☆あなたはヒトであった



ヒトを見つけた


小さい子だ 昔の自分みたいに


サーバルもいた


その友達のカラカルも・・・


彼女たちは、そのヒトの子---キュルルの家を見つけようとしているらしい


本当の名前なのか尋ねると

これはサーバルにつけられたもので、本当の名前はわからない

と返ってきた


サーバルらしいセンスだ


私の時もそうだったよね?


サーバルちゃん・・・





サーバルは私のことを覚えていない


覚えていない


それはそうだ


サンドスターに記憶の引継ぎがあったとしても


私のことを覚えていなくてもおかしくない


むしろ自然なことだ


・・・期待をしていたのかな?


愚かな自分


勝手に期待し、勝手に傷つく


彼女たちは悪くない 決して


わかっていても


離れない


過去と今がまとわりついて、逃がしてくれない


私は、こんなに弱いのか





笑顔、笑顔、笑顔


自分に向くことはない


妬ましい?


誰が? 誰を? 何のために?


あの子はただの子供だ


何も知らない 何もできない


羨望?


今、あの子が、サーバルが知る"ヒトの子"だ


唯一の


そうでしょう?


これも勝手な考え


その考えに押しつぶされる


私は、私を苦しめて喜んでいるのかな?




・・・・・・


あの子は繋がりを得た


・・・・・・


決して強いものではない


・・・・・・


でも、確かに存在する"輝き"


・・・・・・




あの子の"輝き"によって、セルリアンが生まれる


危険だ


危険でなければならない


いい理由になる


折角のヒトの子だから


やりたいことがある


・・・?


折角? やりたいこと?


自分は何を考えているのか


私はただ、あの子を守ってあげたいだけ・・・


そう


間違っているはずがない





ヒトのフレンズは存在する


ならば、ヒトはフレンズになれるのか?


動物がヒトの姿を得た存在がフレンズだ


逆はどうだろう?


フレンズのサンドスターをそのまま与える


そのフレンズに適応したサンドスター


基本の存在がヒトならば、ヒトはフレンズになれるのでは?


