第21話

ビールを数本飲むと、

洸介は寝てしまった。


僕はまだ眠れず、

仰向けになり天井を見てぼんやりと

みちさんのことを考えた。


「響太くんてさ、性欲ってないの!?」


確かに言われてみれば、

最初の夜の出来事以来

みちさんに性欲を感じた事が無かった。


というより、

そういうものとは別のものであって欲しい気さえ

無意識にしていた様に思う。


背中合わせで温もりを感じて眠る。

そこには安心感があって

それだけで僕は満たされていた。


じゃあ、今までの女の子達は?


求められるとセックスをしたけれど

それはいつも彼女達の何かを埋める為の行為で

僕にとっては何でも無かった気がする。

快楽は、いつも一瞬で最後はいつもぽっかりとした空虚が残った。

僕じゃなくてもいい様な。


それに気づいたからかもしれない。

みちさんを抱きたいと思わなかったのは。



思えば、まだみちさんのところを出てから

数時間だというのに

僕はみちさんの事ばかり考えていた。



そして、次の日から僕の生活は

目まぐるしく忙しくなった。





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