら――喰らってくれるのかッ!?」
駆けながら振り上げた腕をスウィングさせ、レスペドへと
「無駄なあがきを」
結果は明々白々。レスペドを中心とした暴風が銃弾を無力化した。
「僕の周りを吹く風は一際強力ですよ。君を襲う風をつむじ風と表現するなら、これは竜巻……いいえ、台風。それほどの風速はあるでしょう」
台風、か。それはまた随分と荒れ狂う猛威を吹かせている……うむ、台風ね。
台風が人類にとって脅威であることは、人類史上変わりのないことだ。強風、暴風を伴い強い雨をもたらすそれは、甚大な気象災害をもたらす。
人は立っているのがやっと。家にこもっていても屋根が吹き飛ばされ、あるいは家ごと持って行かれることすらあり得る。
しかし、近年は台風が上陸する前に消滅させてしまおうという研究がなされていると聞いたことがある。それは確か、台風の――ああ、そうだ。
それなら、一か八かに賭けてみるのも悪くないか。
「そろそろ終わりにしようか、グラウ君。二本でダメなら――これでどうかな?」
レスペドが巻き起こしたのは先程の10倍――20本。この無数の塵旋風に飲み込まれないように逃げ続けるなど、至難の業……いや、不可能と言っても良さそうだ。
「ふふっ……ここまで来ると笑えてくるぜ」
「それが、君の最後の笑いになるよ」
塵旋風の大群は瞬く間に押し寄せ、俺はあっという間に包囲された。俺にはもう、進路も退路もありはしない。
「最弱の異能力者よ。ここまで来るのに、君は全ての運を使い果たしたようだ。可愛そうに、最後に僕と戦うことになるなんてね」
「ああ、俺は全くと言って良いほど運がない男だ。俺の思い通りにいったことなんて、一度もない。俺の異能力がもっと強力なものなら……もう少しあんたと、異能力者らしい戦いをすることが出来たのかな」
最弱と言われたことには何も傷つかない。そのような尊厳、俺は初めから持ち合わせていないのだから。
あんたからすれば、俺は非異能力者と何も変らないのだろ?俺は拳銃を両手に握りしめて、生きるために必死に逃げ回る弱者――でもな、レスペド。弱者には弱者の知恵ってものがあるんだぜ。
ゼンを救ってくれと頼んだけどさ、神様。やはり俺はあんたを恨まずにはいられない。もう少しましな異能力をくれていたら――もっと簡単に勝つことが出来ただろうに。
「では――死ぬが良いよ、グラウ君ッッ!!」
俺を囲んだ塵旋風が一斉に動き始めた。
だから俺はもう逃げたりなんてしない――いっそ自分から飲み込まれようじゃないか。
「くぅっ……流石に、きついか……!」
「自分から飲み込まれに行く……ようやく諦めたのですか?」
身体が風の牢獄に収監される。身体は安定感を失うが……それでも、不意に飲み込まれるよりかは、多分ずっと身体の自由が利いているはずだろう。
轟音が鼓膜を突き破らんとがなり立てる。瞼が切り刻まれ、瞳の内側をぬめっとした鮮血が侵入する。被服はボロボロ、身体の至る所に裂傷が刻印されていく。
さながら俺はシュレッダーの中の古紙だ。木っ端微塵になるまで細断され処分される。
それでは俺は血と肉と骨に分解されたか――いや、俺の心臓はまだ鼓動している。俺は、生きている。
俺はなんでも利用してやるさ。それこそが弱者が勝者に勝つための知恵なんだよ。だからさ、レスペド――こうして飲み込まれたのは、全てはこの一撃に賭けるためなんだよ!
