第25話

僕の提案にみちさんは

驚いていたけれど、

返事も聞かずに僕はみちさんの所へ行って

キスをした。


長い長いキス。


そして、キスをしながらも、

みちさんを立たせてソファーに優しく押し倒した。


やっと、唇を離すと

ソファーに押し倒したみちさんと目が合った。


「初めて響太くんが私を見てくれた気がする」


「ずっと見てたよ」


「そうじゃなくて、今、本当に私だけを見てくれてる」


「1ヶ月の恋人ってことは、こういうことだけどいい?断るなら今だけど」


みちさんは僕の質問には答えなかったけれど、

僕の顔を手で包むように近付けて、キスをした。



そして、僕はみちさんを求めた。


嘘みたいだけれど、

僕が女の人を自分から求めたのは

初めてだった。


して欲しがるからする。

それしか知らなかった。


それを今、僕は自分からもぎ取る様に

求めていた。


前にもみちさんとしたはずの行為なのに

全く別の事の様だった。


繋がったまま向かい合って、

僕達は何度も何度もキスをした。


息苦しくなるほどに。


どちらかが、唇を離すと

またどちらかが舌をからめてくる。


このまま溶けて2人が1人になってしまう様な

そんなセックスだった。



「こんな響太くん、居たんだね…」


終わってからみちさんがそんな事を言った。


「俺も知らなかったけどね」


そう言うと、2人は横になりながら、

顔を見合わせて笑った。


きっとこの1ヶ月、

僕は何度も何度もみちさんを抱くだろう。


けれど、その後は?


…その後?


そう思った自分に戸惑った。


何を考えているんだか。

その後なんかない。


だって、その為の1ヶ月なのだから。








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