第二十七話『徘徊する死神と史上最強のポンの出会い』

さて、今回は食材集め兼厄災の死神装備の試運転がてら1階層の探索にでもいこうかな。


ただ、従魔も連れて行けないから完全ソロプレイなんだよね。


ソロなんてライムと仲間になる前のちょこっとの期間ぶりだよ!


なんか初心に帰った感じだよねー。


それじゃあしゅっぱーつ!


って言ってもどこに行こうかな?


とりあえず行ったことない所とライムと会った場所の二か所に行ってみようかな。


………


んー、あれからしばらく探索してみたけど全然敵と会えないなー…


装備がいけないのかな?


エンカウントを下げる効果なんて付いてなかったと思うんだけど…


確率で発動する能力の死神の恐怖が私の幸運値のせいで発動してる…なんて事はないよね!


そもそもエンカウントしてない敵にも発動するかすらわからないしね。


まあ、見つかるまで探索するしか無いよね。


なんて思ってたら後ろからプレイヤーの声がしたの!


「こんにち…」


私が振り返って挨拶しようとしたのに。


「う、うわあああぁぁぁ!!!」


「きゃぁぁぁっ!!!し、死神!?」


「くそっ…なんでこんな所にっ…」


三人パーティーだったんだけど挨拶の途中で全員に阻まれちゃった。


弓使いの男の子は悲鳴上げながら腰抜かしちゃってるし、魔法使いの女の子は叫びながら頭を抱えて蹲ってるし、タンクの大男は諦めて地面に手をついちゃって…


なんか申し訳ないことしたかな…


「あ、あの…」


私ちゃんと説明しようとしたんだよ?でもまた阻まれちゃった。


「くそっ!ふざけやがって!せめて一矢報いてやるっ!」


弓使いの男の子が私に向かって矢を放ってきたの…


「あ、おい!バカ!!敵対しなければ襲ってこないかもし…」


タンクの大男が止めようとした時にはもう私に矢が当たっちゃって。


このゲーム特殊なルールがあってPvPの先頭に二種類あるの。


一つは一般的な決闘、お互いが承諾して始まるやつだね。


二つ目はプレイヤーキラーが出ないように、攻撃された初撃のダメージを無効化して攻撃された側が攻撃した側に一撃与えて終わりの『断罪』システム。


攻撃した側は所持金の半分を攻撃した相手に強制譲渡な上に『罪の欠片』っていう称号勝手にがついちゃうの。


これは獲得時から二十四時間のステータス半減っていうデバフが付与されて効果が終了した後にもストックとして残り続けるものなの。


サッカーよくわからないけど、イエローカードみたいなものかな?


それに攻撃した側は一撃与えられて倒されちゃうとデスペナルティのおまけもついてくるしね…。


今回の件が私の格好のせいだったとしても私が攻撃しないと終わらないわけで、それはつまり…。


「あー、なんかごめんなさい。私プレイヤーなんです」


私が謝ると攻撃前に冷静になってたタンクの大男が会話に応じてくれたの。


「この二人の父親でハイカラという。うちの子が本当に申し訳ございません。二人もちゃんと謝りなさい」


ハイカラさんが男の子と女の子の頭を掴んで下げながら自分んも頭を深々と下げた。


「「ごめんなさい…」」


このシステム謝罪を受け入れたらなしになるとかあればいいのにね。


「大丈夫ですけど、このシステム攻撃しないと終わらないので…こちらこすみません」


どうしよう?なんかすごく申し訳ないな…。


あ、そうだ!


「私、フウって言うんですけど、この後今日のリアルで十八時頃もし予定が空いてましたらフウ・アトラテスト商会まで是非いらしてください。一階層のメイン広場に支店がありますので」


「か、かしこまりました。伺わせていただきます」


「それじゃあ失礼します」


私は申し訳なさいっぱいで三人に釜を振り下ろした…三人は一撃で街に飛ばされちゃった。


よし、気を取り直して探索続けよう!


………


それからしばらく探索を続けてたんだけど、全然敵と合わないの!


これもう能力発動しちゃってるんじゃないの?


そんな事考えながらもう諦めて帰ろうと思った時だったの。


「ぴゃあああぁぁぁ!!!」


私の後ろから悲鳴が聞こえてきて。思わずああ、またか。って思っちゃった。


「あの、すみません」


「きゃぁぁぁ!ししし、し、しし、死神さんが近づいてきますぅ〜!!!やめてください。やめてください。ごめんなさい。すみません。わわ、私を襲わないでくださいですぅ…」


そう言いながら木の後ろに隠れてこっそりこっちを覗ってる…。


「大丈夫ですよ。襲ったりしませんよ」


「はうぅ…。つよつよな敵さんかと思ってびっくりしちゃいましたよぅ…」


「初めまして。フウです」


「ひゃんっ」


…???


