羽目を外す

 現在私は64連勤で休みが一切もらえず、言ってしまえば週が終わってももう一回遊べるドン状態である。つまり仕事が終わらないエンドレスワークの沼に陥っている。自殺を図ろうと思ったのは一度や二度では収まらない超ストレスフルで今も逝きている。あっ、誤字った。


 しかし明日からの私はもうクソみたいな仕事とは無縁の自由を手に入れることができるのだ。64日ぶりの休み、私は君に会いたかった。もう二度とその手を放したくはない。


 「明日も出勤しくよろー」


 そう思っていた時期が私にもありました。


 こうして私の自由はかすめ取られ、またもエンドレスワークへの日々に逆戻りするのであった・・・・・・しかしそうは問屋が卸さない。


 休めないのなら無断欠勤するまでだ!!!


 決意を固めた私の行動は早かった。即座に旅行雑誌を購入し、旅行プランを立て新幹線のチケットを購入した。ここまで来ればもう後戻りはできない。全てを失ってでも私は自由を掴む!


 翌日、会社には「すみません、急に頭痛と腹痛と寒気の3コンボキルが起きて仕事できません、本当に申し訳ありません、誠に申し訳ございません」という連絡をしておいた。謝罪も三度繰り返せば流石に誠意も通じるだろう。ちなみにこれは無断欠勤ではない。ただのズル休みだ。


 詳細は伏せるが旅行中私は一夏のアバンチュールを過ごした。美味いものを食い観光を満喫し通りすがりの女の子とも仲良くなった。これ以上ないくらいの極楽だ。楽園はここに存在した!


 後日、私は堂々と会社に出勤した。休みの連絡をしたのは初日だけでそのあとは普通に無断欠勤した。おそらく私の椅子はもうないだろう。そう期待と不安を胸に職場にいくと、


 驚くことに皆私を待っていた。


 しばらく連絡がなかったことを心配していたらしい。皆笑顔で出迎え、私を歓迎し、笑顔で私を椅子に座らせ足に重石をかけた。


 ん?重石?


 「これはなんですか?」


 上司はニタッ笑う。


 「お前を縛る枷だ」


 「ふざけるな、私を解放しろ!」


 「思う存分羽目は外したであろう?その分わが社のために働いておくれ」


 「や、やめろ。私の自由を返せ、私の人生を返せ、私を放せーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」


 私は、一時の自由と引き換えにもはや日の目を見ることは叶わなくなった。


 この社会は、なんと狂っているのだろう・・・・・・。



おわれ

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