不確定要素の"輝き"の存在もあるけど


キュルル


君は幸運だね


強い想い、"輝き"を持つ者が傍にいて


私が、失っていたモノがあって


きっとうまくいくよ


大丈夫、背中は押してあげるから・・・






__________________


キュルルは一人、薄暗い研究所の一室にいた。

かばんから"セルリアンを生み出さないようにするための治療"を受けるために・・・

「治療って何だろう?」

「もし治せるとしたら、またみんなの絵を描いてみたいな」

「受け取ってくれるかわからないけど」

静かな部屋。外はもう暗く、当のかばんも来る気配がない。


あの施設から出てから、キュルルは一人になることが滅多になかった。

今更のように訪れる、一人でいることの不安と、部屋を包む闇は、強くない心を弱らせるには十分だった。

「・・・怖い」

「かばんさんも来ないし、少し寝ておこうかな」

「多分起こしてくれるよね・・・」

逃げるように、キュルルは眠りについた。



ドアの向こうに、誰かがいる。

息を荒げ、空けた口から唾液が滴っている。

"背中を押された"その者は、誘われるまま、ドアノブに手をかけた。



黒い影が、ドアを開けて入って来る。

寝静まったキュルルに、影は待ちきれないといった風に駆け寄った。

掛けられた毛布を引きはがし、露わになった全身を舐めるように見つめている。

「ぅぅ・・・」

「寒い・・・」

毛布をはがされたからか、キュルルは無意識にぬくもりを求めた。

影の視線が、キュルルの口に寄せられる。

少しずつ顔を近づけてゆく。こぼれた唾液がキュルルの顔に当たった。


一度目は軽く。

二度目はそれより深く。

三度目は舌を絡ませた。

キュルルの上に覆いかぶさり、執拗に口内を愛撫し続ける。

「・・・!? ん"ぅっ!?」

長く口を塞がれていたからかキュルルが目を覚まし、驚いたようにもがいた。

それを見た影は口づけをやめ、ほんの少し顔を離した。熱い吐息がキュルルの顔に当たった。

「・・・カラカル? どうかし」

キュルルが言葉を言い終わるより早く、カラカルはキュルルの股間にのしかかった。

じっとりと濡れた視線を向けられ、キュルルは恐怖した。得体のしれない何かを感じ、カラカルから逃れようと手を伸ばす。

その手が体に触れようとした時、カラカルは自分のスカートをたくし上げた。


「・・・ぇ? カラカル、それ」

突然の行動に、キュルルは思わず目をそらそうとした。

しかし、目をそらすことができなかった。自分と同じものが、カラカルにも存在していたからだ。


未成熟なキュルルの物とは違い、カラカルのそれは少女に似つかわしくない物だった。

興奮しているのかぴくぴくと震え、そのたびに先から透明な液体を垂らしている。部屋のわずかな明かりで艶めかしく光り、性知識がないキュルルでさえ、体の中の雌がこれを求めていることを感じた。

「・・・」

うっとりと自分の物を見つめるキュルルを確認すると、カラカルは舌なめずりをした。


抵抗する力を失くしているキュルルをうつ伏せに押さえつけ、ズボンを下着ごと器用に切り裂く。

露わになった肌を乱暴に掴み、自らの物をあてがった。

「ひっ!? カラカル、何を ___」

ぬるりとした触感でキュルルが正気に戻り、抵抗をしようとした瞬間、カラカルは容赦なくキュルルに己を突き刺した。





「___! _____!!」

慣らしもせず強引に挿入され、キュルルは悲鳴を上げた。しかしカラカルはその様子にも興奮し、更に行為を激しくする。

抵抗はもはやできなかった。接合部の裂かれるような痛みと、完全に理解できないながらも"自分が汚されている"という感情が、キュルルを蝕んだ。

「から、かる やめ___ いぎっ!?」

必死で絞り出した声は、カラカルが首筋に噛み付いたことで掻き消えた。

食いちぎらんばかりに牙を立てられ、シーツに血が染み込んでいく。


「いや、だ ぁっ ああ・・・」

行為が激しさを増す中、キュルルの声に少しずつ嬌声が混じる。

痛みなど、その頃には快楽に変わっていた。


否定の言葉も、いつしかカラカルを求めるものに置き換えられていた。


「フーッ、フーッ・・・・・・ んんっ!」

「_______ぁ」

カラカルが、まるで孕ませようとするように深く突き入れた。それと同時に、キュルルの中に大量の精が叩きつけられる。

至上の幸福を感じながら、キュルルも達した。



休もうともせず、再びカラカルがキュルルを犯し始める。

キュルルはカラカルを受け入れた。






__________________


うまくいった


少し手伝っただけで、カラカルは堕ちた


もう、元には戻らないかもしれない


・・・


結果はすぐに出ないよね


あと数日、あのままにしておこう


余計な詮索は黙らせればいい


これもあの子のため


カラカル


しっかりキュルルを壊してね?





三日が経過


あの子を閉じ込めている部屋に来た


・・・すごい匂い


いっぱい愛し合ったんだね


私も濡れちゃいそう


二人が寝ている間に、検査を済ませようかな



・・・



結果は性別の転換と、衣服の僅かな変化のみ


フレンズ化は起こり得るみたいだ


でも三日じゃ足りないか


他の子でもできるかな?