「木にスカートがっ…んーーえいっっ!」


ビリビリビリ。


あーあ…。


「あっ、スカートがぁ…。あ、ごめんなさいです。エルメリアでしゅっ…です」


「いえ、驚かせてすみません。それでは」


「は、はい!」


そのまま普通に別れて私はまた探索に戻った。


筈だったんだけど、数分後少し離れた距離から悲鳴が聞こえたから助けに行ったの。


まあ、エルメリアだよね。


「あっ、あんっ…い、やだ。やめ…」


…まあそう言う人もいるよね。


言いたいことを飲み込んだ私はそのまま鎌を一振り。五体のレッサーウルフを倒した。


「大丈夫…?」


「はうぅ…。助けていただいてありが…ぴぎゃぁぁぁーー!!!」


また?


「…あれれ、よくみたらさっきの死神さんのフウさんですぅ…よがっだ〜〜!」


忙しい人だな…。


「この辺の敵倒せないなら森より草原の方がいいと思うよ?」


「い、いえ…」


「ん?」


「それが、その…」


「うん」


「ま、迷子なんです…」


「あー、うん。そうなんだ」


ちなみにね?私が今いるの森って言っても整備された道のところでまっすぐ道なりに進めば草原に出るんだけどな…。


「この道を南にまっすぐいけば草原に戻れると思うから。それじゃあ…」


「あ゛あ゛ぁー!ちょ、ちょっとまって下さい!助けてほしいんですぅ…」


ローブにしがみついてきた…。


うーん、ちょっとめんどくさいなー…。


「お、お願いです!スキルの使い方教えて欲しいんです!」


…え?スキル?それがわからないのにここに居るのはまずいし、まあそれくらいなら…。


「わかった。じゃあ一旦草原行こっか」


「あ、ありがとうございますっ!」


それから私たちは草原に着いたんだけど。


「じゃあまずはちゃんと自己紹介しますねっ!エルメリア十三歳中学生ですっ!ジョ…ブ?って言うのはわかりません…」


「えっとエルメリア?こういうゲームで年齢とかはあんまり言わない方がいいと思うよ?」


「そうなんですか!?じゃあ、次から気をつけますぅ…」


「って言うかこのゲームジョブシステム無い代わりに特殊能力の中にジョブみたいなものがあるんだけど、教えるために何の特殊能力取ったか教えてもらってもいい?」


「はい!これです!」


ステータス画面を見せてもらったんだけど。



エルメリア Lv1 所持金 : 約5,000G


●ステータス ステータスポイント 100p (ロック中)

HP 100 MP 100


STR 0 VIT 0 INT 0

MND 0 DEX 0 AGI 0


⚫︎装備

・武器 :

・頭 :

・胴 :

・体 :

・手 :

・腰 :

・足 :

・背 :

・アクセサリー

① :

② :

③ :


⚫︎特殊能力

 


⚫︎能力



⚫︎称号

 純真無垢たる???の愛し子 ???の庇護




ん?


あ、あれ?


おかしいな…称号二つ以外何も見当たらないな…。


「ね、ねえ。始めた時何も取らなかったの…?」


「は、はいぃ…名前以外何もしないで始めちゃって…」


称号は…?


えっと『純真無垢たる???の愛し子』と『???の庇護』って言うんだ。???は何で見れないんだろう?


効果はっと…



⚫︎純真無垢たる???の愛し子

 何一つ持たぬ自然な状態の者に与えられる称号。

 ステータスポイント、経験値が入手出来なくなる。

 条件を満たすまでの間、能力や称号が入手出来なくなる。

 ???の後継者。??の力をその身に宿し、大自然の力を行使できるようになる。


⚫︎???の庇護

 PvPを除くその他の戦闘で死亡しなくなる。

 ??が助けてくれるようになる。



何これ!?


大自然の力とか死なないとか、何かが助けてくれるのは強そうなのにステータスポイントと経験値が手に入らないとかそんなことあるんだ…。


デメリットデカすぎじゃない!?


「なんかステータスすごいことになってるね…」


「え!?そうなんですか!?」


「いや、なんでエルメリアが驚くの…」


「ゲームとかやったことなくって…」


それで片付けていい問題かな…。


これはあれだ。


最近よく聞くポンってやつだ。


なんかちょっと可哀想だし装備作って上げようかな…。


「あのね、エルメリア?特殊能力一個も取ってないからスキルは使えないの。代わりに少しでも戦えるように装備作ってあげるから私のお店に行こっか」


「ふぇ?い、いいんですか!?ありがとうございましゅ…す」

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