第7話
春が来た。桜が屋敷に来て一年が経った。
智子や薫の知人たちを通して依子たちには多くの友人も出来た。
屋敷は変わった。いつも桜と友人たち、そして依子の笑い声で満たされていた。
ある日、依子と桜、智子と薫。その友人たちは花見に出掛けていた。依子と桜はこの日の為にお揃いのワンピースを仕立てていた。桜はその名の通り『桜色 』。依子は『 紅唐色』という林檎のような赤のワンピースを身に纏っていた。
まるで双子人形みたいな二人を見て通行人は振り返る。智子は自慢気な顔をしている。その顔の勇ましさに薫は笑う。
「見て。桜がとっても可愛いから、みんなが振り返る。」
依子は、ケラケラ笑いながら桜並木の中歩いて行く。
桜は、
「ちがうわ。依子が季節外れの牡丹のように綺麗だからよ。」
と、真っ赤になり弱々しく言い返す。
友人たちは、そんな桜の小さな抵抗を聞いて依子と一緒になってケラケラ笑った。桜も一緒になって笑っていた。
こんな日々がいつまでも続けばいい。誰もがそう思っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます