第2話

1時間以上…、

いや、1時間半以上も歩いて着いた彼女の家は想像していたワンルームの部屋とは違い、

古い一軒家だった。


「こんな時間に家族とか大丈夫?」

と聞いてみると、

「私1人だから大丈夫」


たまたま今日が1人の日なのか?

家族旅行中とか?


色々気になるところはあったものの、

家の中に入って

「好きなとこ座って」と言われて

ソファーに座った途端にライブとお酒と歩き疲れで僕は一瞬で眠ってしまった。


何時間、いや数分しか寝ていないのかもしれない。

分からないけれど、僕が目を覚ました時には

彼女は裸で僕に股がっていた。


「えー、襲わないって言ってたじゃん」

まだ目も頭もぼんやりしていた。


「イヤ?」


「嫌って言うかなんていうか…もう始まっちゃってるし」


もう僕は彼女と繋がっていて

腰を振れば、はいセックスの出来上がり。


彼女からのキスも受け入れ、

もうなるようになれと舌を絡めた。


向かい合わせに座りお互いで

快楽を貪るように果てた。


ご丁寧に僕が寝ている間にコンドームまで

つけてあった。


その精子の入ったコンドームをつけて、

仰向けになったまま

ぼんやりと天井を見ていた。


彼女は僕の方を向いて横になり、

こちらを見つめていた。


そして、

「怒ってる?」

と聞いてきた。


「何が?」


「嘘ついたこと」


「どっちの?

家が遠かったこと?

それとも襲ったこと?」


「どっちも」


「別に…

別に怒ってはいないけれど…何なんだこれは

とは思ってる」


彼女は裸のまま冷蔵庫から水を取り出し、

僕に渡してくれて


「あなたとしたかったの。すごくすごくしたかったの。」


と言った。


そう言われるとあれやこれや聞きたくなったけれど、


「ふーん」


としか言えず、


彼女が沸かしてくれたお風呂に浸かった。


なんか疲れたー。


そう思っていると彼女も入ってきて、

一緒に湯船に浸かった。


僕は彼女の名前も年齢も知らないのに、

何故か2人でお風呂に入っている。


「ねぇ、さっきお店で話していたヒモだったところから出てきたっていう話。本当?」


「本当」


「そしたらこれからどうするの?」


「とりあえず実家に帰るか、洸介のとこかな」


そこから何故か彼女が黙り、

沈黙が続いた。


結局、僕が先に湯船から出て着替えた。


前の子の家を出たばかりだったので、

着替えを持っていて良かった。


その頃、外は明るくなっていて

夜は明けていた。


彼女の家の時計を見ると、

5時55分だった。


やっぱり全然寝ていなかったんだなぁと

気付くとまた急激に眠くなった。


すると、お風呂から出て着替えも終わった彼女が寝室に案内をしてくれた。


彼女のいつも寝ているベッドに

「どうぞ」

と言っている。

そして、

「一緒だけどいい?」と。


「あー、始発出てる頃だしオレ帰るよ」


そう言うと、

彼女は悲しそうな顔をした。


「今度こそ本当に眠りの邪魔したりしないから!お願い!!」


「お願いって…」


「とりあえず眠ろ?」


「えーー。あー。うー。うーん」


僕の全ては「まぁ、いいか」で出来ている気がする。


結局、彼女と一緒にベッドで眠った。


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