◎ フレンズセルリアン!?
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フレンズセルリアン
体が未構成・または半崩壊のセルリアンがフレンズに寄生した存在。きわめて稀。
徐々に宿主のかがやきを奪い取る。すべて奪いつくしたとき、フレンズの記憶を持ったセルリアンになる(以下フレンズセルリアンと呼称)。奪う速度は、フレンズの状態に依存する。
また、寄生中にほかのフレンズにも積極的に子を寄生させようとする。フレンズセルリアンになった際も、個体差はあれ、同様に寄生しようとする。
フレンズセルリアンはその特性上、見つけ次第フレンズの体もろとも「 」することが推奨される。フレンズセルリアンの周囲にいたフレンズも検査の上「 」する。
セルリアンのみの撃破は非推奨。被害の拡大を許してはならない。
非難はされない。
あなたは英雄だ。
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プレーリーはこはんに住んでいる。しばらく前、あのフレンズに手伝ってもらい---同居人と呼べる、親友とともに家を作り上げた。
初めは満足していたが、ロッジアリツカの存在を知り、もっと大きく立派な家を完成させるべく奮闘していた。
親友は心配性で、よくしり込みして・・・行動に移すことができない。それを補うことができる自分の存在を、親友はかけがえのない存在だと感じていた。
「ふう・・・こんなものでありますか?」
プレーリーは今日、親友が持ってくる木材を加工し、家の拡張に必要なものを作っていた。
初めは指示を待っていたばかりだったが、今では渡された指示書に従って一人で物を作ることができるようになっていた。もっと親友の役に立ちたいと、作業に熱中する。
しかし彼女は知っているだろうか?
セルリアンハンターが取りこぼした、"半崩壊状態"のセルリアンが逃げていることを。
それが"偶然"こはんの近くで、"偶然"近くにいたフレンズが彼女だったとしたら?
同居人はどのような顔をするだろうか。
ビーバーはこはんに住んでいる。数か月前、頭の良いフレンズに手伝ってもらい---番と呼べる、同居人とともに家を作り上げた。
このままで満足していたが、ロッジアリツカの存在を知った際、あの人がもっと立派な家にしようと意気込んだため、それに引きずられるように作業をしていた。
あの人はせっかちで、感情的で・・・よく失敗する。それを補うと決めている自分は、あの人にとってかけがえのない存在になりたいと願っていた。
「この木でいいかな・・・」
ビーバーは今日、あの人が待つ我が家に、道具作りにちょうどいい木を持ちかえっていた。
初めはおどおどして指示を出せなかったが、最近は指示書だけで物を作ってくれるようになった。もっとあの人と話したいと、心の底でつぶやく。
そして彼女は思い出す。
セルリアンハンターがこはんの近くで活動していることを。
セルリアンが"もし"家に向かい、"もし"近くにいるフレンズがあの人だったら?
彼女は----------------------------------
ビーバーは見つけた木を放り出し、体が枝で切られるのも無視して走った。
なぜ、思い出せなかった?
なぜ、あの人と話せなかった?
なぜ、なぜ、なぜ・・・
頭の中が真っ白になり、空白を言葉が埋めていく。
その中心では、あの人が笑っていた。いつも言っている、あの言葉を・・・
「気にしないで」
「自分がそばにいる」
「二人で・・・」
プレーリーは立ち尽くしていた。
体の中にセルリアンがいる。体が冷たくなっていく。
ただ、喜んでほしかった。
ただ、笑顔を見たかった。
ただ、ただ、ただ・・・
頭の中が黒く塗りつぶされていく。唯一白い場所に、あの人がいた。
「__________」
「__________」
「_____________」
言葉は、通じない。
ビーバーはプレーリーを見た。
あの人が振り返る。
愛らしい栗色の瞳は真っ黒に塗りつぶされ、体の一部がトロリと溶けている。
「________」
その口からは言葉の代わりに黒い液体が流れ落ち、足元に溜まりを作る。
「・・・・・・プレーリーさん」
歩いて近づく。
彼女は、ただビーバーを見つめていた。
「あなたとともにいます」
「どんなことがあっても」
「あなたがわたしにしたように」
そう言って、ビーバーは、いつものように口づけをした。
プレーリーは自分を見つめる視線に気がついた。
振り返り、親友を見る。
しっかりと力強い体、いつも変わらない愛らしい瞳。
「プレーリーさん」
その口からはいつも聞いている大好きな声が零れ落ちる。
「________」
プレーリーの言葉の代わりに、セルリアンが流れ出る。
近づいてはいけない。残った理性で言葉を紡ごうとする。
彼女は、じっとプレーリーを見た。
「あなたとともいます」
「どんなことがあっても」
「あなたがわたしにしたように」
しっかりと聞こえたその言葉に力が緩む。
プレーリーは、彼女を受け入れた。
二人の口を通し、セルリアンが流れ込む。
ビーバーは、プレーリーの瞳から黒い涙が零れるのを見た。
プレーリーは、ビーバーの瞳が黒く染まるのを見つめた。
二人は抱き合い、溶け合った。
------この一瞬、確かに二人は繋がった。
ヒグマたちセルリアンハンターがこはんの家に来た時、すでに二人はフレンズではなかった。
ヒグマたちは"彼女たち"を「 」そうとした。
しかし、"彼女たち"はハンターたちを見ようともせず、"ビーバーとプレーリーの家"に入っていった。
その姿は---まるで巣に入る幸せな番のようだった。
ハンターたちは「 」すのをやめた。
"彼女たち"は、幸せなのだ。
フレンズであったら知ることができない、お互いのことを深く、深く知っているからだ。
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