第9話

夏、依子は倒れた。医者は始めは軽い夏バテだと話していたのだか、一向に依子の具合は良くなはならない。それどころか...。


暑い夏だった。くたびれた向日葵が依子を見守っていた。

桜は片時も依子の側を離れる事はなかった。

只、辛抱強く依子の看病をしていた。


秋、モミジはまるで一切泣くことなく依子の世話をする桜の涙の代わりとでも言うようハラハラとあっという間に散っていった。


冬、依子はもうほとんど起き上がれずにいた。

椿の花の様に明日にでもポトリと落ちてしまいそうな命だった。


屋敷は灯りが消えたように静かであった。

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