第4話 人の心は目に見えず、彼の姿は…… Part3

〈2122年 5月7日 11:23AM 第一次星片争奪戦終了まで残り約13時間〉

―?―


「あぁ、どうしてアタシがこんな気怠いことを……」


 結界の亀裂から差し込んだ青い光が、スポットライトの様に彼女を照らし出す。

 彼女の姿はまるで――闇夜に咲いた一輪の黄色い花マリーゴールド


 妙齢の彼女は、瑞々しい顔立ちをしている。その目は緩やかにつり上がっていて、タンザナイトを埋め込んだかのような水色の瞳。鼻は直線に通っていて、唇は薄く薄桃色。

 一歩、また一歩と彼女が進む度に揺れるのは、二つの髪の房ツインテール。気品を感じさせるブロンド色をしていて、その艶は天然ものであることの証である。

 身長は150cmちょっと。華奢で、すらっとした体型をしている。

 彼女が纏う大礼服に似た黒の軍服は、仲間たちが着用しているものと意匠デザインの違いがあった――彼女の背中は大きく露出ベアバックしていた。それは決して女性としてのセクシーさを演出するためや、男性の視線を一身に浴びたいなどという理由ではない。


 彼女には、そうしておかねばならない特殊な事情があった。


 彼女は軍帽を一度深く被り直し、ビルの隙間へと身を潜める。二人の仲間がもう少しで到着するはず――


『いっ、いい…いいい……異能力者の臭いだぁっ!!』


「!?」


 彼女の小さな肩がビクンと跳ねた。それから意を決し、彼女は声のした方を覗き見る。


「なっ、何よ……アレっ!」


 意図せず彼女のツンとした声が漏れ出した。しかし、それも仕方がないこと――通りに、自分たちの天敵デウス・ウルトがいるのだから。

 彼女はどうするべきかと猛烈な勢いで思考を巡らす――背後から近づいてきている者たちの存在に気が付かない程に。


「あっ、あの……どうされましたか、ポーラ様?」


「ひっ!?」


―ポーラ―


「いっ、いきなり現れてアタシをびびらせるんじゃないわよ、このバカアルビオっ!」


 どしどしと近づいて――アルビオのふさふさ青い髪の生えた頭をめがけ、渾身のげんこつを落とす!


――ゴツンっ!!


「いって!!すっ、すいませんでしたっ!!」


「今度同じようなことしたら、頭蓋骨叩き割るわよっ!わかったかしらっ!?」


「――ポーラ様、お静かに!彼らに私たちの居場所がバレてしまいます」


 後ろからひょこんと顔を覗かせた赤髪の少女は、とても焦った顔をしている。えっと――


「そっ、そうね。シセの言う通りだわ」


 慌てて手で口を塞ぐけれど……もう手遅れかしら?


「フード付の白装束。あれって――」


 痛みがひいたのか、アルビオがのけのけと口を開いた。


「そうね、デウス・ウルトでしょうね。でも、それにしても妙じゃない?」


「ええ、彼らはそもそもが異常な連中ですが、それにしても挙動不審が過ぎますね。なんだか誰かと戦っているように見えるのですが……気のせいでしょうか?」


 そうね。デウス・ウルトの信徒が通りの中心で何か叫びだしたかと思えば、今度は虚空を切り裂くようにナイフを振り回している。あ……一人倒れた。

 錯乱状態から気絶したってわけではないわね。腹部から大量に出血しているもの。


「奴ら気でも触れたんすかね?」


「それは元からでしょ?でもどう見ても不自然よね。まるでヤツら、見えない何かに襲われているような……相手は透明人間かしら?」


 現実は虚構世界フィクションではない。だから“透明人間”などという虚構世界の住民はこの現実世界には存在しない――などという考えは時代遅れ。

 この世界は、虚構と現実との境界が曖昧になってきている。それはもちろん――異能力者が世界に現れてからの話。

 今は空想の力が現実のものとなっているし、想像を超越した事象だって起こり得る。遂にはどんな願いをも叶えてしまうという奇跡の欠片マジックアイテムまで登場しちゃったけれど、果たしてそれは人類にとって良いことなのか悪いことなのか……。


「そうっすね……あっ、二人目がやられましたね」


「ポーラ様、何やら嫌な予感がします。私たちもここから離れたほうが――」


「えっ、どうして?」


 どうしてアタシたちがここから立ち退く必要があるのかしら?