今度は別の子を相手してもらおう


ヒトに焦がれているあの子がいいかな


部屋も変えてあげよう


カラカルはお休みだね



ああ 楽しみだなあ






__________________


キュルルは一人、部屋で目を覚ました。

「・・・? あれ?」

「何をしていたんだっけ?」

見慣れない部屋。外はまだ明るい。


「ああそうだ、私は確かキュルルを探して・・・」

「________?」

キュルルは自分の言葉を疑った。

キュルルとは自分のことであり、探す必要などない。一人称は私ではない。


「あ、あ? あ」

「私、僕は 何を?」

思い出そうとするが、頭が痛むのか顔をしかめた。

肩にあるはずの傷は無くなっている。あったことにすら気付いていない。


「そう サバンナでサーバルと一緒に」

「違う 違う これは僕じゃない」

自分のものではない記憶が浮かんでは消える。そのたびにキュルルは、自分が失われていくように感じた。

意識する度、別の誰かが記憶を少しずつ塗り替えていく。

キュルルは気が狂いそうになった。


誰かに助けを求めようと、部屋を見渡す。

当然、誰もいなかった。

しかし、机に置かれた物---スケッチブックを見て、キュルルは自分を何とか保つことができた。

震える手を伸ばし、自分の希望を取る。

「絵 絵を描こう」

「僕ができること・・・」


こんこん。

突如として、部屋にノックの音が響いた。

「キュルルさん」

「入ってもいいですか?」


「・・・イエイヌさん?」

「はい、お見舞いに来たんです」

「キュルルさんの体調が悪いと聞いて・・・」


急な来訪によりキュルルは驚いた。慌てて身支度をし、イエイヌを迎え入れる。

持ってきてくれたお茶を飲み、心配するイエイヌと話し込んだ。


「あれ? キュルルさんの服・・・」

「ちょっと変わりました?」

「変わってないよ」

「今までもこうだったでしょ?」

「・・・」

何気なく返事をしたつもりのキュルルは、なぜイエイヌが自分を凝視するのか理解できなかった。

視線から逃れようと、お茶に口をつける。

カップはすでに空っぽだった。


「キュルルさん」

「・・・なに?」

「絵を描いてもらえますか?」

「"私の"絵です」


イエイヌには、キュルルが絵を描いていることを伝えられていない。

不思議に思ったキュルルが質問しても、絵を描いてくれといった返事が返ってくるばかりだった。

仕方なく、指示された通りに絵を描こうとする。


「・・・あれ?」

描けない。

絵の描き方がわからない。

スケッチブックにある絵は、確かにキュルル自身が描いたものなのに。

「なんで? 僕は」

覚えていない。

"記憶"の中に、イエイヌがいる風景が現れない。


「やっぱり」

「あの子のせいなんですね」

「え?」

「カラカルさんですよ」


カラカル。

その名前を聞いた瞬間、キュルルは思い出し、理解した。

数日間、何度も交尾をした事。

誰かの記憶とは、カラカルのものである事。

自分は男であった事。

キュルルは自分のスカートの中に手を伸ばした。手はぐちょりと濡れた秘部に当たった。


「ずるいですよね」

「私だって、あなたが欲しかったのに」

「あの時は、我慢できたのに」

「ぁ、ぅぁ・・・」

ゆっくりと近づくイエイヌから逃れようと、キュルルは後ずさった。


「あれから、ほかの子たちも私に会いに来てくれるようになりました」

「でも、心から寂しさが消えることはなかったんです」

キュルルの足にベッドの足が当たった。

逃げることが、できなくなった。


どんっ。

体を押され、キュルルはベッドに倒れこんだ。

ゆっくりとイエイヌはキュルルにのしかかり、頬をぺろりと舐めた。

「カラカルさんは悪い子ですが・・・」

「お礼が言いたいこともあります」


丁寧にキュルルのスカートと下着を脱がし、入口に自分の物を押しあてる。

本能で理解したのか、キュルルが涙を流して体をよじった。

それを力で押さえつけ、イエイヌは恍惚とした笑みを浮かべた。

尻尾をちぎれんばかりに振っている。

「あなたを、私の雌にします」

「全部忘れて、番になりましょう?」

そう囁き、イエイヌは一息でキュルルに挿入した。



「い、たい いたいよ・・・」

深く立てられた物で膜を突き破られたキュルルは、痛みと恐怖に顔を歪めた。

血が伝い、生暖かい感触を肌に残す。

彼女は純潔を失った。

「あはは 初めてはどうですか、キュルルさん?」

そう言って、イエイヌはキュルルの細い首を優しく撫でた。

無理やり口をこじ開け、深く口づけする。口内をかき回されるたびに、キュルルの体がピクリと反応する。

「大丈夫ですよ」

「気持ちよくなるまで躾けてあげますから」





静かな部屋の中に、ぐちゅぐちゅと水音が響く。

獣のように腰を動かし、イエイヌがキュルルを貪っている。

キュルルは虚ろな目でイエイヌを見つめ、時折喘ぎ声を上げるだけになっていた。

「あぁ、また出ます! いいですか? いいですよね?」

「・・・____」

「キュルルさん! 孕んでくださいぃ!!」

返事を待たず、イエイヌは体の奥に精を吐き出した。

何度も中に出され、キュルルの腹は妊娠したかのように膨らんでいた。接合部からは、蜜と精の混じった体液が溢れ出ている。


イエイヌが引き抜くと、ごぼりと音を立てて、大量の精がキュルルから流れ出た。

「・・・あ、ぁ でて、いっちゃう」

キュルルは無意識に、流れ出る精を止めようと手で押さえつけ、塞ごうとした。

彼女は、すでに雌になっていた。


半開きになったキュルルの口に、イエイヌが引き抜いた自分の物を咥えさせ、掃除を強制する。彼女はそれを受け入れ、丁寧に舐め始めた。興奮したイエイヌに頭をつかまれ、激しくされても、涙を流すだけで抵抗しようとしない。

「んっ・・・ いいですよ、キュルルさん・・・」

「上手ですね ぁは、出ちゃいそうです」

「全部、しっかりと飲んでくださいね?」

キュルルは言われるまま、口に出された精をすべて飲み込んだ。





ぼんやりとしたキュルルの耳に、イエイヌの声が届く。

「まだ」

「まだ、終わらせない」

「体も、心も、全部私のモノにするまで・・・」

キュルルは、自分は一体誰になるのだろうと考えて


意識を手放した。






__________________


イエイヌは心が脆かった


主人を待つ孤独


寂しさの紛らわせ方なんて、他にもあるだろうに


あの子を欲した


これも輝きの一つかな?


カラカルと同じくらい十分な輝きがあるから


彼女も、うまくやってくれるだろう


・・・


前回よりも、日数を増やそうか





五日経過


よほど番が欲しかったんだね


毎日毎日、ずっと構っていたなんて


ごくろうさま


じゃあ、検査をしよう


イエイヌはお休みだね



・・・



イエイヌの耳が片方発現、服もイエイヌに近づいた


あはっ、髪も伸びたかな? 胸も大きくなったね


もうすっかり女の子だ


壊れてしまえ





次は誰を相手させようか?


博士と助手に手伝ってもらおうかな?


じゃあ・・・


・・・


あれ?


起きてたの?






__________________


キュルルは目を覚ました。

部屋は明るい。

ベッドの近くには、かばんがいた。

「よく眠れた?」

「・・・はい」

「どうしてここにいるのかわかる?」

「治療 を受けに・・・__?」

「何の?」

「私、が 心を、さび しい? ___」


キュルル自身の記憶は、すでに大部分が失われていた。

その空間を埋めるように、カラカルとイエイヌの記憶が押し込まれている。

極度の精神異常と記憶の混濁により、まともに会話ができる状態ではなくなっていた。

その腕には、スケッチブックが抱かれていた。


「・・・まだ、ヒトの記憶が残っているの?」

「早く染まればいいのに」

「帰りたい、 __カラカル、サーバル・・・」

「・・・」

サーバルの名を聞き、かばんはキュルルを睨みつけた。

自身が否定した憎しみと羨望が、その眼にあった。

どこか遠くを見つめるキュルルは、それに気づかない。


「待っててね」

「その記憶、すぐに消してあげるから」

そう言い残し、かばんは部屋を出ていった。

キュルルは、スケッチブックを抱きしめた。






__________________


わかっている


自分が何を考えているのか


あの子が羨ましい


憎らしい___ 消したいほどに


そんな勇気すらないのに


覚悟すらないのに


ただ暗く、惨めに、あの子を失わせようとしている


あの子が手に入れた"輝き"を使って


・・・


はは、これじゃあ私はほとんどセルリアンだな


・・・もういいや




パークを回り、フレンズ達から少しのサンドスターを回収した


"キュルルのため"と言ったら、疑わずに渡してくれた


困っている友達を助けようとするみたいに


キュルル、いい友達を持っているね


その友達のおかげで


君は記憶までもフレンズになれる


うれしいよね?


パークが、君の"おうち"なんだから


・・・


友達が全員、君の中にいてくれる


幸せだよね?


失うことなんてない


ずっと、ずっと、ずっと


一緒に






__________________


かばんは部屋に入った。

キュルルの頭には、イエイヌとカラカルの耳が現れていた。

「ケモノじゃない、ヒト 私、はケモノじゃない___」

ぶつぶつと独り言をつぶやき、ベッドに腰かけている。

スケッチブックには、鉛筆でぐしゃぐしゃの線が描かれていた。

おうち、と書いてある。


「君は、お友達が好き?」

かばんが、キュルルに近づいてそう言った。

キュルルはゆっくりとかばんを見つめた。

「僕の中に、もう、二人いる」

「私が、いなくなる」

「そう」

「じゃあ、もっと賑やかにしよう?」

キュルルの腕をつかみ、かばんは注射針を突き刺した。





「ぎッ・・・! ___ぁ、ゃ」

サンドスターが流し込まれる度、キュルルが苦痛の声を上げる。

「僕が、無くなる、やめて、」

元の記憶がズタズタにされ、誰かの記憶が代わりに入り込む。

全身を強張らせ、心を失わないように耐えようとしている。

目を大きく見開き、とめどなく涙を流した。



すべてを無理やり押し込まれてなお、キュルルにはまだ自我があった。

かろうじて、希望が繋ぎとめていた。

「僕 僕は、まだ、ヒト で」

「・・・」

かばんはキュルルを見つめ、胸に抱いたスケッチブックを取り上げた。

「これ?」

「これが、君を繋いでいるの?」


「あ、やめ、それは僕の、私の おうち・・・」

希望を奪われ、キュルルは必死に取り返そうとした。

力なく伸ばされた腕を振り払い、かばんは笑顔で言い放つ。


「こんなもの、もう必要ないよね?」

手にしたカッターで、かばんはスケッチブックを切り裂いた。


限界だったキュルルの心は、完全に砕かれた。





「おうちが 僕の おう、ち ぃぎィ!?」

希望が切り裂かれたのを見ると、キュルルの体に変化が起き始めた。


瞳は色が混ざり、どす黒く光を失った。

頭からは翼とも角ともとれない歪なものが突き出した。

ずるりと、粘液にまみれた尻尾が二本、体を突き破った。

身体がヒトのものでなくなってゆく。


変化の間、キュルルは痛みと快楽に身体を痙攣させた。

喘ぎ声と唾液が、口から流れ出る。


彼女はヒトでなくなった。

フレンズにもなれなかった。





「___あは」

「あはは、あは・・・」

異形に成り果てた後、キュルルは狂ったように笑い始めた。


「私、帰らなきゃ」「カラカル? どこ? イエイヌは私・・・」

「僕を待っている友達が」「綺麗にお土産を自分が誰を」

虚空を見つめ、誰に伝えるでもなく笑みを浮かべて話し始める。

バラバラになったかつての希望をかき集め、それを更に爪で裂いた。


笑顔を張り付けたまま、"キュルルだった子"はかばんに目を向けた。

一筋だけ、涙を零し・・・




「ねえ__」


「ワタシ 

     は、ダレなのかな?」

「ボク






__________________


ヒトを殺した


あの子はもういない


あれはもうヒトではなく、フレンズでもない


キュルルは消え、彼女の友達だけが残った


・・・


私は、人を探していたはず


やっと見つけたのに


殺した


・・・


あの子はかつての自分だ


弱く、強くなりきれなかった


そんな自分


私は、私を殺した


今の自分を否定した


未来を失った


奪った


犯した


憎んだ


・・・






私はきっと、ヒトでなしなのだろう

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