第二十六話『世界一可愛い魔王様』

転移装置に乗って地下の訓練場にきた私達はお互い初めて戦った時みたいにすごく緊張してたの。


お互い緊張しすぎて訓練場の戦闘を開始する位置に行くまで一言も喋らなかったくらいだもんね。


「じゃあ準備出来次第始めちゃおっか」


「わかった。いつでも、構わない」


「ライムとエルは準備大丈夫?」


「「うん!」」


「じゃあカウントダウン表示するねー」


私が訓練場のシステムを操作して5秒からカウントを始めたの。


5、4、3、2、1って進んでって0になったと同時に開始のブザーがなったの。


その瞬間私は空間操作を使ってファセリアの少し後ろに飛んで、重力操作でファセリアの行動を妨害したの。


ファセリアは妨害されながらもなんとかニブルヘイムを発動させて、辺り一面極寒地獄。


ライムは光剣を作り出して自分の剣と共に正面突破。


エルは背後に水魔法で分身を作り出して、分身の半分が羽根の槍を放ってる。


分身のもう半分は、魔力で光が屈折する雨を作り出してる。


それでエル自身は神鳥の威圧って言う固有能力のデバフをファセリアに、神鳥の加護っていう固有能力のバフを私とライムに掛けてくれたの。


それを見た私はタイミングを見計らってファセリアに向かって跳躍して鎌を構えたの。


鎌を構えたのを見計らって、エルが集光レーザーを空から放射。


次の魔法を使おうとしてたけど流石のファセリアも四面楚歌状態じゃどうにも出来なかったのか自分の周りに氷の結界を貼ったの。


でもその瞬間、屈折して四方八方から襲い掛かる集光レーザーで穴が開くとまではいかなかったけど、かなり脆い状態まで溶かされちゃったの。


そのままタイミングを見計らうかのようにエルの分身が放った羽根槍が結界にヒビを入れて、そのままライムの攻撃で結界が崩壊。


最後に私の重力操作で威力を増大させた鎌での攻撃がファセリアに直撃。


ファセリアの体力のほとんどは削れたけど倒しきれない…。


その瞬間、ファセリアが結界内で発動させていたトラッキング・ダンスが私達めがけて飛んできたの。


ライムは光剣で全部破壊してて、エルも集光レーザと羽根槍で難なく破壊。


それで私はというと、鎌で破壊できる数にも限界があって体力半分持っていかれちゃった。


この手数問題は私の今後の課題かなー。


そんな事を思ってたら…


「まま、大丈夫?」


そう言いながら私の体力が回復。


そんなやりとりをしてる間にもライムとエルの分身がファセリアが体制を立て直さないように牽制。


集光レーザーとかライムの剣がじわじわとファセリアの体力を削ってたの。


そのまま私達が二回目の総攻撃を仕掛けてそのまま決着。


「お疲れ様」


「お疲れ様ー!」


「手も、足も出なかったわ…。パーティーみたいな、ものね。個人で」


「だねー!さすがは私達の世界一可愛い魔王様だよー!」


「え!?アヤカ!?なんでここに居るの?」


「いやー、やっぱり戦いが気になっちゃってねー!見にきて正解だったよ」


「それより魔王様ってなに?」


「あーそれね。ネットの一部で話題になってるの」


(まー、話題にしたのうちなんだけどねー。死神とか厄災とかちょっと可愛くないし!)


「そ、そうなんだ…」


「いやー、それにしても本当にパーティー戦みたいだったね〜。もう現状最強なんじゃないの?」


「あはは、私だけだったら敵わないかもしれないけどね。またやろっ!楽しかったし」


「ん。戦いたい」


「フウはこの後どうするの?」


「んー、最近料理の開発してなかったから料理しようかなーって」


「ファセリアさんはどうする感じー?」


「ん、レベル上げ。足らない、まだまだ」


「そっかー。じゃあうちはライムちゃんとエルちゃんと遊びたいなー!二人が良ければだけど」


「二人ともどうする?」


「「「遊ぶー!」」


「じゃあアヤカ二人のことお願いしてもいい?」


「任せてっ!」


それからみんな出てって久々に一人だよ。


じゃあ早速料理しようかな。


何作ろう?


料理の開発自体は焔龍皇の時以来かな?


あれから固有クエストがあったりイベントがあったりで忙しかったしね。


新しい食材もあんまり手に入れてないしとりあえず持ち物確認してから作ろうかな。


んー、新しい食材といえばこの間の固有クエストの道中で手に入った鶏とか鹿くらいかなー。


あの時はボス攻略一直線で探索なんて全然やってこなかったもんなー。


また今度探索に行かなくっちゃ。


とりあえず水晶鹿っていう歯科を作って今ある食材で何品か作ろうかな。


どうしよ?


ロースは低音調理でロースト風にしてももは何がいいかなー。


ローストで時間かかるしアヒージョにでもしちゃおうかな!


そしたらまずは時間かかるものからやってこうかな。


まずは水晶鹿の骨を流水で掃除するんだけど…。


ゲームだから綺麗だねじゃあオーブンに入れてとりあえず焼こうかな。


次は水晶鹿ロースと一口大に切った水晶鹿のももを真空パック用の袋に入れてー。


そこにニンニクの付け根だけカットして包丁で軽く叩いた皮付きのニンニクとー。


フレッシュローズマリーを入れたらオリーブオイルも入れてー。


そしたら真空にしてこのまま2時間くらいマリネにします!


って言ってもゲームだからタイマーセットしたらその時間進んじゃうんだけどね…。


ここからはあローストに合わせるソース・ポワヴラードっていうのを作っていくよっ!


次は水晶鹿の筋をある程度細かく切ったら油を引いてフライパンで炒めるの。


火が通ったら一回取り出して粗みじん切りにしたエシャロット、人参、セロリを入れて炒めるの。


ここでさっきの鹿を焼いたフライパンを洗わないでそのまま入れてフライパンにこびりついてる焦げもしっかり落とさなきゃね。


これが旨味の素で大事なんだから!


香味野菜に火が通ったらローリエとホールの黒胡椒、セロリの葉、パセリの茎、タイムのブーケガルニと赤ワインビネガー、赤ワインと少量のマデイラワインを入れて水分が無くなるまで煮詰めるの。


そろそろロースを低温調理していくんだけど、これもタイマーでできちゃうから後回し。


ここであらかじめストックとして作ってあったフォン・ド・ヴォーっていう仔牛の出汁を入れてまた半分くらいになるまで煮詰めるよ。


ただ骨から出汁を出したいから5時間くらい煮込むことになるからタイマーで省略。


本当なら水を足しながら煮込まなきゃいけないんだけどね。


最後にシノワでしっかり漉したらソースの下準備完了!


あと今回は格式が高すぎないイメージしたいから、ちゃっちゃっとマッシュポテトを作っちゃって。


一旦脱線してもも肉をスキレットに入れてそこにマッシュルームとしめじ、マリネで入れてたニンニクの皮を剥いて半分に切って芽をとったらそのまま入れちゃおう!


芽を取るのは芽が焦げやすいから!


これはもも肉に火が通ったらパセリ散らして完成だね!


そしたら元の作業に戻って、ロースの表面をバターと少量のオリーブオイルを引いたフライパンで強火で焼き色だけつけるイメージでささっと焼いちゃう。


ソースは一回温めたらバターを入れて乳化させてとろみとコクを出して最後に引き立ての黒胡椒を入れて完成!


最後にロースを焼いてたフライパンの油の量を調整して、塩胡椒でクレソンをサッとソテーしちゃう。


じゃあ一番緊張するロースのカット行こうかな。


一応タイマーの詳細設定で芯温の設定もしたから大丈夫だと思うけどね。


…よし!綺麗なロゼ色になってる!


さすがゲーム…現実じゃ結構手間暇かかるからね。


最後に盛り付けしてアヒージョにはバゲットを添えたら完成だよ!



⚫︎フウ特製水晶鹿のロースト ソース・ポワヴラード

 評価10


⚫︎フウ特製水晶鹿とキノコのアヒージョ バゲットを添えて

 評価10



んー…これのレシピは手間が多いから保留かなー。


今回で一応5人前ずつは作ったからあと一回作れば開放されるんだけどね。


じゃあ今日は食べて終わろうかな。


アヤカにチャット送ってくるの待ってる間に4人前テーブルセットしちゃおう。


……


あ、来た。


「ずいぶん早かったね」


「とーぜん!フウの新作でしょ?」


「ライムおなかぺこぺこなの〜」


「エルもおなかすいたよー」


「まあね。じゃあ食べよっか! いただきます」


「「「いただきまーす!」」」

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