「いや、デウス・ウルトの連中を葬ったのが本当に透明人間だったとしたら、オレたちじゃ太刀打ちしようがないじゃないっすか!」


 アルビオまで……まったく!

 アタシをポーラ・ワイズとの知っての発言かしら?


「安心しなさいよ!二人のことぐらい、このアタシが守ってあげるから!それともなに、アタシじゃ不安だっていうの?まっ、確かにそうよねぇ、アタシはルノに比べたら……でも、グレイズ様のご寵愛を絶対手に入れ見せるんだから!」


 そうよ、ポーラ!アナタは出来る子よ。だってアタシは――!!


「グレイズ様、あぁグレイズ様っ!アタシの身も心も全てグレイズ様のもの。今頃何をなされているのでしょうか?近頃は異能力者たちの地位向上を求める声も大きくなり、グレイズ様はご多忙に。ご尊顔を拝見する機会も減ってしまったのですが……いつかはルノに代わって、このポーラがグレイズ様の秘書になってみせます!」


 親愛なるグレイズ様。アタシはアナタ様のことを大変お慕いして――


「あっ、あの、ポーラ様?一人で何を仰っているのですか?」


「ひゃっ!?何よ、アルビオ?アタシ、別になにも言ってないけれど?」


「ポーラ様――心の声が丸聞こえです?」


「………へっ?」


 あれ、心の中で悦に浸っていたはずなのに……まさか発声していた?


「うっ、うぅ~~!!アルビオのバカっ!あんたは守ってやらない!」


「えぇっ?!勝手に自爆したのはポーラ様じゃないですか!!」


 アルビオをポコポコと叩く――これが八つ当たりだってことはわかっている。でも、アタシの秘密をどんな形でも知った時点で容赦はしない。

 けれど……本当に何をやっているのかしら、アタシ。こんなんだから、ルノに先を越されるんだ……。


『じゃあさ……オマエらのアジトを教えろよ。争奪戦にそれなりの人数で来たってことは、一応拠点みたいなものは存在しているんだろ?』


『はぁっ!?貴様、いったい何を宣って……!いいえ、貴様のような大罪人は、今すぐ大司祭様に裁かれるべきなのかもしれないな』


『御託はいいから、場所を教えてくんない?』


『………ここからさらに南へ向かったところ、小さな教会がある。この私がオマエを直に大司祭様の元へ連れて行ってやろう』


 既に二人殺られていて、通りには恰幅の良いやつ一人しかいないのに、聞こえてきた声は二つ。どうやら本当にあそこに透明人間がいるみたいね。それに、声からするに…結構若い男の子みたい。

 話を聞く限り、その透明人間の彼はこれから――


「デウス・ウルトのアジトへ向かうみたいだけれど……無謀じゃないかしらね」


「そうっか?姿が見えないって、あの透明人間は最強じゃないっすか?」


「それはどうかしらね」


 アタシは首を横に振った。

 確かに彼の姿をこの目で捉えることは出来ない。だけれど、どうやら全てを隠しきっているというわけではなさそう。だからもし、その隠しきれてない部分から位置を特定されたら――って、他人の身を案じてられるほど、アタシも余裕ではないのだけれど。


「どうやら最後の一人も殺害されたようですね、ポーラ様」


 耳を澄まして……うん。足音はこっちに近づいてきていないみたい。


「透明人間の彼、アタシたちの方には来てないようね。ふうっ……」


 これで一安心。胸をなで下ろすことが出来る――


「やっぱり見つかっていたらどうしようもなかったんじゃないですか、ポーラ様?」


「…未だに減らず口を叩くのは――こ・の・口かしらっ!?」


 転がっていたねずみ色の石ころを掴んで、アルビオの口に突っ込む。もごもごもごもご何か言ってるけど、引っこ抜いてあげないんだから!