「ここでいいか……ふう…当たれよっっッッッ!!」
「はっ――――?」
塵旋風が俺を天辺まで持ち上げて――俺は血で濡れた双眸を見開いた。そして左手で右手を固定し、照準を合わせ……
しかし、どうせレスペドへ到達する前に彼を守護する風の輪により防がれる――?否。弾丸は確かに――レスペドの額へと深紅の風穴を作り上げた。
何故なら――弾丸の進路に、それを遮る風は一切吹いていなかったからだ。
「うおっ!?」
異能力者の死亡とともに異能力は消える。
風の暴威はレスペドの死亡とともに忽然と収まり、俺はビルの3階ほどの高さから地面へと叩きつけ――られず、なんとか足から着地することが出来た。
「ふうっ……」
背中、頭から落ちれば確実に俺は逝く。だから、犠牲にするなら足しかないかと半分諦めていたが……整備された芝生が俺を助けてくれた。じんじんするが、歩くことが出来る。
ただ……当分このグラウンドでサッカーの試合が行われることはないだろうな。
「あんたが、『自分を守るのは台風だ』とほざいてくれたのが助けになったよ。台風には弱点のようなものが存在する――いわゆる台風の目だ。その中心に入ると、たちまち風が弱まって天気が良くなるんだよ。だから、俺はそれに賭けた――あんたという存在が、台風の目であることにな」
水平方向から目を狙うことは不可能。だから垂直方向へと上昇する必要があったが……あんたの塵旋風は大いに役立ってくれたよ。無事に俺を、あんたを真上から見下ろせる所まで運んでくれたのだから。
しかし、身体全体が血を流しているのに痛みはそれほど感じないな……
レスペドの遺体へと近づく。散々人に悪罵しておいて、呆気ない死に様だな……と、仏の俺も、流石にあんたの暴言にイラついていたようだ。
それじゃあ、あんたには悪いが漁らせてもらうぜ。左右のポケットにはない。それなら何処に……うむ、ソノミに死体漁りがどうだと言われたが、これでは言い逃れ出来そうにないな。
「……あった。これだな!」
胸ポケットに入っていた小さな不透明な容器。その蓋を開けてみると――
「これは……不思議だな。手にしているだけで力を感じるなんて」
皮膜の光に翳してみても、光りは一切通らない紫色をした菱形の結晶。
これが三つ集まれば、人間のどのような願いをも一つ叶えてしまうね……空しいな。こんなものを小さなものを巡って何千と人が死んだというのだから。たらればの話に意味などないが……そもそも落ちてこなければ、醜く争う必要などなかったというのにな。
ラウゼの言う通りだ。これは奇跡の欠片などではない。ただの争いの火種だ。早く事務所に持ち帰り、粉々に砕いて――
「――おっと、終わっちゃったか」
「ッ!誰だっ!?」
聞こえてきたのは――渋みのある、低い声の男の声。
星片をコートのポケットに隠し、振り向くと同時にホルスターから二丁を引き抜く。そしてその男へと
黒いシルクハット、そしてベージュのコート……ああ、そうだ。この男は団地の対岸にいた男――紫煙の異能力者だ!!
※※※※※
小話 グラウの自己紹介
ソノミ:なんで私から始まってお前で終わるのか、甚だ疑問だな
ネルケ:グラウは主役なのにねぇ。普通、トップバッターはグラウであるべきよね
グラウ:仕方ないだろ……
ネルケ:それもそうね――それじゃあグラウ、張り切って自己紹介をやっていきましょう!
グラウ:あんたがテンション高くても仕方ないんだが……コホン!俺の名前はグラウ・ファルケ。
ソノミ:こんな事を言って良いかわからないが……お前の親、安直すぎないか?
グラウ:親ね……まぁ、
ネルケ&ソノミ:?
グラウ:歳は20。武器は二丁拳銃。異能力は「二丁拳銃に銃弾を装填し続ける」だな
ネルケ:その二丁拳銃に名前を付けているのよね?
グラウ:名付けたのは俺じゃないが……右のホルスターの漆黒の銃が“
ネルケ&ソノミ:どうせギブミエナジーでしょ(だろ)!
グラウ:当然だ。ギブミエナジーは俺の象徴であるからな(ギブミエナジーの詳細ついては第2話Part8の小話を参照だ)。それで、特技か……
ソノミ:ガンアクションか?
グラウ:俺はそこまで上手くはない。だから、正直特技なんてものはないんだ
ネルケ:それじゃあ趣味は?
グラウ:映画鑑賞……かな?休日は必ず、家に引きこもって映画を見ている。
ソノミ:〇マプラ?
グラウ:なんで急にメタいことを訊ねられているのかわからないが……そうだ。ちなみに、今のおすすめは〇ングスマンだな。あれは見ていて興奮する
ネルケ:ベッドシーンが?
グラウ:アクションがだ!ふう……最後に一言か。そうだな、どうやら俺は“主人公”なんて肩書きを背負わされているようだが、残念ながら俺はそんなに強い奴じゃない。俺なんかより、よっぽどネルケとソノミの方が優秀な異能力者だ。それでも、俺の力が少しでも役に立つというのなら――争奪戦を戦い抜く所存だ
ネルケ:あなたらしいコメントね
ソノミ:お前らしいコメントだな
グラウ:と言うわけで、俺たち三人の自己紹介は終わったが、今後とも主要キャラクターたちの自己紹介を折に触れてやっていくかもしれない。それでは、またな
▽グラウ・ファルケ (Grau Falke)
〇基本情報
年齢:20歳
身長:175cm
武器:二丁拳銃
異能力:二丁拳銃に銃弾を装填する
〇詳細
本作の主人公。一人称は俺。仲間からはグラウと呼ばれている。
瞳はルビーのような深紅の色。鼻は筋が通っていて顎は短い。髪はタバコの吸い殻のような灰色で、クラウドマッシュの無造作ヘアをしている。
上半身は白と黒の牛柄のピシッとしたシャツ。その上に、膝まである紺色のモッズコートを着ている(コートは裾がさけていたり、ソノミの腹部に巻くために引き裂いていたりと、かなりボロボロの状態になっている)。下半身は黒のスキニー、ショートブーツ。背中にはボディバックを背負い、腰にはホルスターベルトを巻いており、二丁拳銃がそこにしまわれている。第4話の最後から、ゼンの形見のドクロのピアスを左耳に付けている。
異能力は「二丁拳銃に銃弾を装填する」というもの。具体的には、マガジンの交換、スライドを引くという過程を省略し、「引き金を絞れば銃弾が発射される」という異能力である。しかし、銃弾は精神と体力の両方を消費して装填されるため、無限に発砲し続けることが出来るというわけではない。
物憂い気な雰囲気を漂わせており、いかなる時も冷静沈着。しかし仲間のことになると熱くなる一面もあり、それは過去の彼の境遇が関係している。
自分の異能力を悲観しており、自己評価がかなり低い。その自分自身の弱さを補うために、奇策を用いた戦闘スタイルを好んでいる。
〇余談(はっちゃけ注意です)
・昨今の俺TUEEEラノベ主人公へのアンチテーゼとしてグラウくんは生まれました。
・なのでヒロイン二人(どころか敵対する異能力者のほとんど)なんかよりずっと異能力が弱いですし、実際第0話の時点でも殺されかけています。
・圧倒的な力で敵をねじ伏せる展開よりも、圧倒的力で敵にねじ伏せられる系主人公ですね。
・とはいえ底力は計り知れなかったり、色々と裏事情があったり……は、今後の展開にご期待ください。
・どうして牛柄のシャツを着ているか……設定を練っているときに、真っ先に目に映ったのがそれだったから、といった理由ですね。
・最近ボディバックを前面にしている人をよく見かけます。それがいつから始まったのか?そしてもう後ろに背負うのは古いのか……気になりますね(まったくグラウくん関係ないやんけ( `・д・)っ))ビシッ!)
・現在のグラウくんの雰囲気を表わす曲は(悩ましいですが)“Linkin Park”の『Crawling』かなぁ……
・何処かでも書きましたが、初めは豆乳好きという設定でした。ですが「日本人じゃなくね……」ということで、ギブミエナジーという炭酸飲料好きになりました。
・作者は炭酸飲料が全く飲めないので、味についてはよくわかりません。グラウくんに聞いてください
・ネルケ、ソノミとたらし込んできたスケコマシのグラウくん。次に彼の毒牙の餌食になるのは誰か……と、今日はやけにノックが激しい。へ?女性二人?あー――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます