第34話

その夜、みちさんが眠ってから

僕はカレンダーにバツを書いた。


あと3週間と2日。


今日はみちさんを沢山泣かせてしまったけれど、

あの後、2人で沢山抱き合って

お互いを確認し合うように寄り添った。


多分、みちさんは僕を好きでいてくれている。

そこに、嘘はないと思う。


けれど、それはどこかでマリコさんの為だとも

知っている。


本当にマリコさんとみちさんが

恋人として上手くいくか、

それは始めてみないと分からない。


いくら思い合っていても、

ダメになる恋人はいたりする。


けれど、

あの二人には絶対に1度は

通らなければいけない道なのだと思う。


全てはそこからだよ、みちさん。


みちさんの寝顔を見て、

急に寂しくなって頬に触れてみた。

今はまだ僕の近くで温もりを感じる事が出来る。


この温もりをいつか忘れられるだろうか…

そう思うと少し怖くなった。


好きとか嫌いとかは、

近くにいつも転がっていて

女の子は泣いたり笑ったり

忙しかった。


そして、僕はその事にさして興味も持たずに

その場その場で求められる事をして

さよならしてきたのだ。


そんな中にも温もりはあったはずだったのに、

忘れられなくなる心配なんて思った事は1度も無かった。


人を好きになると、

人は弱くなってしまうのかもしれない。


みちさんが、

マリコさんが、

お互いを思いやるが故に臆病になっていた

気持ちがやっとわかった気がした。


僕は本当に大人になったのか?


そんな事を思いながら

みちさんにくっついて僕も眠った。














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