「シセ、一応ルノたちの方にも連絡して。どこの組織の異能力者かわからないけれど、透明人間がこの結界の中にいるから、兵士たちの警戒を強めるようにって」


「わかりました、ポーラ様!」


 中央はルノに加え、レイシェにルッジェーロもいるから大丈夫だろうけれど……異能力者ではない他のみんなは大丈夫かしら?想定していたことだけれど、やっぱり結界の中は未知の異能力者が跋扈しているみたいね。


 アタシたち新しい大地テラ・ノヴァはグレイズ様の指導のもと、異能力者の地位向上を目指している。別に、差別をしている非異能力者たちに憎悪しているわけではない。アタシたちはただ、同じ人間として非異能力者と異能力者の対等な地位を築きたいだけ。

 だから、本当は……アタシたちは異能力者たちとは敵対はしたくない。でもそんな綺麗ごとが出来るのは、カリスマであるグレイズ様だけ。だからアタシみたいな一兵士は、他の組織の異能力者に遭遇した場合――


「ちょっと良いか?」


「誰ッ!?」


 聞き覚えのない低い男の声。即座に振り返ると、そこにいたのは――


「グラウ・ファルケ。あんたらに訊ねたいことがある」


 タバコの吸い殻のような灰色の髪をした、どこか憂い気な雰囲気を漂わせる赤目の青年。艶やかな濡れ羽色の髪をした、クールな感じの青目の少女。そして圧倒的なボディライン、蠱惑的な顔立ちをした紫目の女性。


「どうか銃を下ろしてくれないか?俺たちはあんたらに危害を加えるつもりはない」


 両脇に立つアルビオとシセの二人は、背負っていた突撃銃アサルトライフルの銃口を三人へと向けている。正体不明の連中が現れたら警戒する、当然の反応よね。


「嘘おっしゃい。アンタの隣の少女、刀の柄に手をかけて今にも斬りかかってきそうなのだけれど?」


 こちらが敵意を明らかにした時点で、あの少女は鋭く尖った殺気を隠すことはしなかった。というか……刀が武器っていうのはわかるけれど、どうして鬼のお面なんか腰に括り付けているのかしらね?ファッションなの?


「ソノミ、手を離せ」


「だが……わかった。お前の指示なら私は従う」


 ソノミって子なんだか気難しそうだなと思ったけれど、案外グラウっていうのには従順なのね。


「ネルケもだ。いつでも動ける準備をしといてくれるのはありがたいが、あからさま過ぎだ。それでは先方も快く思わないだろう。俺たちは頼む側であって、脅しに来たというわけではないのだから」


「むぅ~~~っ!そうね、グラウがそう言うなら仕方ないわね。借金に上乗せしておいてあげる♪」


「……気が付いたら返済不能に陥ってそうだな」


 まるでネルケっていう女性とグラウとの会話の趣旨がわからないけれど――そもそも“いつでも動ける準備”って何?ソノミと違って彼女は、全く剣呑な雰囲気はしなかったけれど、もしかしてアタシが敵意を見逃していたとでもいうの?


「これでいいか?それじゃあ、あんたらに一つ聞きたいんだが――」


「誰がアンタたちの質問に答えるなんて言ったかしら!!」


 立場ってものはハッキリさせて置かないといけないと、ぴしゃりと言ったつもりなのだけれど……どうしてアルビオとシセは全力で首を振って訂正を促してきているのかしら!!アンタたち、どっちの味方をしているのよ!!

 ソノミと……たぶんネルケも、アタシが友好的な反応をしなかったからって、抑えていたはずの警戒の色を濃くしてきたわね。そしてグラウは――無反応。表情一つ変えず、アタシのことを凝視している。


「そうだな。確かに俺たちは互いの氏素性を知らない。だからといって敵であるという結論は早計だろ?俺たちはあんたらに手を出してはいない」


「いいえ、敵よ」


「テラ・ノヴァは異能力者の味方じゃないのか?」


 流石にアタシたちが何処の組織かはバレていたのね。軍服の右肩に縫い付けられた、“握手”が描かれたエンブレム。これが意味するのは、異能力者と非異能力者の友好関係。まさにアタシたちテラ・ノヴァの象徴たるもの。


「ええ、そうね。アタシたちは異能力者の地位向上を求める立場よ。でもね、時として手段を弁えてはいられないのよ」


「あのグレイズ・セプラーも奇跡の欠片、星片に目が眩んだのか?」


「……アタシたちはグレイズ様の意思を実現するだけ。グレイズ様が星片を求める以上、アタシたちはそれに従うだけ」


 テラ・ノヴァが星片を狙う目的を、グレイズ様はアタシたちに説明してはくださらなかった。グレイズ様はただ一言「彩奥市の星片を回収しなさい」とだけ仰われた。

 けれどアタシたちテラ・ノヴァの兵士たちは、グレイズ様のことを決して疑ったりしない。グレイズ様は慧眼と先見の明を併せ持つお方。きっとこの争奪戦に参戦したことは、アタシたちの輝かしき未来へと寄与するはず。


「……盲信だな。あんたはグレイズ・セプラーのことに関して、思考停止しているだけだ」


 盲信、思考停止……?この男、好き勝手言いやがって――!


「思考停止、ですって……?違うわ!グレイズ様は疑いの余地がない程素晴らしいお方なの!!グレイズ様はアンタみたいなどこの馬の骨ともわからないようなヤツとは違って、賢く容姿端麗な紳士なの――!!」


「聞き捨てならないわね!」


「っ!?なっ、なによいきなりっ!!」


 アタシの言葉を遮るようにネルケが咆哮したと思えば、急にアタシへと近寄ってきて――顔が近い。アンタは顔が良すぎて、いくら同性でも照れちゃうのだけれど……。それに、キレているのかと思えばにこぉっとしていて……いや、怒っている、この人ぶちギレてるっ!!?アタシ、別にアンタの悪口は言ってないのだけれど!?


「グラウがどこの馬ともわからない――?グラウを貶すような発言は、このわたしが許さないわっ!グラウは優しいから多少の暴言で憤慨したりしないけれど、わたしは違うわよ!貧相な身体つきのブロンドヘアさん?」


「なっ………!」


 この女……人に言ってはいけないことを!!

 けれど、うぐぐぐぐっっっっ……。何も言い返せないわ。この人相手じゃ、アタシなんか敵いっこない。アタシとこの人とじゃ、歴然とした差が存在する。ああこんな時、ルノが隣にいてくれたら心強いのに。


「そろそろよせ、ネルケ。お前の発言は……無差別爆撃だ」


「ソノミ?何を言っているのかしら?うむぅ……わかったわ。あなたのこと、今回だけは許してあげる」


 ソノミに従ってネルケはグラウの隣へと戻っていったけれど……そうよね、今のネルケの発言はアンタにも効いたのね。


 それはそうと、ここまでの会話からグラウ・ネルケ・ソノミの関係性を推察すると――ネルケは確実にグラウのことが好き、ソノミもたぶんグラウのことをただの仲間だとは思っていなさそう……三角関係って言葉が思い浮かんだわ。

 グラウがどう思っているかもしれないけれど、この男がネルケとソノミの二人をコマしていることは確実。まぁこいつ、もちろんグレイズ様には劣るけれど、確かに顔は悪くないしプロポーションも良いわね。でも、それにしたって両手に薔薇よ!なんなのよこの男、罪作りが過ぎないかしら?


「で、だ。あんたらは質問に答えてくれるつもりがないようだが――」


「ポーラ。テラ・ノヴァのポーラ」


「ではポーラ。どうすれば答えてくれる?」


 何としてでも質問をしたいってことなのかしら?そこまでして聞きたいことねぇ……ふふっ、なんでもしてくれると言うなら、これはちょうど良い機会ね!


「ふふふっ、アタシは話し合いって言うのが苦手なのよ――意味、わかるわよね?」


「見かけによらず好戦的なのか、あんた」


 星片が落ちてから結構時間が経ったけれど、アタシはずっと偵察任務で歩いてばかり。ルノと同じく前線に配属されればこうは退屈しなかっただろうけれど……このままでは、何の功績も得られないまま争奪戦が終わってしまう!だからせめて、アタシも一人の兵士として活躍しておかないとっ!!


「アンタたちにとびっきり良い情報を教えてあげるから、よ~く聞いておきなさい。実はアタシ――異能力者なのよっ!!」


 腰に手を当てて自信満々に宣言……したのだけれど、なんだか反応が薄くないかしら?この結界の内部の異能力者の人口密度は外の世界に比べればかなり濃い。それでも異能力者は非異能力者の10分の1もいないぐらいにレアな存在だというのに、どうして三人とも驚かないのかしらね?


「……そうか。ならばあんたに、お返しとして極上の情報を教えてやろう。俺たちは――三人とも異能力者だ」


「………えっ?」


 さっ、三人とも?こっちは異能力者一人と非異能力者二人。それじゃあ戦力的に……ちょっと、アルビオもシセも絶望が張り付いたみたいな顔をしないでよ!


「あんたの望み通り、戦いで白黒つけよう。そしてあんたらに情報を吐いてもらおう。だからこちらも譲歩する。俺たちの中から一人選べ。戦うのはその一人だけとしよう。どうだ、あんたらにとって悪い提案じゃないだろ?」


「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ!どうしてアンタたちが勝つこと前提なのかしらっ!?」


 この吸い殻ヤロウ……調子に乗りやがって!


「3分の2で俺たちは勝てると確信しているからな。で、どうする?誰を選ぶ?」


 そんなの決まっているでしょう!ここまでアタシを怒らせておいて、タダで済ませるわけがないわ!!


「アンタよ、ア・ン・タ!このキザヤロウっ!女の敵ッ!その鼻を明かして、その鉄面皮に泥を塗りたくってやるわ!!」


 アルビオとシセがなんだか青ざめているけれど、無視よ無視!こいつはアタシ一人で片付けてやるわ!!


「散々な言われようだな……流石に傷つくぜ。だがあんた――見る目がある。見事3分の1を引き当てた。俺はこの中じゃ一番弱いからな」


 あれ、意外ね。一番強いのはアンタだと思っていたのに……まっ、それはそれで都合が良いのだけれど。


「アタシは一切手加減しない。もしかしたらアンタを殺しちゃうかもしれないけれど、それでも良いのよね?」


「俺はあんたを殺すつもりはないんだがな……死ぬ前に終わらせないといけないな」


 ようやくこの時が来たわ――異能力を使いたくてうずうずしていたのよ!


「この勝負、グレイズ様に捧ぐ……テラ・ノヴァがポーラ・ワイズ――アンタを蹂躙してやるんだからっッ!」


「それじゃあ少しだけ痛い目……みてもらうとするかッ!」


※※※※※

小話 ガチ恋勢


グラウ:ポーラ、あんたにとってグレイズってどんな人なんだ?


ポーラ:気安くグレイズ様の名口にしないでっ!グレイズ様は世界で最も素敵な男性。気安く呼んではならない御名前なの。わかるぅっ!?


グラウ:はっ、はぁ………?


ネルケ:ちょっと、あなた!グラウになんて口の聞き方をしているのよっ!?


ポーラ:えっ……いきなり何よアンタ!このアタシに文句があるっての?!


ネルケ:ええ、あるわよ!世界で一番素敵な男性は――グラウに決まっているでしょ!


グラウ:……はぁ?


ポーラ:はぁっ!?こんな男が一番ですって!?こんなやつ、グレイズ様の足元にも及ばないわよ!


ネルケ:へぇ、そう?いいの、そんなこと言って?グラウのことでわたしを怒らせると怖いわよ?


ポーラ:くっ……!でも、アタシだって負けられないわよっ!!


ネルケ:じりじりじりじり

ポーラ:じりじりじりじり


グラウ:なぁ、ソノミ。あの二人を止めてはくれないか?


ソノミ:私に面倒を振るな、まったく……(まぁ、私はネルケの味方をするがな。ファイトだネルケ)

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