第2話

人に対して取る態度には褒めるところのない依子であったが花や鳥、自然のものに対しては美しい心の持ち主だった。

いつの時も優しく慈しみの心を持って接していた。


依子はよく花たちと対話する。


今の時期なら乙女椿が依子の話し相手である。

北風に負け、折れた枝を麻紐で支え治す。その先の蕾に微笑む。その優しく美しい横顔は

「大丈夫よ。きっと咲くわ」

と、語りかけている。


依子は放って於けば二時間でも三時間でも花を見守り続けるのである。


依子の庭には四季折々花が咲く。それだけが今の依子の生きてく意味であり糧であった。

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